スバル BRZ 「しっとり系へと進化したD型こそ本命か」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

しっとり系へと進化したD型こそ本命か

2024.9.24

年式

2024年7月〜モデル

総評

先進安全技術群である「アイサイト」を手に入れたピュアスポーツカー。2代目となった今作もトヨタとの協業で誕生した。SUBARUが開発した水平対向4気筒2.4Lエンジンはサーキットで扱いきれるパワー感であり、公道ではスポーツを語るにふさわしい力強さ。運転操作を学ぶためには最適に1台だ。

満足している点

GR86のスキンチェンジ版ではないかと言われ続けてきたが、初代から一貫して、乗り比べると大きな違いを感じる。サーキットでの限界走行では顕著だが、一般道路や高速道路でも乗り味、加速フィール、ステアフィールなどが別物であることが伝わってくる。こうした造り分けはSUBARUの高い技術力があってこそ。

不満な点

SUBARUファンがスポーツカーに求める要素のひとつに速さがある。走らせてみれば235PS／250N・mの出力／トルクは十分にスポーツカーのそれながら、今やミニバンですら280PSクラスを誇るだけにカタログスペックだけで判断すれば見劣りする。せめて軽量バージョンなどがあれば違う評価が生まれていたかもしれない。

デザイン

3

基本骨格はGR86と同じだが、ヘッドライト周りなどに違いが設けられた。平凡な値である3点としたのは、ヤンチャなスポーツなのか大人のスポーツなのか、キャラクターの線引きが弱いからだ。SUBARUらしさは大人のスポーツ心だと言い切るファンが多いなか、GR86との部品共通化によりどっちつかずのところを感じてしまう。ここが惜しい。

走行性能

4

じつはD型となりBRZもエンジンのピックアップを向上させてきた。ただし、中間領域での微少なアクセルペダル操作に対しての策であり、全域でピックアップを向上させたGR86とは大きく異なる。BRZユーザーからの、ちょっとしたアクセル操作への反応が鈍いとの意見を受け改良に踏み切っている。効果は絶大でアクセルでの向き替えがやりやすくなった。

乗り心地

5

GR86との乗り味違いは先代からあったが、2代目では年次改良ごとに変化の方向性が異なっている。今回のD型ではGR86がBRZに寄り添ったかのような足回りの変更を受けている。滑らかに動くがその後、グッと堪える。乗り心地にしても、しなやかさを実感できるので長距離ドライブも苦にならなくなった。

積載性

5

収納力は侮れない。ホイールに組み込んだタイヤ4本を収納した上で、工具を収納したバックやジャッキなどの収納が可能だ。これは後席を倒すことで可能になるが、後席を使った状態でもトランク内のフロア面積が広いため、工夫次第では想像以上の積載ができる。

燃費

4

市街地から郊外路面では2.4Lエンジンの豊かな低中回転トルクに助けられ、1速上のギヤ段が使えるから燃費数値は伸びる傾向にある。高速道路もしかりで、丁寧なアクセルワークを心掛ければ15km/L台をキープできる。6速ATは6速MTと実用燃費数値の上ではほぼ変わらない値を記録する。

価格

5

縦置きFRのピュアスポーツモデルは、厳しさを増していく排出ガス規制やその他の規制を前に世界各国で電動化されている。そうしたなか純エンジンのみで販売を続けているだけで高く評価したい。この先はハイブリッド化を含めた電動化の道を採らざるを得ないだろうが、残された年月、1台でも多く販売され、たくさんのユーザーと触れ合ってほしい。