ランボルギーニ ウルス 「チータを起源とするランボのSUV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

3

デザイン
3
走行性能
3
乗り心地
4
積載性
2
燃費
2
価格
2

チータを起源とするランボのSUV

2023.7.20

年式
2017年12月〜モデル
総評
電気でドーピングされたBEVはどこかつまらない。とうことで、世界中のスポーツカーメーカーは依然としてガソリンをバンバン燃やして走る劇速モデルの販売を継続する。ランボルギーニのSUV「ウルス」もそのひとつ。同社のプロトタイプ「チータ」から量産「LM002」の流れを汲む、スポーツSUVで666PSのV型8気筒ガソリンターボを搭載する。
満足している点
666PSのハイパワー、305km/hのトップスピード、2200kg(パフォーマンスは2150kg)の車両重量に負けない大径カーボンブレーキと、どれも第一級。停止状態から100km/hで3.5秒、200km/hもわずか12.8秒。上位モデルの「パフォーマンス」なら100km/hまで3.3秒/11.5秒。必要かどうかは別にして一般的なSUVの2〜3倍の速さを誇る。
不満な点
購入候補と捉えられる人からすれば不満にならないだろうが、運転席からの見切りが前方、後方ともに悪い。運転席周りの操作系もスイッチがとても多く、見た目にはゴージャスながら使い勝手は良くない。一部にアウディブランドで使用しているパーツもあるが、その配置が独特だ。大径(21〜23インチ)かつ超偏平タイヤは維持管理だけでも高額に。
デザイン

3

奇抜さがあってこそのカテゴリー。ゆえにこのスタイルでも、まだおとなしいとする向きもあるという。個人的にはランボルギーニ各モデルの低く構えた精悍さが、SUV化によって大きく減退したように思える。車両のそばに立つとわかるが、すごい押し出しである一方、トップブランド各車が解き放つ美しさみたいな部分が感じられない。デザイン解釈はとても難しい。
走行性能

3

試乗は市街地中心で渋滞気味の高速道路を少し。よって666PSのパフォーマンスは片鱗しか味わえていないが、十分に狙い所は伝わってきた。まず音。どの速度域でも刺激的だ。ドライブモードによってはさらに誇張される。次に振動。ステアリングやシートは路面状況をハッキリと伝えてくる。最後に速さ。ガツンと踏み込んだ際の振る舞いは強烈だ。
乗り心地

4

あまり期待していなかったのだが、アダプティブエアサスペンションがもたらす乗り味は終始フラットライドで快適だった。もっともショーファードリブンのような滑らかさはないが、路面のざらつきや凹凸をきれいにいなす。減衰力そのものは高めでロードノイズもそれなりにあるが、サーキット走行までを視野に入れた設定であることを考えれば十分に納得できるセッティングだった。
積載性

2

このボディなのでラゲッジルーム容量には期待が持てそうもないが、実際は616Lのスペースを誇る(5人乗り仕様の値。4人乗りの場合は574L)。複雑なリンク機構を持つリヤサスペンションながら張り出しがほとんどなく、荷室の床面はフラット。地面からの高さはそれなりに高いので重い荷物の積載には手間取るが、スポーツモデルとして考えれば実用性は高い。
燃費

2

ベースモデルの「S」、上位モデルの「パフォーマンス」ともにWLTC値で7.09km/Lだ。筆者による短時間試乗では、市街地で6km/L台、高速道路区間で8〜10km/L台。ガソリンタンクは75L/85Lと大きく、リザーブタンク分として約20L分を確保する。燃費数値うんぬんを気にするようであれば、この手のハイパフォーマンスカーは楽しめない、ということか。
価格

2

3000万円以上の車両本体価格。ランボルギーニとして考えれば妥当なのだろうが、とても一般的な価格帯の車両ではない。ただ、走行性能からすれば所有満足度はとても高いだろう。もっともウルスよりも高額な車両はいくらでもあるが、フォルクスワーゲングループに属していることから、アフターメンテナンスという点でも高い安心感が得られるはずだ。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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