トヨタ カムリ 「クラウンに代わる高級セダン」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

クラウンに代わる高級セダン

2021.3.25

年式

2017年7月〜モデル

総評

「トヨタのセダンと言えば？」と聞かれたら「クラウン」と答える人が圧倒的だとは思うが、実際にカムリに乗ったことのある人が増えたら、その答えも変わるかも、と思うほど、よくできているセダンだと思う。「いつかは、クラウン」の前に、「まずは、カムリ」に乗ってみると、意外と気に入ってずっと乗り続けたいクルマになるかもしれない。

満足している点

とにかく圧倒的な燃費の良さ！ハイブリッドモデルにターゲットを絞ったからか、燃費もいいし、走りもいいし、積載性も高いし、価格もそれなり。「これ以上何かいります？」と言われたらぐうの音も出ないほど、しっかり作り込まれているクルマだと思う。クルマ全体のバランスが良く、全ての項目が高い水準で作られている。

不満な点

「クラウンがSUVモデルとして登場する」と公言されているため、今後トヨタのセダンのフラッグシップモデルを務めるのは、おそらくこのカムリ。クルマ自体の性能は、既にそうなっても大丈夫なクオリティにはなっているが、やはりいかんせんデザインの出来が気になるところ。これからトヨタのセダンの“顔”になっていくとしたら、もう少し誰もが誇れるようなデザインになって欲しいと思う。

デザイン

3

トヨタ車の中でも、上級モデルであるカムリ。サイドのデザインは流麗で美しいのだが、どうしてもフロントマスクが良いデザインだとは思えない。あくまで主観ではあるが、ディテールが複雑すぎて、“プレデター”のような顔面がちょっと怖いと感じてしまう……。

走行性能

5

デザインでギョッとはしたものの、運転してみるとこれはこれで驚くほど良いモデルだ。おそらく、TNGAプラットフォームの採用が大きく影響しており、しっかりしたボディ剛性と低重心から来る、スムーズでキビキビとしたハンドリングは、カムリという名前からは想像できないような走行性能になっている。

乗り心地

5

スポーティな走行性能にも関わらず、乗り心地はしっとりと地面に吸い付くような心地よさ。カムリは2.5Lのハイブリッドモデルだけが用意されているが、ハイブリッドの静かさや滑らかな加速と、この優しい乗り心地がマッチしていると感じた。カムリの静粛性と乗り心地の良さ、後席のゆったりした空間を考えると、「クラウンに代わるハイヤーになりそう」と感じた。

積載性

4

ハイブリッド用のバッテリーを小型化することで荷室の空間を確保。トランクの間口も広くとってあるため、ゴルフバックなどもすっぽりと載せることができる。また、トランク内のレバーを引くことで、そのまま後席を倒すこともできるので、長さのあるものも簡単に積み込むことができる。後席の空間も広く、ゆったりと座れるところも◯。

燃費

5

カムリは全てハイブリッドモデルということもあり、24.3〜27.1km/L（WLTCモード）と、燃費はとてもいい。特に郊外では27.2〜30.6km/Lとこのクラスのセダンとは思えないほどの燃費を叩き出す。たとえば、「子育てが終わったけど、コンパクトカーには戻りたくない」「またゆっくりゴルフなどに行きたい」という方などにはベストチョイスなモデルになるかもしれない。

価格

4

約348〜447万円と、やはり高級セダンの価格。ただ、さらに上級モデルのクラウンと比較すると、100万円以上お得になるモデルもある。カムリはクラウンの影に隠れているが、実際に走行性能や使い勝手を考えると、十分にクラウンに比肩できるモデルだと思うので、クラウンというブランドに捉われない人は、カムリを検討してみてもいいかもしれない。