スポーツカー完全体
今までのV8MRは高速走行を得意としていない。
想像以上に早い段階でフロントが浮き出し、あっという間に不安定になる。
重いエンジン
2012.8.14
- 総評
- スポーツカー完全体
今までのV8MRは高速走行を得意としていない。
想像以上に早い段階でフロントが浮き出し、あっという間に不安定になる。
重いエンジンを後ろに積んでいるからなのだろうか。
大体、ミッドシップをレイアウトで選択する理由は元々姿かたちではなく
その重量配分が走行に好結果をもたらすハズだからである。
にも関わらず、
コーナリングにすらその貢献はほとんど無かったと言える。
360にしろ430にしろ、車体を曲げるのは一苦労。
何しろコーナリングの最中でも接地感が乏しいのだ。
アウトに飛びそうな不安が常に付きまとう。
今までのV8の評価上で、良いとしているところは、
どこか前期モデルとの比較の感覚で評している部分が多い。
355は348と、430は360といった具合だ。
しかし、このモデルは別物。
458は全ての部分が高レベルでリンクし合い、まるでフリクションを感じない。
ともすれば、おもちゃか?と思わせてしまうほど全てが軽々としている。
なので、ほとんどの行為は一生懸命やらなくても思い通りに事が進むのだ。
例えばコーナーに差し掛かって、ステアを切り出す。
と、動き出すのは自分の身体からである。
足も暴れない。フロントも逃げない。接地感は抜群。
ロールもほとんど感じ無い。ハンドルにも余計な負荷がかからない。
立ち上がりもGの処理などせずとも、そのまま視線にそって
スムーズに車体は向きをかえてくれる。
車を動かすという感覚よりもバイクのコーナリングに近い一体感がある。
無論、それよりもっと安定・安全に駆け抜けることが出来る。
今までの1.3倍以上の速度で進入が可能という恐ろしい進化である。
高速走行でもそうだ。
どうしてこういう走りになるのかわからないのだが、
いつまでもフロントが浮いてこない。
以前のモデルなら絶対にステアリングの反応が甘くなってくる速度なのに
路面からのインフォメーションがばしばし伝わってくる。
もちろん振動は増すが、しかし挙動は乱れず完璧に安定している。
例えるなら、空気を切り裂きながら潜るように路面に張り付く感覚。
すげーーくるまだ。
5段跳びくらい途中をすっとばしてきたような新型。
- 満足している点
- 直進安定性
430でも170を超えてくるとリフト感ははっきりしてくるのだが、このモデルはそれを超えてもアゴが上がらない。
612のようなフロントエンジンだと「ドッシリ」と地に根をおろしたような安心感が高速域でも続くのだが、これとはまた違った感覚である。
先述のように気流を最大限使って一生懸命浮き上がりを阻止している。
コーナリング
先述通りスパンスパン曲がる。4輪がガッチリと路面を捉えており、ロールもほとんど感じない。
ノーマルのままサーキットに持ち込んでも十分楽しめる性能を持っている。
視界が広い。
出来の良い車なので体感速度が低い。にも拘わらずメーター速と視認速度感のズレが少ない。
要するに目に飛び込む景色は速く感じる。
理由は、ドライバーは正面を向いていても左右に流れる景色が視界に入ってくるため。
大抵はサイドウインドウの景色はあえて視線を移さないと意識できない。
スポーツシートがベスト
電動ではなくなるが、なんとも座り心地が良い。2時間くらいのドライブでは腰への負担は感じられない。16Mのバケットよりも数段良い。
座面が滑らない上、日本人にあつらえたかのような形状はモモ、腰、背中にピッタリフィットしサポート力が非常に高い。
DCT
本当に一瞬の間もなくシフトが変わる。面白すぎる。
今までのシングルクラッチだと、0発進後、2速へのシフトUPで必ずアクセルを小戻しして
どうしても動力を一旦切る必要がありそれなりに手間であった。ダッシュではトルコンに負ける場面も多々有り。それが完璧に無くなった。
アクセルを踏んだまま、動力が切れないまま2速に入るのだ!
逆に今までの癖でアクセル小戻しするとギクシャクする動きが発生する。
レスポンス
エンジンのレスポンスが凄まじく精密である。
アクセルに数グラム負荷をかけるだけでも、タコはびびっと反応する。
空ぶかしすればよくわかる。針が上りと同じ速度で下がるのだ。
間違いなくレーシングエンジン。
それだけ反応が良すぎるのに走行はギクシャクしない。
ドライバーが伝えたいアクセルの開閉にだけエンジンが応えるといった具合。
- 不満な点
- 純正ナビ
画面のサイズが小ぶりなので見にくく、元々の性能自身が高くないモデルなので
使い勝手が良いわけではない。
また、本来の表示サイズより縮小表示しているのか、画質も悪くにじんでいるようにも見える。
室内収納
走りを意識した造りであろう為、物を収める装備が乏しい。
薄いドアポケットとセンターに2つのカップホルダー、浅い凹み程度。
シート後ろもさほどスペースが無く、ゴルフバッグを積むのも無理矢理だろう。
到底連泊旅行などには向いていないと思われる。
アクセルの時折
レスポンスが高反応過ぎることから、本当に雑なアクセルワークをすると車体がギクシャクすることがある。
低速ギア・高回転状態でアクセルを無駄にちょこちょこすると発生する。
当たり前ではある。
バッテリー
電力消費が多い。いままでのモデルよりも早くバッテリーがアガる。
キルスイッチも無いらしい。
保管中は家庭用コンセントから電力を補給することができるのだが、
日本ではなかなかそうはいかないのが現実。
燃費
あんまりにも楽しくてエンジンを回して乗っちゃうのもあるが、
みるみるガソリンが減る。
正確に計測したことはないが、430よりも燃費は悪そう。
- デザイン
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- 走行性能
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- 乗り心地
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- 積載性
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- 燃費
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- 価格
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- 故障経験