ジャガー XF 「Manners make the man.」のユーザーレビュー

けいとく けいとくさん

ジャガー XF

グレード:2.0 プレミアム ラグジュアリー_RHD(AT_2.0) 2014年式

乗車形式:マイカー

評価

4

走行性能
4
乗り心地
4
燃費
2
デザイン
5
積載性
3
価格
3

Manners make the man.

2021.4.3

総評
『乗り手を選ぶクルマ』という言葉には二つの意味合いがあると考えます。
一つは高性能なあまりピーキーな気難し屋だったり莫大な維持コストを要求したりする、『ある一定以上の水準で乗り手に腕前や財力を要求するクルマ』。
もう一つは培ってきた世界観や顧客層を背景にした(ブランド側が必ずしも発信しない)世間一般でのイメージから『ある一定以上の水準で乗り手に品位や教養、センスを要求するクルマ』。

ジャガーXFは後者なのではないでしょうか。
確かに維持コストや故障の可能性は国産に比べると少なくはありませんが、それ以上に我が国ではジャガーというブランドに『少なからぬ歳を経て教養と品格を兼備した、紳士の選ぶ英国趣味の高級車』という暗黙の了解が存在するように思います。

自動車評論の大家、故・徳大寺有恒氏のように『外見のみならず内面においても常に自分を磨き、何処に出しても恥ずかしくない紳士たらんとする』一種のダンディズムを追求する人物にこそ相応しく、また『このクルマに相応しい紳士となろう』とする人を教え導いてくれる、そんなクルマであるように感じます。

英国趣味を前面に押し出したスパイ映画『キングスマン』に準えるとすればジャガーはコリン・ファース演じるベテランスパイ・ハリー、我々オーナーとなった諸氏はタロン・エガートン演じる新人スパイ・エグジーでしょう。

Manners make the man.(礼節が人を作る)
市民階級の出身でありながら卓越した才能を発揮してジャガー・カーズをロイヤルワラント(英国王室御用達)を拝するまでに育て上げ、自らもサーの称号を賜った創始者、ウィリアム・ライオンズによる『後世に生きる男達』への、自動車という姿に託した訓示なのかも知れません。
満足している点
国産車やジャーマンプレミアムとはまた違った有機的でグラマラスなボディライン、伝統のウッドとレザーに新時代を感じさせるアルミを配した上品な内装、Eセグメントぎりぎりのサイズを感じさせない車両感覚の掴みやすさと旋回性能の高さ。
不満な点
車体重量に対してアイドリング時のエンジントルクが負けており、下り坂を除いてクリープだけでは発進できずアクセルを軽く踏んで鞭を入れる必要があること。
↑に起因する、ストップ&ゴーの多い市街地での燃費低迷。
デザイン

5

【エクステリア】
美麗で涼やかな眼力を印象付ける切れ長のヘッドライト、Eタイプにインスパイアされた抑揚の効いた立体感ある長大なエンジンフード、ベルトライン&ルーフからCピラーを経由しトランクリッドで纏め上げられる有機的な曲線が醸し出すリアセクションの色気。

かのアストン・マーティンでその手腕を遺憾なく振るったデザイナー、イアン・カラムによるヘリテイジ・ジャガーへのオマージュを込めた現代的回答。

【インテリア】
ウッドとレザーといったジャガー伝統の内装に、新時代の象徴として新たに採用したアルミニウムフェイシア。
かつて大面積のウッドが幅一杯に鎮座していたダッシュボードのランウェイはドット加工を施したマットアルミのパネルへと変貌し、Jゲートに象徴されたジャガーのATセレクターはエンジンの目醒めと共にせり上がるロータリーセレクターへとバトンタッチ。
ウッドはセンターコンソールのリッドを筆頭にダッシュボードやドアパネルのアクセントとなり、JのモチーフはポジションランプのJブレードにその面影を留める。

