スバル BRZ 「街乗りもサーキットもこなせるオールラウンダー、BRZに乗る！」のユーザーレビュー

街乗りもサーキットもこなせるオールラウンダー、BRZに乗る！

2020.12.13

総評

総合的に見て、これほどまでに高い戦闘力を備えた高級スポーツカーが300万円代で購入出来る国は世界中を探してもニッポンぐらいだろう。

欧州高級スポーツメーカーにも匹敵する高次元でのクルマづくりを実現したスバル。
所有するドライバーのプライドを満たす高級スポーツカーでありながら、ドライビングの楽しさという基本をも改めて教えてくれるBRZという車は、空冷ポルシェのように将来プレミア化することは間違いないといえる。

満足している点

引き締められた足回りにより路面からのインフォメーションを的確に伝え、一級品のスポーツカーとしての風格を維持しながらも高級サルーンのような乗り心地の良さをも提供してくれるBRZ。

特筆すべき点は足回りだけに留まらず、ボディ剛性の高さや内装の仕上げ、フェラーリやポルシェなどの高級スポーツカーと肩を並べることが出来るほどにエレガントなボディラインなど、クルマの隅々にわたりスバルのデザイナー･開発陣の強いこだわりが感じられる。

BRZのオーナーとなった幸運なドライバーは、このクルマの出来の良さに目を見張るだろう。

不満な点

一見すると簡素に過ぎるようにも見えるインストゥルメントパネルは、ドライビングに必要な情報を素早く提供するために考え抜かれた配置であり、各スイッチ類についてもあえて最新のタッチパネル式を採用せず、直感で操作が可能なアナログスイッチを採用している。

このあたりの作り込みは永年に渉りWRCやニュルブルクリンクチャレンジといったモータースポーツ活動に深く携わってきたスバルならでは。

もっとも、このクルマは高級ツーシーターFRクーペなのであり、クルマ任せでらくらく目的地へと到着したい方にはむしろ高級ミニバンをお勧めする。

デザイン

5

キリッとした造形のヘッドライトはBRZにおけるフロントセクションの要であり、ボンネットラインをより低く見せることに成功している。
加えて、Cピラーからトランクリッドへと一連の流れを作り出している非常に優雅なフェンダーラインは、間違いなくスバルデザインにおける最高傑作のひとつであると断言出来るだろう。

内装についてもその印象は変わらない。
ソリッドブラックで纏め上げられた内装はドライバーのスポーツマインドを高め、各種メーター類からのインフォメーションやスイッチ類の操作性についても極めて高い完成度。
そこには虚飾を排した機能美が醸し出すホンモノの高級感がある。

走行性能

5

かつてスバルのスポーツカーといえばインプレッサ WRX sti一強であったが、今やその立場は逆転しようとしている。

ターボ過給により極限まで高められた馬力とトルクで目を見張る動力性能を誇るインプレッサ WRX stiに対し、BRZは自然吸気エンジンならではの滑らかな吹け上がりで、どこまでもリニアで途切れることのない加速を見せてくれる。

搭載されるFA20型2L水平対向4気筒NAエンジンは最高出力200PS/7000rpm,20.9kgf･m/6400-6600rpmを発揮。
トヨタの直噴･ポート噴射併用技術であるD-4Sを新たに採用、燃費環境性能も旧世代のEJ型エンジンとは一線を画した新世代ボクサーエンジンとなった。

また、このBRZから駆動方式にFRという全く新しい機構を採用した点はこのクルマを語る上で非常に大きなトピックである。

コーナーリングの際、ドライバーの意図する方向へハンドルを徐々に切り込んで行けば、驚くほど素直にノーズが向かうべき方向へと入ってゆく。
このことからもBRZというクルマはスバルが満を持して放つ新世代のスーパースポーツであることが判るであろう。

筆者のようにその両方を乗り継いできた人間にとっては正直言って双方甲乙付け難いところではあるが、やはりBRZに搭載されるFA20型水平対向新世代エンジンが紡ぎ出す、自然吸気エンジンならではの胸のすくような加速に軍配を上げたい。

乗り心地

5

引き締められた足回りは路面からのインフォメーションを的確にドライバーへと伝達し、少々荒れた路面のアンジュレーションであってもこのクルマは至極上品にいなしてくれる。

かといって固い足回りかと言えば決してそうではなく、段差を乗り越える際においても不快な突き上げは皆無。
収束は至って素早く、ダンパーが的確に仕事をしていることが手に取るように判る。

スバルのクルマづくりへのこだわりは、こういった目には見えづらい部分にもしっかりと現れているのだ。

積載性

5

高級ツーシーターFRスポーツであるBRZは、そのトランク容量についても100点満点の出来栄え。

長尺物を積載するような場面ではトランクスルーが大活躍する。
トランク自体の深さもゴルフバッグやちょっとした水槽程度ならスッポリ入ってしまう大スペースだ。

高級車にはお決まりのトランク内照明もシッカリと装備されており、こちらもまた好感度である。

燃費

5

筆者のBRZが納車されて2ヶ月が経った。
その間の燃費は概ね街乗り7km/L、高速道路12km/Lといったところである。

無論ハイパワースポーツカーであるゆえにハイオクガソリン指定である点が少々懐に響くことも事実だが、これは欠点や弱点として指摘する類の事柄ではないだろう。
むしろこのプライスで無類の速さと楽しさが手に入るのならば、高級ツーシーターFRスポーツとして文句なしの100点満点を与えられるのだから。

価格

5

このクラスのクルマが新車価格300万円台で購入出来るシアワセ。

筆者の所有するWRブルーマイカ色の2014年式 BRZ Sグレードは、ネクステージ茨木 スバル車専門店にて走行17,000km台、修復歴なしで185万円で購入した個体である。

今後のプレミア化による価格高騰を考えれば今がまさにこのクルマの買い時ではないだろうか。

故障経験

クルマは機械である以上故障は付き物、という考えはもはや古いのかもしれない。

納車後2ヶ月で経験した故障は驚きのゼロ。
万一故障したとしてもスバルディーラーに持ち込めば専属のコンシェルジュが出迎えてくれ、ジックリと時間を掛けて丁寧な修理を実施してくれる。

加えて筆者の場合は購入店であるネクステージの5年保証に加入しているため、新車購入の場合同様何の心配もしていないのである。