2013年3月
■2013年3月
フェラーリはジュネーブショーでラフェラーリと呼ぶ限定販売の新型車を発表した。すべての面において最も優れたフェラーリであるという意味を込めたネーミングだ。
外観デザインは機能とフォルムの一貫性を徹底追求したもので、フェラーリが誇る伝統を継承しつつ革新的なデザインを創り出したという。鋭く下向きに傾斜するノーズはサイドフォルムを特徴づけるており、力強いホイールアーチ・デザインを強調する低いボンネットは、1960年代フェラーリのスポーツ・プロトタイプを連想させる。
この外観デザインは最新のエアロダイナミクスを両立させており、コンピューター解析と風洞実験を重ねるとともに、F1マシンの製作から得られたノウハウなどを注ぎ込むことによって、理想的な空力性能を持つクルマに仕上げられた。
フロントはアンダーボディのディフューザーとガイドベーン、リアもディフューザーとリアスポイラーにエアロダイナミック・デバイスが配置され、走行条件に応じてアクティブに自動制御される。アクティブ・エアロダイナミクスシステムは、フェラーリとして初の採用であり、ほかの制御技術との間で総合的な制御がなされている。
インテリアは、新たに設計されたステアリング・ホイールが主要な操作を可能にした。ギア・シフトパドルは人間工学的な改善がなされて長くなるなど、インテリアの全てにレーシング・モデルからインスパイアされた設計がなされている。
ボディの基本となるアーキテクチャーは、F1技術からフィードバックされたKERSと呼ぶハイブリッドシステムを前提に開発された。これによって一定の容積を必要とするハイブリッド・システムを搭載しながら、理想的な重量配分(59%リア)とコンパクトなホイールベースを達成している。
ボディの基本骨格はカーボンファイバーが採用され、フェラーリのレーシング部門が4種類以上のCFRPを手作業で製造することで、軽量かつ剛性の高いボディを作っている。
ラフェラーリのパワートレーンは、V型12気筒6.3リッターエンジンをベースに、HY-KERSシステムを組み合わせて駆動するもので、フェラーリ史上初のハイブリッド車だ。エンジンは800psのパワーを発生し、これに120kW(163ps)の電気モーターを組み合わることで、総合的な最高出力は963psを実現している。
電気モーターだけでも数kmを走ることが可能な設計で、モーターだけでも低速回転時に高いトルクが得られるので、ラフェラーリのエンジン特性は高速回転域で最適化されている。これによって、全回転域で一貫した高いパワーを得ることができ、900N・mを超える総合最大トルクを発揮する。
HY-KERSには2基のモーターが採用され、1基は駆動輪を、もう1基は補助システムを駆動させる仕組み。7速DCTを通じて後輪を駆動する。フロアに取り付けられたバッテリーパックは、最新のF1マシン用に搭載されたKERSを生産しているスクーデリア・フェラーリで組み立てられた。
ラフェラーリにはハイブリッドシステムと統合されたブレンボ製のブレーキシステムを採用するなど、ほかにも多くの技術的なハイライトがある。いずれにしてもハイブリッドシステムとアクティブエアロダイナミクスによって、これまでにない性能を備えたのがラフェラーリであるのは間違いない。
ラフェラーリはフェラーリを複数保有するユーザーなどに向けて限定的に販売される。
※カタログ車両本体価格は130万ユーロを1ユーロ=124.80円で計算。