現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 夢のような「すごい技術」をトヨタが初公開! 従来の課題を「カイゼン!」で何が変わった? 溶接で「量産車づくり」にも変化あるか

ここから本文です

夢のような「すごい技術」をトヨタが初公開! 従来の課題を「カイゼン!」で何が変わった? 溶接で「量産車づくり」にも変化あるか

掲載 更新 10
夢のような「すごい技術」をトヨタが初公開! 従来の課題を「カイゼン!」で何が変わった? 溶接で「量産車づくり」にも変化あるか

■凄いアーク溶接の新技術が公開された! モリゾウ選手の印象は?

 2024年9月29日にトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)はスーパー耐久シリーズ第5戦(鈴鹿)で、アーク溶接の新技術「SFA(Sequence Freezing Arc welding)」を発表しました。 
 これまでの溶接技術とは何が異なり、どのような活用方法がされているのでしょうか。

【画像】これが「凄い技術」を使ったクルマです!

 モータースポーツに参戦するクルマはより、速く走るために様々な試行錯誤の末、カスタム/チューニングが施されています。

 とくにボディの剛性を上げるということは、それだけ核となる部分がしっかりするため色々な部分に影響が出てきます。

 ボディ剛性をあげる方法にはいくつか方法があり、ボディ自体に手をいれる、ロールケージなどの部品を追加するというものがあります。

 またロールケージは、衝突や横転時などにドライバーを守る大切な役目もあり、厳格な規定が設けられています。

 そんなロールケージですが、従来はロボティクスを活用することで、従来、高度な技能や長い制作期間が求められていました。

 具体的には、熟練したアーク溶接の技能が求められるという部分では、熟練者と初心者では溶接技術にばらつきがあり、それにより強度、剛性が異なることで、足回りなどのセッティングにも影響が出てきます。

 もうひとつは、従来ではボディの現物に合わせて1本1本のロールケージを手作業での組み付けという工程だったことから長い制作期間が必要でした。

 この技術開発を担当したGR車両開発部・川喜田篤史氏によれば「従来のロールケージ制作期間は2,3週間でした。例えば、前のレースでクラッシュしてボディを変えなければいけない、でも次のレースとの間が1ヶ月しかなければその大半はロールケージ制作となり、残り1週間くらいでほかの作業をしなければいけません」と話します。

 そんな従来の大きな2つの課題に対して、今回トヨタは「・高度な溶接技能が必要」という部分では前述の「SFA工法」を新採用することで人ではできない品質の溶接を実現。

 具体的な特徴は以下の通りです。

ーーー
 1 :溶接強度の向上と軽量化
 2 :アークでのショット溶接が可能
 3 :抜け落ち抑制制御による板隙へのロバスト性向上(隙があっても溶接が可能
 4 :上向き 上り 下りアーク溶接の精度向上
 5 :ブリッジ溶接が可能
 6 :長いワイヤ突き出し量による局所溶接が可能
 7 :エッジ溶接が可能(溶け落ちが制御できる
ーーー

 また「SUB ASSY 化」として溶接工程を3つに分割することで作業性を向上させました。

「SFA工法」と「SUB ASSY 化」を組み合わせることで、ビード部にかかるせん断力(母材が破断する 強度)が同じ場合、 SFA 工法のビード重量が従来の工法に比べて約25%軽くなります。

 さらに母材が破断しないせん断強度および剥離強度の場合、 SFA 工法で溶接した場合の強度は従来の工法に比べて約10-25%強くなりました。

 そして最大のメリットは、最短3日でロールケージを組み付けることが可能になったことだと言います。

 また「SFA工法」を使えば、従来の量産車の生産工程による溶接時にしっかりと溶接出来なかった部分、またまったく溶接が出来なかった部分も可能になり、ベースのボディ自体の剛性を高めることも可能になると言います。

 そんな「SFA工法」と「SUB ASSY 化」が用いられたのが、スーパー耐久鈴鹿から投入された「GRヤリス」です。

 今回、29日(日曜日)にお披露目されたロールケージですが、投入されたGRヤリス自体は、土曜日にエンジントラブル、トランスミッショントラブルでまったく走れていない状態でした。

 そうした中で、予選走行などで乗った印象についてモリゾウ選手は「前よりも剛性があがったおかげで速くなった気はする。ただどこかが強くなるとどこかが弱くなるのでそこをカイゼンしていくのが大切」という風に語ってくれました。

※ ※ ※

 今回の「SFA工法」と「SUB ASSY 化」は、GRヤリスだけでなく他の車種でも対応可能だといい、カスタマーモータースポーツの世界では大きな注目が集まりそうです。

