ポルシェ マカン 「カイエンに続くポルシェのドル箱SUV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

カイエンに続くポルシェのドル箱SUV

2023.5.19

年式

2014年4月〜モデル

総評

マカン、マカンT、マカンS、マカンGTSと国内のラインアップは現在4タイプある。ベーシックなマカンでもポルシェが目指したSUV像がしっかりと伝わってくる。わかりやすくオンロードでの走行性能が高いからだ。ただ個人的には、純粋なスポーツカーブランドであるポルシェと、適度な緩さの許容が求められるSUVという性格はどことなくミスマッチ感が残る。

満足している点

いかにもポルシェと思わせるドライバーズカーらしいまとめ方。これがマカン最大のチャームポイントだ。運転席周りは最新の911シリーズにも通ずる各種スイッチ類が並び、TFT液晶画面も備えるが、一方でアナログ計器や物理スイッチを数多く踏襲しているので往年のスポーツカー的要素も色濃く残す。当然ながら走行性能の満足度も高い。

不満な点

車両重量がかさみ、背の高い（マカンは1621mm）SUVでオンロードでの走行性能を極限にまで高める……この路線には物理的な限界点がある。よってマカンだけでなく世の中のスポーツ性が高いSUVすべてに言えることながら、相反する性能をパワフルなエンジンとハードな足回りで支えることは、双方の特性に無理が生じる一因に。

デザイン

4

どこから見てもポルシェそのもの。カイエンに続くこのマカンが登場した際にもずいぶんと度肝を抜かされたが、今やポルシェのアイコン的なスタイルだ。サイドブレードは標準状態ではブラック塗装（艶消し塗装）され、上方向へと間延びしがちなボディをグッと引き締める。インテリアも運転視界を妨げない位置に物理スイッチを集中させ機能的に。

走行性能

4

最初に試乗したのは340PS／460N・mを発揮する2015年式のマカンS。下からトルクが豊富で1920kgの重さを感じさせないパワフルな走りが魅力的。サウンドも申し分ない。次に試乗した最新モデルは380PS／520N・m。7速PD（DCT）を介して259km/hの最高速度を誇り100km/hまでの加速は4.8秒。進化幅は大きい。

乗り心地

3

ハードな乗り味だ。もっともポルシェの基準からすれば十分に快適性能を考慮した設定だが、世界的に見てSUVがソフトライドで快適指向であることから比較すればこうした評価になる。可変ダンパーシステムを装着した場合は納得のいく乗り味になるが、速度域の低い市街地走行では、後席での突き上げ感がやや気になる。

積載性

4

ラゲッジルーム容量は広い。後席を使用した5名乗車の場合では458L。数値的には標準的ながら後席での居住性能との両立からこう評価した。後席を折りたたんだ2名乗車の場合では1503L。また、リヤシートの背もたれ部分までの高さが確保され、同時に床面がフラットなので大きめの荷物でも安全に積み込める。ここも美点。

燃費

3

マカンSにおけるWLTC値での燃費数値は8.5〜9.0km/L（ドイツ本国仕様の値）だが、国内で走らせた限りでは7〜12km/L程度。ただ、試乗した高速道路の規制速度80km/hで淡々と100km程度を走らせた場合に14.0km/L台を記録した。燃費数値云々を語るモデルではないが、想像よりも良好だ。

価格

2

「マカン」791万円、「マカンT」854万円、「マカンS」1013万円、「マカンGTS」1235万円。パフォーマンスからすれば妥当だが、いざオーナーになろうとすると、やはり各種オプション装備品がほしくなる。ベーシックなマカンでもボディカラーや機能装備を加えていくと1000万円の大台はすぐに突破する。