トヨタ GR86 「「かつてのスポーツカー」でもなければ「最新のスポーツカー」でもない」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

瓜生洋明
瓜生洋明(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

3

デザイン
3
走行性能
4
乗り心地
2
積載性
3
燃費
4
価格
3

「かつてのスポーツカー」でもなければ「最新のスポーツカー」でもない

2024.2.29

年式
2021年10月〜モデル
総評
「かつてのスポーツカー」の要素を色濃く受け継いでいる1台であり、「運転する楽しさ」を最も感じられるモデルのひとつだろう。一方、良くも悪くも現代のクルマであるため、1980年代〜1990年代の国産スポーツカーに見られたような「クルマとの対話」といった要素はもちろん薄れている。また、最新技術をふんだんに搭載した現代的なハイパフォーマンスカーというわけでもない。つまり、「かつてのスポーツカー」の幻影を見すぎても、あるいは「最新のスポーツカー」の夢を見すぎてもいけない。そういう意味では、GR86は非常に解釈の難しいモデルと言える。
満足している点
いわゆる「運転する楽しさ」を存分に味わうことができるという点は、GR86の最大の魅力だ。世の中にはGR86よりもハイパフォーマンスなモデルが多く存在するが、GR86に乗れば、スペックや価格と「運転する楽しさ」が必ずしも比例するものではないことが感じられるだろう。
不満な点
一般的なモデルと比べると乗り心地や燃費性能は劣るが、それはGR86がスポーツカーであると考えれば、無視してもよいことだろう。ただ、スポーツカーであることを強調するのであれば、もう少しエモーショナルなデザインがほしかったというのが正直なところだ。スポーツカーの第一義は走りの良さにあるのかもしれないが、多くの人があこがれるようなデザインもまた、スポーツカーにとって重要な要素。豊富なカスタマイズパーツが用意されているとはいえ、その点がやや残念に感じる部分だ。
デザイン

3

FRスポーツカーらしいシルエットは一見の価値があるものの、どちらかと言えばクセの少ない無難なデザインという印象だ。また、内外装に樹脂パーツが目立つ部分も多いことから、ややチープさを感じることがあるかもしれない。一方、GR86には多くのカスタマイズパーツが用意されており、それによってさまざまなスタイリングを構築することができる。それも含めてGR86の楽しみであると考えると、ノーマルの状態にクセが少ないこともうなずける。
走行性能

4

現在ではほとんど絶滅危惧種となっている、高回転型の自然吸気エンジンを搭載したFRスポーツであるという点だけでも、GR86を検討する価値がある。先代と比べると、スポーツ走行におけるパフォーマンスがさらに進化していることはもちろん、一般道などを走行する際の扱いやすさも増している。ただ、あくまで「スポーツカー」であるため、そのほかのモデルと比べて圧倒的に「速い」というわけではない。絶対的な速さを求めているわけではなく、運転する楽しさに重きを置いたモデルであることはしっかり理解しておく必要があるだろう。
乗り心地

2

同乗者の乗り心地という観点でいうと、先代に比べて多少は改善しているものの、硬めのサスペンションと狭い室内、そしてそこに入り込むエンジン音など、ハンドルを握るドライバー以外にとっては決して快適な空間とは言えない。後部座席に長時間座り続けるのは、言うまでもなく苦痛だ。ロングドライブの際には、ドライバーと同乗者の間で温度差が出ないように注意したいところ。
積載性

3

大きな荷物を積載することはできないが、かといって荷室が極端に狭いというわけでもない。後部座席に荷物を置けることを考えると、日常的な利用で不便を感じることはあまりないだろう。また、後部座席を倒すとフラットなスペースが生まれるのもGR86の魅力だ。決して快適とは言えないかもしれないが、そのスペースを活用すれば横になって仮眠をとることもできるのは、特に若いユーザーにとってはうれしいポイントかもしれない。
燃費

4

燃費性能を重視するモデルではないものの、燃費性能は意外と悪くない。特に、高速道路をゆったりと流すシーンでは、カタログ燃費(WLTCモード11.9km/L)以上の実燃費を記録することもできるだろう。絶対的な燃費性能を求めるなら話は別だが、スポーツカーとして見るなら、燃費性能はむしろ高いほうと言えそうだ。
価格

3

おおむね300万円〜400万円という価格は決して安いものではないが、絶対に手が届かないというほどのものでもないだろう。むしろ、同じカテゴリーのモデルが皆無の現状にあっては、機能装備やリセールバリューをうんぬん言うよりも、「この値段でも買いたいかどうか」という点が重要かもしれない。
瓜生洋明
瓜生洋明
自動車ジャーナリスト
1987年生まれ。大手IT企業や外資系出版社を経て2017年に株式会社ピーコックブルーを創業。現在では平均年齢25歳のメンバーとともに毎月300本超の記事を配信している。愛車のボディカラーを社名にするほどのエンスージアストだが、新しいテクノロジーへの関心も強く、最新モデルは常にチェックしている。
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