しかしながら、それらは決してジャガーの伝統を途絶えさせる物ではなく、むしろ変化し続ける時代にあって尚ジャガーらしさを残すべく昇華させたように感じます。
まさに『伝統とは常に革新の中にあり』という創業者サー・ウィリアムの理念そのものでしょう。
走行性能

4

重量のある大型サルーン+2リッターターボの組み合わせなので、発進時のアクセルを踏む前など『ターボが効いてない領域』ではトルク不足を感じますが、中間加速や巡航時の動力性能については申し分ありません。

燃費重視のダウンサイジング系ターボながらパワーウェイトレシオはスポーツカーレベルの7.29をマークしており、エコブーストエンジンの『240PS/34.7kgf·m』を誇るスペックと8速ATの組み合わせが叩き出す運動性能は、パルサーGTI-RやGCインプレッサWRX&ランエボⅠ〜Ⅵ等の90年代初頭における国産トップパフォーマンス車に比肩する好成績です。
高速道路における巡航でも頭打ちにならず、寧ろ速度の上昇と共に燃費が向上するので郊外や都市間の長距離移動に適しています(英国は日本と同様の島国ですが、国境や州境を跨いで移動する欧米諸国の市場に合わせているのでしょうか)。
ブレーキも良く利くので不安は感じず、思い切ってアクセルを開けて加速できます。

ハンドリングについてはFR車を所有したのが初めてなので評価への影響は多分にあると思いますが、曲がり角やコーナーで切り始めて半分過ぎた辺りからのイン側に切れ込むような旋回性能の高さにも驚いています。
狭隘路や車庫入れの際にも車格の割に回転半径が小さく、フロント周りのデザイン面に由来する見切りの良さも手伝って取り回しが容易です。

追記:同じ250系XFのV63.0SCを所有し比較して、エンジン回りの重さが如何にハンドリングに影響を与えるかを肌で感じました。
比較的軽量な2.0直4エンジン+これまた軽いターボチャージャーの組み合わせは、とても240馬力を生み出すとは思えないハナ先の敏捷さを獲得しています。
シフトダウン2つとキッカケのブレーキングのみで、巻き込むようなダウンヒルのコークスクリューを右に左にヒラヒラとパスする走りは、3.0SCには到底出来ない芸当です。
エンジンの性能限界では劣るものの、公道でのアクティブなスポーティネスを求めるのであれば2.0ターボの方を推します。
乗り心地

4

伝統の猫足と噂には聞いていましたが、うねりの連続する路面でもバタつく事なく地面に吸い付くように走る異次元の追従性に感嘆しました。
タイヤを新品に換えてからはロードノイズも低減され、直線ではフラットで静かな乗り味に魅せられています。
(舗装の継ぎ目や段差の存在、また荒れた路面のザラつきは感じ取れますが、継ぎ目でカツン、段差でコトンといった程度で、それらよりも微細な路面の状況は音や衝撃ではなくステアリングやペダルに伝わる微かな振動でドライバーへ示すのみで、座面や背中に伝わらないのは流石と思います。)

シートも適度な固さと反発でホールド性も高く、フロントのみならずリアシートも快適なので大人4人での長距離乗車にも十分応えられます。
積載性

3

国産ではクラウンやフーガ、欧州勢ではEクラス&5シリーズやA6と同じセグメントと言うだけあってトランクルームは広大です。
リアシートも分割可倒式なので、片側を倒せばゴルフバッグを縦に3つと各々のボストンバッグは余裕で載るでしょう。
(倒さない場合でもボストンバッグ3つとゴルフバッグ2つは載ります)

しかしながらあくまでセダンタイプなので、絶対的な積載量ではミニバンやSUVに譲ります。
天地方向も昔のジャガーよりは広がったものの、あまり背の高い荷物は載りません。
燃費

