2018年11月6日、JAIA(日本自動車輸入組合)が10月の輸入車新車登録台数速報を発表した。それによると全体では前年同月比101.9%と堅調だったが、ブランド別ではアウディが76.2%と大幅ダウン。アウディは9月まで独プレミアムスリーの中で唯一前年と同レベルを保っていたが、これでメルセデス・ベンツ、BMWとともに前年を下回ることになってしまった。独プレミアムスリー不調の原因はいったいどこにあるのか。
コンパクトクラスが苦戦
このところの好調な輸入車販売を牽引してきたのはメルセデス・ベンツである。2013年から5年連続で自身の年間販売台数最高記録を更新し続けており、またブランド別首位を3年連続で達成している。ちなみに2017年の年間販売台数は6万8215台にもなる。
ところが今年は異変が見える。1~10月の累計販売台数は5万3554台で前年比96.3%、台数で言うと2082台減っている。ついに過去5年続いた年間販売台数の記録更新もストップする可能性が大きくなってきた。
マイナスの要因ははっきりとしている。コンパクトクラスが前年に比べ全般に不調なのだ。Aクラスはモデルチェンジのタイミングにあったので致し方ないが、CLAやGLAも不振をかこっているのは気になるところだ。さらにEクラスも需要が行き渡った感があり前年に比べて落ち込みが激しいが、逆にCクラスは絶好調、CLSもモデルチェンジ効果でよく売れている。
さて、次にBMWだが1~10月の累計販売台数は4万145台で前年比94.4%、台数ではマイナス2374台とメルセデス・ベンツよりも落ち込みが大きい。10月は前年比103.8%だったが、あと2カ月で前年レベルをクリアするのはかなり厳しいだろう。
実はここもコンパクトクラスが苦戦している。1シリーズ、2シリーズがダウンしているとともに3シリーズがモデル末期であることもマイナスの大きな要因だ。一方で2017年にモデルチェンジしたX3は好調、5シリーズも堅調なようだ。
そしてアウディは10月に前年同月比76.2%と大幅ダウンとなったが、これは9月末に「燃費、排ガス抜き取り検査について不適切な取り扱いがあった」と発表したことによる影響と思われる。果たしてこの落ち込みは一過性のものなのか、影響が長引くのかはわからないが、モデル別販売動向ではA3は比較的好調だ。
さて、独プレミアムスリーの状況を見ると、総じてコンパクトクラスが低調。そして、それに呼応するかのようにコンパクトクラスが得意なブランドが好調だ。1~10月でフォルクスワーゲンが103.8%、MINIが102.6%、ボルボが107.7%、プジョーが124.8%という具合だ。
ひょっとすると、これまでの輸入車販売の潮目が変わって来たのかも知れない。日本マーケットは独プレミアムスリーには“よりプレミアム”なものを求め、比較的手頃な輸入車は他ブランドに求めるという図式だ。輸入車販売全体の活性化という点から見れば、裾野が広がるという意味で歓迎されるべきことかも知れない。(文:荒川雅之)
2018年1~10月輸入車新規登録累計台数 Best10
1位:メルセデス・ベンツ 5万3554台(96.3%)
2位:フォルクスワーゲン 4万2210台(103.8%)
3位:BMW 4万145台(94.4%)
4位:アウディ 2万2320台(97.5%)
5位:MINI 2万895台(102.6%)
6位:ボルボ 1万3749台(107.7%)
7位:ジープ 9326台(113.8%)
8位:プジョー 8274台(124.8%)
9位:ルノー 6061台(98.7%)
10位:ポルシェ 5742台(105.5%)
( )内は前年比
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