アルファロメオ ジュリア 「ドイツプレミアムに挑むアルファの本気」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

ドイツプレミアムに挑むアルファの本気

2021.9.30

年式

2017年10月〜モデル

総評

以前のアルファロメオとは異なり信頼性も高まっているので、購入のハードルは下がっている。リセールバリューは気になるところだが、いっぽうで走りのフィーリングは抜群によく、Dセグメントのスポーツセダンと考えると魅力は高い。

満足している点

ジュリアを選びたくなる大きなポイントは2つある。ひとつはスポーツセダンとしての走りの愉しさ。もうひとつは彫刻のように美しいエクステリアデザインだ。以前のアルファロメオと異なり、メカニズム的にも完成度が高くて乗り味もバランスがいい。なにより、ドイツ御三家のような“定番感”がないのがクルマ好きにとって魅力ではないだろうか。

不満な点

ドイツ御三家に比べるとリセールバリューが劣るのは事実だが、それを上回る魅力を見いだせれば積極的に選ぶ価値がある。ボトムグレードの「スプリント」はカーナビ非搭載だが、スマホを接続してナビアプリを活用すれば事足りるので、日常的にスマホを利用している人なら困らないだろう。

デザイン

4

ジュリアといえば、初代は「ジュリエッタ」の後継として1960年に登場したモデルだが、ここで取り上げるのは2016年デビューの2代目。アルファロメオにとって久々のFRモデルだ。フロントの伝統的な盾型グリルがアルファロメオを象徴するとともに、「156」から受け継がれる筋肉質のデザインは躍動的で独特の個性を放つ。スタイルだけでも多くを語れるクルマだ。

走行性能

4

ハンドリング性能が素晴らしい。コーナーはまずスッと切れ込んで素早く向きを変え、旋回中はリヤがズズズっと大地を蹴りながら曲がるFRらしい挙動が味わえる。峠道を楽しく走れるスポーツセダンだ。高性能モデルの「クアドリフォリオ」になればそこに過激さが加わり、スポーツカー以上のドライビングプレジャーを楽しめる。

乗り心地

3

仕様により乗り味は異なるが、全体的に乗り心地が悪いこともないし、逆にラグジュアリーカーのようなふわりと包み込まれるというほど高い快適性能でもない。スポーティなセダンと考えれば標準的な水準とイメージしておけばいいだろう。「クアドリフォリオ」には電子制御ダンパーが組み込まれ、走行モードにより乗り心地が変化する。

積載性

4

480Lの荷室容量は、Dセグメントセダンとしてもかなりの実力。奥行きはかなりある。トランクリッドのアームはグースネック式だが、閉じた際はアームがトリム内に収まる設計なので邪魔にならない（そのため左右幅は若干狭め）。リヤシートの背もたれは4:2:4の3分割で倒すことが可能で、床が完全にフラットに保たれるのも実用的だ。

燃費

3

直列4気筒ガソリンターボエンジン車のWLTCモード燃費は12.1〜12.4km/L。イタリア車とはいえ、最新モデルだけに極端に燃費が悪いということはない。いっぽうV6ガソリンターボモデルの燃費値は非公表だが、こちらは出力優先だけに期待しないほうがいい。空いた一般道走行で8km/L程度が目安だ。燃料コストでもっとも有利なディーゼルエンジンは、2020年7月に輸入を終了してしまった。

価格

2

新車価格460万円から。単純に見ると高いが、メルセデス・ベンツ「Cクラス」、BMW「3シリーズ」、そしてアウディ「A4」といったドイツの御三家と比べれば納得できるもの。いっぽう、「AMG」や「M」に匹敵するスーパースポーツモデルの「クアドリフォリオ」は1174万円からとかなり高価だが、そのドライビングプレジャーを考えればライバルに対するコストパフォーマンスは高い。