最近IHIが開発した将来戦闘機に向けたエンジンXF9-1は推力15トンと書いてありますが、F15やF22のエンジンと比べてどうなのですか？高いですか？

Answer 1

航空機用エンジンの性能は、最大推力ではなく推力重量比で見ます。Ｆ－１５のＦ１００、Ｆ－２２のＦ１１９の推力重量比はそれぞれ７.４と９.０。ＸＦ９－１は正確な推力重量比が公表されていません。ただ９以上となっているので、Ｆ１００より優れているのは当然のこと、Ｆ１１９と比べても優れています。もっともアメリカの最新の戦闘機用エンジンはＦ－３５のＦ１３５。こちらの推力重量比は１１.４６７です。

もう一つターボジェットエンジンで大切な技術にタービン入口温度があります。これが高いほどエンジンを小型化しやすくなります。つまり推力重量比を改善させるに、一番大切なデータです。マラソンの記録は必ずしも選手の心臓だけでは決まりませんが、心肺機能が弱いマラソン選手はいないはず。タービン入口温度はターボジェットエンジンにとって、それくらい大事なデータです。Ｆ－１００は、Ｆ－１５Ｃに使われているＦ１００－ＰＷ－２２０の数値は見つけられませんでしたが、最新型の－２２９で１３５０℃。Ｆ１１９では１６００℃。そしてＦ１３５では２０００℃。これに対して我がＸＦ９－１は１８００℃。どう考えてもＸＦ９－１の推力重量比が９台で収まるはずがないと思いませんか？１０台前半を出せるはず。まあタービン入口温度だけで決まるということでもないから、９台後半、ぎりぎり１０に届かないのかもしれません。

ちなみにメーカーによるアナウンスを鵜呑みにするなら、世界で一番優れたエンジンはＳｕ－５７に搭載されているＡＬ－４１Ｆ１です。タービン入口温度自体は１６００℃に過ぎないのですが、耐熱性セラミックスや耐荷重チタン合金など新素材の多用によりエンジンの軽量化に努め、推力重量比は１１.０です。この数字だけならＦ１３５のそれに少し負けていますが、ＡＬ－４１Ｆはアメリカでもまだ開発中の可変サイクルエンジンです。本気でアフターバーナーを吹かしまくったらＦ１３５の勝ちだけど、そういう非常時を除けばＡＬ－４１Ｆの方が優れているでしょう。もっとも、再度繰り返しますが、メーカーによるアナウンスを鵜呑みにすれば、です。軍事情報はメーカーや軍が言っていることを客観的に検証することはなかなか出来ないので、あとはこのアナウンスを信じるも良し。信じないも良し。お好きなようにされてください。私は眉唾と思っています。でも１１.０と謳う以上、１０台はあるのではなかろうかと思います。また可変サイクルも、取り扱いが面倒かもしれないけど、一応実用化に達しているからアナウンスしているのだろうと考えています。

一方で防衛省はＸＦ９－１の試験結果を持ってＦ－３の開発をどう進めるのか決めるとのこと。この結果が良ければＦ－３のエンジンをＩＨＩが担当するのでしょう。となると国際共同開発の相手国をイギリスにお願いできないということです。イギリスが戦闘機を作るのに、ロールス・ロイスが蚊帳の外に置かれるということはありえません。ちなみにロールス・ロイスはＧＥと協同でＦ－３５の代替エンジンを開発していました。議会から予算が出なくなったために開発が中断しています。

ＸＦ９－１を採用すれば、海外輸出も念頭においている機体としてイギリスに旨みがないのでイギリスがのってこない。イギリスと組んでこのエンジンを採用すれば、Ｆ－３５と同等のエンジンを載せられる。その代わりＸＦ９－１はお蔵入り。どちらもメリット・デメリットがあるのですが、結局はロシアの機体との総合比較で決まるでしょう。

Answer 2

単純にA/B出力だけで比較するなら

Ｆ－２２のF119-PW-100より９ｋＮほど低い。
Ｆ－１５のＦ‐１００（F100-PW-229）より２１ｋＮほど高い。

エンジン能力は単純に推力だけで比べられるものではありませんが、F119は30年ほど前に開発されたエンジン。
Ｆ‐１００に至っては改良が進んで熟成されたとはいえ40年度前に開発されたエンジンです。

ＸＦ９‐１が同じ土俵に立ってるとは思えないですね。