過去10年の間に、フルモデルチェンジまたは新規車種として登場した国産車は、登録車・軽自動車と合わせて延べ100車以上にのぼる。
なかには、画期的なコンセプトや高い総合性能で、高く評価されたモデルがあった半面、期待を裏切った新車もあった。
本記事では、過去10年100車以上の新車のなかから今後への期待も込めて期待を裏切ったワースト6台を選出し、その理由を解説。なかには伝統あるモデルもあるだけに、今後の奮起に期待したい。
文:渡辺陽一郎/写真:編集部
マークX「発売当初は悪い車ではなかったが…」
2009年に現行型が発売された時点では、悪い車ではなかった。走行性能の優れたセダンで、V型6気筒2.5Lエンジンを搭載しながら、300万円を下まわるグレードもある。買い得感でも注目された。
マークXで期待を裏切られたと感じたのは発売後だ。同プラットフォームの先代クラウンは、直列4気筒2.5Lハイブリッド、2Lターボなど新しいエンジンを搭載して燃費や動力性能を向上させているのに、マークXは目立った改良を受けていない。
エコカー減税が売れ行きを伸ばす必須条件になっても、マークXでは全グレードが減税ハズレになり、販売は伸び悩んだ。
それでも2017年には、1か月に400~500台を登録。今でもマークII時代から購入してきたユーザーに愛用され、トヨペット店も専売モデルとして大切に売っているから極端には台数が下がらない。
トヨタの開発者からは、「マークXは現行型で最後」という話も聞かれるが、これでは期待を裏切る最悪の結末になる。もう一度日本のマークXを見直して、ユーザーの期待に応えて欲しい。
レクサス LS「肥大化はユーザー軽視の証左」
販売店からは「新しいLSは、さすがにボディが大きすぎる。車庫に入らないお客様も多く、ひと回り小さなGSが注目されている」という声が聞かれる。
現行LSは先代LSのロングボディよりも大きい。「車庫に入らない」という苦情が生じるのも当然だ。
レクサス LSが肥大化した理由は、日本のユーザーを軽く見ていることにある。その証拠にトヨタでは、クラウンの全幅は1800mmに抑えてきた。開発者は「日本の道路条件では、全幅は1800mmが実質的な限界。クラウンは日本のお客様に向けて開発しているから、全幅も1800mmを超えない」という。
だとすれば、全幅が1900mmに達するLSは、日本のユーザーを見ていないことになる。開発者に「日本で使いやすいショートボディのLSは開発しないのか」と尋ねると「その予定はない」との返答だった。
現行LSは安全装備などは進化させたが、サイズは妙に大きく、エンジン排気量は中途半端でイメージが曖昧だ。
日本のユーザーが期待しているのは、ボディサイズが適度で、上質な乗り心地と抜群の静粛性を満喫できた初代セルシオ(海外では初代LS)の再来だろう。
スカイライン「いろいろな要素が海外向けに」
歴代スカイラインは、大きく見せるボディスタイルと、引き締まった外観を交互に採用してきた。
分かりやすいところでは、7代目(R31)は大きく見せて、8代目(R32)はスポーティに。9代目(R33)では、再び拡大されて3ナンバー車になった。
当時は節操がないと思ったが、市場動向に合わせて拡大と縮小を繰り返していた。マークII(現在のマークX)のような上級セダンが売れ筋になると、スカイラインも4ドアハードトップを用意して、豪華指向にならざるを得なかったのだ。
そうすると、スカイラインのファンから厳しく批判され、次はスポーティに転じた。ファンは喜ぶが、売れ行きが下がり、再び大きくする繰り返しだった。
ところが11代目のV35型以降は、この繰り返しもなくなった。13代目になる現行型(V37)まで、一貫してボディを拡大している。スカイラインがインフィニティ G35として海外を中心に売られるようになり、日本の市場をほとんど考慮しなくなったからだ。