 また前述の通り、量産車の溶接技術が向上する可能性もあるため「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」がさらに加速するかもしれません。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ホンダ「0シリーズ」SUVが来月初公開へ 米CES 2025でプロトタイプ2車種を出展
ホンダ「0シリーズ」SUVが来月初公開へ 米CES 2025でプロトタイプ2車種を出展
AUTOCAR JAPAN
大人好みに進化したアウトランダーPHEV【九島辰也】
大人好みに進化したアウトランダーPHEV【九島辰也】
グーネット
“トヨタのなかでトップレベルで戦えるドライバー”平川亮のF1テストは「コースをはみ出すことすらなかった」と中嶋TGR-E副会長が評価
“トヨタのなかでトップレベルで戦えるドライバー”平川亮のF1テストは「コースをはみ出すことすらなかった」と中嶋TGR-E副会長が評価
AUTOSPORT web
2025年始動、世界初の水素燃料ワンメイク競技『エクストリームH』がFIAのワールドカップ格式を取得へ
2025年始動、世界初の水素燃料ワンメイク競技『エクストリームH』がFIAのワールドカップ格式を取得へ
AUTOSPORT web
【ドイツ】プリウス顔な新型「ハイパークーペ」がスゴイ! 5リッター「V8」搭載のナラン・オートモーティブの新モデルとは
【ドイツ】プリウス顔な新型「ハイパークーペ」がスゴイ! 5リッター「V8」搭載のナラン・オートモーティブの新モデルとは
くるまのニュース
上海汽車傘下のMG、「半固体電池」搭載EVを2025年発売 コスパ強調
上海汽車傘下のMG、「半固体電池」搭載EVを2025年発売 コスパ強調
AUTOCAR JAPAN
国産最高級ミニバン『アルファード』『ヴェルファイア』に初のPHEVが登場。1065万円から
国産最高級ミニバン『アルファード』『ヴェルファイア』に初のPHEVが登場。1065万円から
AUTOSPORT web
新SUV時代に挑むトヨタ、ミツビシ、シボレーの全15チームに対し異例の“ドラフト制”で布陣が確定/SCB
新SUV時代に挑むトヨタ、ミツビシ、シボレーの全15チームに対し異例の“ドラフト制”で布陣が確定/SCB
AUTOSPORT web
日本の道路事情にピッタンコ!? 旧型「ミニ」生産終了から四半世紀 なぜ高値安定なのか?
日本の道路事情にピッタンコ!? 旧型「ミニ」生産終了から四半世紀 なぜ高値安定なのか?
乗りものニュース
【メキシコ】日産の新型「キックス」が人気スギ!? 8年ぶり全面刷新で“大胆顔”に!全長4.3m級ボディ&「クラス超え上質内装」の「小さな高級車」が売れてる
【メキシコ】日産の新型「キックス」が人気スギ!? 8年ぶり全面刷新で“大胆顔”に!全長4.3m級ボディ&「クラス超え上質内装」の「小さな高級車」が売れてる
くるまのニュース
ホンダが大型スクーターの「X-ADV」をアップデート! 新型ヘッドライトや先進装備の採用で「カッコよさ&快適性」が大幅アップ
ホンダが大型スクーターの「X-ADV」をアップデート! 新型ヘッドライトや先進装備の採用で「カッコよさ&快適性」が大幅アップ
VAGUE
輪留めは物理的なブレーキであると共に気もちのブレーキとしても重要! 輪留めがプロドライバーの意識を高めていた
輪留めは物理的なブレーキであると共に気もちのブレーキとしても重要! 輪留めがプロドライバーの意識を高めていた
WEB CARTOP
グーマガ 今週のダイジェスト【12/14~12/20】池田直渡氏、吼える!
グーマガ 今週のダイジェスト【12/14~12/20】池田直渡氏、吼える!
グーネット
[DSP大全]「イコライザー」をプロ並みに使いこなすスペシャル・テクを紹介!
[DSP大全]「イコライザー」をプロ並みに使いこなすスペシャル・テクを紹介!
レスポンス
ホンダウエルカムプラザ青山が本社ビル建て替えのため2025年3月31日で休館。最後のイベントを開催へ
ホンダウエルカムプラザ青山が本社ビル建て替えのため2025年3月31日で休館。最後のイベントを開催へ
AUTOSPORT web
F1タイヤの34%が未使用で”ムダ”に。ピレリのデータから浮き彫りになる対策の必要性
F1タイヤの34%が未使用で”ムダ”に。ピレリのデータから浮き彫りになる対策の必要性
motorsport.com 日本版
どうして隣の車にビタ付きで走るの…? 謎の「トナラー運転」の行動心理を交通心理士がズバリ解説
どうして隣の車にビタ付きで走るの…? 謎の「トナラー運転」の行動心理を交通心理士がズバリ解説
乗りものニュース
レクサスの“小さな高級車”「LBX」がスゴい! 全長4.2mの小型ボディに“クラス超え”高級インテリア採用! どんなモデル?
レクサスの“小さな高級車”「LBX」がスゴい! 全長4.2mの小型ボディに“クラス超え”高級インテリア採用! どんなモデル?
くるまのニュース

みんなのコメント

10件
  • sjt********
    ギガキャスト・メガキャストばかりをもてはやすのは思慮が浅い
  • ham
    素晴らしいね
    溶接ロールケージ装備の競技用車両が安価で作れる!
    これ発展したらパイプフレームとモノコックボディの良いトコ取りした新しい設計の車が出てくるのでは?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

349.0533.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

199.11280.0万円

中古車を検索
GRヤリスの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

349.0533.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

199.11280.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村