スバル レヴォーグ 「適材適所が分かれるモデル」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西川 昇吾
西川 昇吾(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

3

デザイン
2
走行性能
4
乗り心地
2
積載性
4
燃費
2
価格
3

適材適所が分かれるモデル

2023.5.22

年式
2020年10月〜モデル
総評
優れた運転支援システムであるアイサイトXとステーションワゴンというボディ形状、そして比較的良好なボディ剛性で高速道路を主体とした長距離移動での疲労度は少ないモデルだ。高速道路を多用した移動が多い人には自信を持って勧めることができる。その反面、低速域では乗り心地があまり良好でないのと、燃費性能が優れていない点からシティユースの多い人にはオススメできない。適材適所がはっきりと分かれるモデルである。
満足している点
このクルマで一番の良点と言えるのが運転支援システムだ。アイサイトXは自動車専用道路での疲労感をグンと減らしてくれるし、カーブに対するステアリングアシストも現在の運転支援システムの中ではトップクラスで、人間に近いアシストをしてくれるといった印象だ。高速道路での移動が多い人には強くオススメすることができる。ボディ形状も相まって長距離移動での疲労度は少ない。
不満な点
やはり燃費性能の悪さが最も不満が出るポイントと言える。いくら水平対向エンジンが燃費性能的に不利だからと言っても、一般的な考えを持つユーザーであれば燃費性能が原因で他の選択肢を選ぶとなってしまってもおかしくない。せっかく日本では数少ないステーションワゴンなのだから、燃費性能を良くしてもっとポジティブに選べるようになってほしい。進化したe-BOXERを採用するなど、パワーユニット的なアプローチが欲しい。
デザイン

2

先代モデルに比べて腰高感を感じるデザインとなった。特にフロント周りは先代モデルよりもボンネットの位置が高く感じる。また、エッジを多用しすぎていて、どこかアクの強い印象を受けてしまう。せっかくボディ形状の制約が少なくデザインしやすいステーションワゴンなのだから、もっとシンプルなデザインにした方がステーションを好むニーズからのウケは良いはずだ。国内外のステーションワゴンと比べると、悪い意味で目立ってしまうデザインだ。
走行性能

4

走行性能に関しては可もなく不可もなくといった具合だ。1.8Lと2.4Lそれぞれのターボエンジンを用意するが、一般的な1.8Lでも大きな不満は出ないだろう。2.4Lは快速と呼ぶにふさわしい加速感を味わえる。ボディ剛性も比較的高い印象で、ロール感も少なくコーナリング時の安定感も比較的高い。また、パワーステアリングのセッティングも自然で優れているし、ペダル類のフィーリングも自然体だ。操作系のフィーリングは気持ちよく自然な仕上がりになっている。
乗り心地

2

正直あまり良いとは言えない。乗り心地自体はハードな印象はしないものの、低速域では振動の収束が遅く、路面からの入力が振動として残ってしまっている印象だ。特にSTI Sportに採用された電子制御ダンパーの制御が複雑で、かえって悪さをしているような雰囲気がある。なお、60km/h以上では低速域で感じたような乗り心地の悪さはあまり顔を出さない。乗り心地を求めるのであれば、ノーマルダンパーのグレードの方が吉と言えるだろう。
積載性

4

ステーションワゴンというボディ形状とボディサイズを考えると一般的なラゲッジスペース。少しタイヤハウスの主張が激しい印象も受けるが許容範囲と言えるだろう。ステーションワゴン全般に共通することだが、長物を積みやすいのが嬉しいポイント。ハンズフリーパワーバックドアやカーゴフックなど、利便性の高いアイテムも用意されている。
燃費

2

正直あまり良くない。ハイパワーな2.4Lターボは当然かもしれないが、1.8Lの方も燃費性能は悪いと言わざるを得ない。ハイブリッドシステムを搭載していないとは言え、街乗りでは10km/Lを下回るような燃費性能は非ハイブリッド車と比べてみても分が悪い。この点は水平対向エンジンのウィークポイントと言える。燃費性能が良いステーションワゴンが欲しいのであれば、他に優れた選択肢がある。
価格

3

単純な性能とパッケージだけで言えば、ずば抜けてリーズナブルではないし、ハイブリッドシステムがないことを考えるとやや割高な印象すら受けるかもしれない。しかし、運転支援システムの充実度と完成度の高さを考えると約350万円〜(アイサイトX搭載車)という価格設定は妥当だと言えるだろう。国産車の中で進んだ運転支援システムを体感したいならばバーゲンプライスという見方も出来なくはない。
西川 昇吾
西川 昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在はWEB・紙の各種媒体で様々なジャンルの記事を執筆するほか、車両解説動画にも出演し、喋りの分野にも挑戦中。愛車のマツダ・ロードスターで定期的にサーキット走行をし、ドラテクの鍛錬も忘れない、目指すは「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」
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