現行スカイラインのボディは、全長4815mm、全幅1820mmまで拡大され、フロントマスクのエンブレムも日産ではなくインフィニティだ。日本で売られるスカイラインなのにインフィニティを名乗る。このメリットが分からない。
運転すれば操舵感が機敏で、北米向けに開発された一種のクセのような挙動を感じる。緊急自動ブレーキを作動できる安全装備は歩行者を検知できない。これも日本の安全装備の常識から逸脱する。
以上のように今のスカイラインは、ボディスタイルとサイズ、運転感覚、安全装備まで、いろいろな要素が海外向けになってユーザーの期待を裏切っている。
ジェイド「3列目は補助席、2列目も長らく座面が不足」
ジェイドは3列シートのミニバンとして2015年に発売。全高が1530mmと低いこともあり、3列目のシートは補助席だ。大人が多人数で乗車できるのは、短距離の移動に限られる。
天井が低いから、3列目を畳んでも自転車のような大きな荷物は積めない。ジェイドを「カッコ良さと実用性を併せ持つスポーティなミニバン」と受け止めたユーザーの期待は裏切られた。
そして、各シート座面の奥行寸法は、1列目が505mm、2列目は450mm、3列目は425mmだ。2列目はミニバンの特等席とされるが、ジェイドでは座面の奥行が1列目に比べて45mmも短い。座り心地が悪く、快適なのは1列目のみとなった。
そこでジェイドは、2018年5月の改良で2列シート仕様を設けた。2列目の座面も長くなり、座り心地のボリュームも増して快適性を大幅に高めた。しかし、今となっては、遅きに失した印象が強い。
SX4 Sクロス「エスクードより割高で装備も乏しい」
現行SX4 Sクロスの発売は2015年2月。ハンガリー製のSUVだが、特徴が乏しく売れ行きは伸び悩んだ。
この後、同年10月にはSX4 Sクロスと共通プラットフォームを使う同じくハンガリー生産の現行エスクードも発売された。
8か月程度の時差だが、SX4 Sクロスが装着しないミリ波レーダー方式の緊急自動ブレーキと、車間距離を自動制御できるクルーズコントロール、アイドリングストップなどを備えた。
トランスミッションは、当時のSX4 Sクロスは一般的なCVTだったが、エスクードは6速AT。シートの生地も本革&スエード調で上質になった。
これらを価格に換算すると約17万円に相当するが、エスクードの価格はSX4 Sクロスと比べて8万6400円の上乗せに抑えたから、8万円ほどエスクードが割安だった。
そうなるとSX4 Sクロスも、改良で機能を向上させるだろうと期待したが、なかなか実施されない。
ようやく2017年7月に改良されたと思ったら、緊急自動ブレーキとアイドリングストップは依然として非装着。目立った改良は6速ATが加わった程度にとどまる。
加えてフロントマスクには大型のメッキグリルが装着され、期待を裏切るどころか、理解しにくい妙なSUVになってしまった。
キャスト「車種の性格がわかりにくい」
軽自動車のキャストは、SUV風の「アクティバ」、都会的で豪華指向の「スタイル」、ターボエンジン搭載車のみの「スポーツ」という、3シリーズを用意する。
1車種で多くのユーザーを効率良くカバーする目論見だが、売れ行きは伸び悩んだ。2018年上半期の月販平均は3987台で、ハスラーの5371台を大幅に下まわる。
販売不振の原因は、ユーザーの期待を裏切るどころか、期待すら持てなかったことだ。車の性格をSUV風、ラグジュアリーセダン風、スポーツカー風と欲張って細分化すれば、「キャスト」という車種のイメージが曖昧になってしまう。どういう車なのか分からなければ、期待の持ちようがない。
ハスラーやC-HRにも当てはまる話だが、新規車種を発売する場合、まずは車名を覚えてもらうことが大切だ。そのためには車種の性格を分かりやすく表現する必要があり、バリエーションをむやみに増やさないのが常識になっている。
キャストはこの常識を破り、案の定というか、販売が伸び悩んでしまった。
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