BYD ATTO3 「日本、欧州、中国の合作BEV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

3

デザイン
3
走行性能
3
乗り心地
4
積載性
4
燃費
4
価格
4

日本、欧州、中国の合作BEV

2023.2.19

年式
2023年1月〜モデル
総評
群馬県館林市にある金型工場を活用し、欧州のデザイナーや走行性能担当者を起用。そしてBEVの要となるバッテリーは自社生産と徹底した高効率化と適材適所の販売戦略を推し進めるBYD。ATTO 3はその柱となるSUVモデルだ。執筆時現在、型式認定ではなく輸入自動車特別取扱制度を活用し日本で販売を行なっている。
満足している点
特別感がないところ。これは人により不満点になるだろうが、ICE(内燃機関)車から乗り換えても違和感なく運転できる。たとえば2段階ある回生ブレーキは標準状態でICE車と同じ緩やかな減速度に留めた。ハンドリングも穏やかで、後席の乗り心地も良い。室内空間も広く遮音性も高い。つまりわかりやすく乗りやすい、これが美点だ。
不満な点
まずデザインだ。NGなわけではなく、あまりにも平凡なシルエットだからだ。この先、日本に導入されるコンパクトモデル「DOLPHIN」、セダン「SEAL」はハッとする要素があるが、ATTO 3は良くも悪くもまとまっており新鮮味に欠けてしまった。次に車内HMIだ。配置はとてもよく考えられているが、運転席前の液晶はとても小さく視認性に欠ける。
デザイン

3

不満点としても明記したが、フツーのSUV、ちょっと厳しいことを言えば1世代前のSUVデザインだ。面の処理はきれいだし、各パーツの精度も高く、部材の隙間も均一ながら、華がない。いっそのこと、シルバー加飾のグリル、ドアミラー、ホイールをマットブラック化しつつ、ベージュやカーキグリーンなどまとわせればグッと存在感が増すと思う。
走行性能

3

動的性能は3点だが、乗り心地は4点だ。駆動モーターは204PS/310N・m、正極にリン酸鉄を使うLFPバッテリーは58.56kWhでAERは485km。最小回転半径は5.35m(日本表記だと5.4m)だから取り回しも良い。繰り返すが、動的性能はそれほど高くないが、高速道路でも不足なし。光るのは高い静粛性と優れた乗り心地だ。
乗り心地

4

なぜ乗り心地が良いのか? 一般的に重量物であるバッテリーを床下に搭載すると重心位置は下がるが、荒れた路面では細かい周期の上下動に悩まされる。よって、身体が揺さぶられることになる。対してATTO 3は元メルセデス・ベンツで走行性能を担当していた技術者を起用して徹底した滑らかさを実現。それはEQAにも似た乗り味だ。
積載性

4

積載能力は十分に高い。容量も大きく、高さも十分。なにより左右の張り出しがないので積載時のストレスもない。フロアとハッチには段差があるが、これがフラットであれば5点だった。6:4の分割可倒式リヤシートは助手席側が6となる。シングルフォールディング式で倒した際には若干、背もたれ部分に傾斜がつくが、これは後席座面が厚いからだ。
燃費

4

LFPバッテリーはエネルギー密度が他のリチウムイオン方式よりも低いとされるが、発火などの危険性が少ない。また、レアメタル31種に起因するレアアース17元素を含まない。BYDがブレードバッテリーと呼ぶ同バッテリーはメリット/デメリットが明確だ。ただ、筆者による約80kmの試乗では8.9km/kWhとWLTC値の6.9km/kWhを大きく上回った。
価格

4

外部給電機能としてV2Xに対応するので、ATTO 3の補助金は85万円。車両価格が440万円だから、355万円がスタート価格。これに居住する自治体の補助金がプラスされるから実質300万円台前半で購入可能。同クラスで同装備のICE車との価格差はないに等しい。しかし、補助金の原資は我々の血税である。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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