三菱自動車は10月9日、アシュワニ・グプタCOO(最高執行責任者)が日産のCOOに就任することを承認したと発表した。三菱自の後任のCOOについては今後、検討していく。同日に三菱自の本社で益子修会長とグプタCOOが会見して明らかにした。グプタ氏は「(日産で)チャレンジしたい」と、意気込みを示した。
日産は10月8日の取締役会で、2020年1月1日付けで内田誠専務執行役員の社長兼CEO(最高経営責任者)への昇格とともに、グプタ氏の日産COO就任を内定した後、三菱自に打診。これを受けて益子会長とグプタ氏の2人で話し合った結果、パートナーである「日産が生まれ変わって前に進もうとして、その時にグプタ氏がどうしても必要ということだったので苦渋の決断だが受け入れざるを得なかった」(益子会長)という。
グプタ氏は今春、長年にわたって三菱自のトップを務めてきた益子氏がCEO職を外れて、加藤隆雄氏が社長兼CEOに就任したのに伴って、これを支えて実務の面で三菱自の成長戦略を主導する役割を期待されてCOOに就任したばかり。
益子会長は、グプタ氏がアライアンスの重要性を理解し、相手をリスペクトし、直面している課題を認識しているという、日産のCOOに求められる3つの要件を備えており「アライアンスパートナーである日産の1日も早い復活は三菱自にとってもプラスになる」と判断、日産のCOOとして送り出すことに同意したという。ただ、益子会長は「本当なら次期中期経営計画までは(三菱自を)見届けて欲しかったというのが本当の気持ち」、「そもそも(筆頭株主である日産の要請に)NOと言う選択はないな…」と本音ものぞかせた。
グプタ氏は日産のCOOに抜擢された理由として、自動車業界で目標を設定しパフォーマンスを出してきたこと、クロスカルチャーで人や文化をリスペクトしながらやってきたこと、ルノー・日産・三菱自のアライアンスでのビジネスの経験の3つを自身の評価としてあげる。三菱自で「やり残したことがある」中で、日産のCOOを引き受ける理由としては「今までの実績から自信はあり、新しいチャレンジできると考えた」と述べた。
また、グプタ氏は三菱自でまず「100日レポート」を作成したことを紹介。これは現状を分析して課題を明確化にして、そこから何をやるかを「5W+1H(What、Why、Who、Where、When)とHow」を100日間で実行することを示すもの。日産のCOOでも「経営者とチームと相談しながらビジョンとミッションをどう達成するかをまず作りたい」と述べた。
一方、三菱自のグプタ氏の後任については益子会長が今後、グプタ氏と相談しながら検討していく方針で「現段階では何も決まっていない」としている。日産はCEOに就任する内田氏、COOに就任するグプタ氏と副COOに就任する関潤氏を含めて集団指導体制で経営に当たる。グプタCOOは「内田氏、関氏ともに10年前に一緒に仕事をした経験があり、3人の力を生かしてやっていくことを議論していきたい」と述べた。
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