トヨタ カムリ 「販売終了が残念な好感の持てるミドルクラスセダン」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

販売終了が残念な好感の持てるミドルクラスセダン

2023.5.22

年式

2017年7月〜モデル

総評

北米を主戦場とするカムリはボディサイズが大きく、おかげで室内空間にも余裕がある。大人4人乗車もゆったりとくつろげ、実用セダンとしての快適性も十分。搭載されるハイブリッドシステムは世界トップレベルの熱効率41％を達成するA25AｰFXS型で、不満を感じさせない動力性能とクラストップレベルの経済性を実現している。

満足している点

カムリは実用的なセダンでありながら先代に対してルーフが25mm低く、ベルトラインも下げることで安定感のあるワイド＆ローのスタイリングを実現。さらに2825mmのホイールベースがもたらす居住空間は広々。前席は低めのシートポジションが得られ、後席は足元スペースもゆったり。全グレードがハイブリッドシステムを採用し、コンパクトクラス並みの経済性にも注目したい。

不満な点

広い居住空間は嬉しいが、ボディサイズがクラウンクロスオーバーと遜色のないレベルにあり、狭い駐車スペースでの乗降性に苦労することもありそう。また、高級感を求める人にとっては物足りなさを感じるかもしれない。

デザイン

3

かつてのカムリはおとなしいデザインで目立つ存在ではなかったが、2017年のフルモデルチェンジでスポーティなイメージを盛り込んだ。2018年に追加されたWSはフロントグリルやバンパーに専用デザインを採用し、一段とスポーティなまとまりに。21年2月にフロントバンパー、ヘッドライト＆リヤコンビランプの加飾、ホイールデザインを変更。インテリアもインパネの加飾を変更し、9インチのディスプレイオーディオを装着。22年8月にはレザーパッケージの内装色にオーカーを設定するなど、内外装の洗練度を高めている。

走行性能

4

試乗したWSにはプラスαの減衰力を持たせたダンパーを装着。さらにブッシュやスタビライザー、EPSのセッティングを変更することで乗り心地を犠牲にせずにしっかりとした走りを実現。標準タイプと比べてもロールやピッチングが抑えられたような印象を受ける。TNGAを採用したプラットフォームはリニアな操縦性をもたらし、タイトなワインディングではボディの大きさを感じさせない走りが確かめられる。積極的な走りが楽しめるパドルシフトが装備されたのもWSのメリットだ。

乗り心地

4

スポーティさを印象づける仕上がりを見せるWSだが、乗り心地は犠牲になっていない。しっかりとしていて、それでいてフラットな乗り心地が得られる。クラウンクラスと比べるとしっとり感やしなやかさでは物足りなさを感じる場面もあるにせよ、FFサルーンとしては十分に納得できる乗り味だ。

積載性

5

ラゲッジルームは524Lの容量を確保。後席は6:4分割機構を採用するので、トランクルームから長い荷物の積み込みも可能。開口部も大きく、ゴルフバッグなどのかさばる荷物の出し入れもしやすい。

燃費

5

全モデルがハイブリッドであり、すべてのモデルがWLTCモード燃費で20km/Lを超える経済性を発揮。WSレザーパッケージで24.2km/Lの燃費性能は優秀。高速道路を80％、一般道20％で1000kmほど走った際の実燃費でも20km/Lをマークするなど、経済性は申しぶんのないレベルにある。

価格

4

最上級グレードのWSレザーパッケージでおよそ450万円。9インチディスプレイ＆6スピーカー、Tコネクトナビキットが標準装備。9スピーカーのJBLプレミアムサウンドシステムはオプション（8万300円）だが、オーディオ好きなら装着をお薦めしたい。スポーティさよりも高級感を重視するならGレザーパッケージ。内装色はブラックとオーカーを設定するが、新しいオーカーの内装色がいい雰囲気だ。