2

2リッターターボ仕様のガソリンエンジンなので税制面での出費は抑えられますが、街乗りですと実質燃費はかなり悪いですね…(およそ6.3km/L)。
高速道路を120km/hフラットで巡航していて12km/L〜10km/L程度(満タンから全区間巡航でも700kmの壁は険しい程)なので、ハイオク指定ながら航続距離が短いのでは?という気がします。
(もっと巡航速度を上げれば燃費も航続距離も向上するのでしょうが、高速隊のご厄介になる確率が跳ね上がるのでお勧めしません。)


追記:3.0SCに乗り換えたところ、街乗りでの燃費が更に悪化して5km/Lを下回りました。
(アイドリングストップは付いているものの、作動するタイミングが市街地向きではないので切っているというのもありますが…)

高速では積極的に上のギアへ切り替えて行くので燃費は同等以上ですが、トータルで考えると2.0Tは少燃費だと感じます。
価格

3

内外のデザインと素材の質感、ならびに走行性能を第一義に考えるならば、中古車市場の価格帯では間違いなく『買い』の1台だと思います。

『美しく、速いクルマ(Beautiful,Fast car)』を具現化するエクステリアデザインとパワートレインの組み合わせ。

国産車では例えEセグメントの高級車であっても『ウッド調パネル』と『ハンドルとシート表皮だけ本革』なのに対し、ステアリング&シートやアームレストだけでなく、ダッシュボードやドアインナーパネルに至るまでダブルステッチのレザーを奢り、ウッドパネルは全ての箇所に銘木の突板を配する贅沢な内装の仕上げ。

にもかかわらず新車保証の切れた経年車の信頼性の低さから、新車価格の割りにリセールが悪いと良く聞きます。

確かに距離が嵩んでいるとはいえ年式にしては破格でしたので、先達の記事を参考に大きな故障が起こる前に対処したい所です。
故障経験
足回りのブッシュやブーツ類は前のオーナーが一式交換していたようですが、車検整備の際にリアのアームブーツとテンションロッドブーツに破れが見つかったので交換しました(工賃込みで13万弱。2年で3万kmも走っていれば当然か?)。
11万kmを超えてショックアブソーバーもそろそろヘタリが見えてくる頃なので、交換を視野に入れたほうが良さそうです。

故障ではありませんが、欧州車に共通する『ブレーキローターの長寿命化よりもストッピングパワーを重視する姿勢』を踏襲しているため、実用サルーンであるXFと言えども10万kmを超えるとブレーキローター(&パッド&パッド残量センサー)の交換が車検整備の項目に含まれてきます。
ディーラーや整備工場に依頼すると15〜20万のコースになるため、多走行車のオーナーさんは留意して下さい。

12万kmが見えてきたあたりで、電動パーキングブレーキの作動不良が出てきました。
去年車検を通してから1ヶ月後に警告が出て、翌日には消えたので一過性の物かと思いきや…2月頃から週に一度、3月に入ってからは毎日のように警告が出ました。
一度専門の工場に預けたのですが原因不明で一旦返却、数日してまた警告が出たので再度預けて様子見を決め込んだところ、アクチュエータの故障との回答が来ました。
保険の特約で修理できましたが、リアキャリパーブロック全交換で総額28万との事でした。
自費で修理される予定の方はご留意の程を。

イグニッションのON-OFFに連動してドライブセレクターとエアコン吹出口が出没するのですが、少し前から運転席ドア側の吹出口が開閉しなくなりました。
他と連動して動くような素振りは見せており、風も出ており、中には故障などしていないとばかりにほぼ完全に動作している日もあるのですが…。
おそらくアクチュエーターのモーターかピニオンの不具合でしょうが、交換するとなるとASSY確定なので溜息するばかりです。

新車登録から7年半ほどで夏場を前にエアコンが冷えなくなりました。
巡航している分には問題ないのですが、停車時や渋滞中は蒸し風呂状態で、おまけに除湿もできません。
車検のついでに修理を依頼したところ、コンプレッサーの交換とガスチャージで30万コースでした(ジャガーのサルーンでは空調の故障は定番だそうです)。

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