使用を諦めていた装備が発想を変えれば使えるようになる!
クルマの機能、装備、使い勝手のなかには、勘違いしやすいものがあったりする。それは私に不要の機能……と思っていても、じつは、安心便利に使える機能だったり、便利だと思っていても、使い方によってはそうでもなかったり、これは私のクルマの収納には入らない……と諦めていたアイテムでも、発想を変えればピタリと収納できてしまうケースもあるから、思い込み、早合点は禁物だ。
一度経験すると付いていないクルマに乗れなくなるほど便利な装備11選
1)パドルシフト
パドルシフトとは、ハンドルの奥左右に付いているスイッチ。+と-があり、シフトアップ、シフトダウンが可能になる。以前はスポーティなクルマを積極的に走らせるための機能だったのだが、いまでは軽自動車(ほぼターボ)にさえ付いている。
じつはそのパドルシフト、山道の上りなどでシフトダウンして加速力を高めるといった機能だけでなく、多くのユーザーにとって便利に使える機能なのである。たとえば、スピードコントロール。スイスイと走っていて、しかし前のクルマとの距離が詰まってきたときなど、パドルシフトでシフトダウンすることでエンジンブレーキがかかり、スピードをスムースにコントロールできるのである。また、下手にブレーキを踏むよりスムースに減速、スピードコントロールできるため、車酔いしやすい同乗者が乗っているときにも有効だ。
さらに、パドルシフトを積極的に使うことで、ブレーキを踏まずに減速できるため、ブレーキパッドの減りを減少させられる経済的メリットもあったりする。実際、個人的にはパドルシフトのないクルマは、次期愛車の候補車から外れる。
2)ACC(アダプティブクルーズコントロール)
ACCは自動運転を見据えた先進運転支援機能のひとつで、ただのクルコンとは違い、ペダル操作なしで、前車との距離を一定に保った走行が可能となり、さらに電子パーキングブレーキとの併用で、渋滞時、クルマが完全停止したあともブレーキを保持し、前車が動き出せば、ふたたび追従走行を行えるもの。高速走行の機会が多いドライバーにとっては、ペダル操作の必要がなくなり、長距離運転の疲労度を劇的に軽減してくれる、今では軽自動車にまで採用が拡大している、あれば絶対に便利で安全な機能と言っていい。
が、実際に渋滞追従機能付きのACCを長年使っている経験からすると、ACCは追従走行だけじゃない機能を持ち合わせていることが分かった。つまり、前車との距離を一定に保てるため、うっかり前車に接近しそうになっても、自車は自動で車間を保つため減速。”プレ自動ブレーキ”の役割をも果たしてくれるというわけだ。今はあおり運転に罰則がある時代だが、うっかり、無意識のうちに前車に接近し、あおり運転と勘違いされることも(加害者になることも)、ACCは防いでくれるのである。
また、ACCを使うことで、高速走行燃費がよくなることもありうる。わが家のACC付きのクルマの場合、東名高速の東京~御殿場間を実験的にACCなしで走ると約15km/L、それがACCをONにしたまま走行すると18km/L以上になったデータがある。アクセルをラフに踏むクセのあるドライバーなら、より効果は絶大だろう。ACCの電子制御は、ドライバーのアクセル操作より、ずっとち密に、効率よくアクセルコントロール(出力/加速/減速)を行ってくれるからである。
名称は同じでも車種によって内容が異なる機能も
3)ティッシュボックスの入らない収納
以前、スーパーハイト系軽自動車の比較をしたとき、ちょうど花粉の季節でもあったので、ティッシュボックスの置き場を検証したことがある。日産ルークスは助手席前の引き出し式ボックス、ホンダN-BOXはハンドル奥ふた付きボックス&助手席前トレイ、スズキ・スペーシアもルークスと同じように、助手席前の引き出し式ボックスに目立たず、すっきりと収納できるのだ。が、ダイハツ・タントだけは、どの収納にもティッシュボックスは収まらなかった(ふたが閉まらない)。
が、しかし、その検証結果は、ボクの”勘違い”というか、検証不足であることが、あとでわかったのだ。ときはコロナ騒ぎの真っただ中。記憶に新しい、トイレットペーパーやティッシュボックスの買い占めが行われていたころだ。ティッシュボックスを買いに走ったものの、ボックスは売り切れ。が、ボックスなしのソフトパックのティッシュだけがひとつ、売れ残っていて、それを買い求めたのだ。家に帰ってきて、そのまま使うのはどうかと思い、しまってあったプラスチックのティッシュ箱に入れてみると、一般的なクリネックスなどのティッシュボックスのティッシュより小さいことが判明(安かったが、やられた!! と思った)。
そこで、タントの収納に入れてみたらこれがばっちり(ソフトパックなのでつぶれやすいこともある)。硬く四角四面のティッシュボックスが入る収納スペースがないから、花粉症の人にとって使いにくいクルマ……と、タントを決めつけていたボクの大きな思い間違い、検証不足だったというわけだ。
4)コネクテッド機能
とある国産自動車メーカーのエンジニアと話したときに、これから先のクルマは、つながるコネクテッド機能が必須になる、と教えてくれた。確かに、日産デイズのように、軽自動車でもSOSコールや専用ナビによる日産コネクトサービス/オペレーターサービスが利用できる時代だ。万一の際、これほど安心な機能はない。トヨタのヤリスなども、DCM(車載通信機=SIM)を用意し、コンパクトカーでもつながることが当たり前の時代になってきた。ただし、勘違いしてはいけないのは、つながる方法には、大きくわけて2種類あるということ。
理想は、トヨタ車のほとんどが採用している、DCMの搭載である。つまり、クルマに最初から通信機器が付いているため、スマホがなくてもSOSコールやオペレーターサービスが、一部有償とはいえ、利用できるのである(遠隔操作などスマホを利用するサービスもある)。
一方、ホンダ車の多くや車内Wi-Fiまで用意するダイハツのロッキーなどは、DCMを搭載せず、スマホ必須のコネクテッドサービスとなる。DCMなしだと通信料をスマホに1本化できるメリットはあるものの、スマホを忘れたらつながるクルマにはならないので、新車購入時には同じコネクテッドサービスでも、DCMあり、なしの確認が必要だ。つながる……らしい新車を買ったものの、携帯電話がガラケーで、つながるサービスを使えなかった、ではガッカリですよね。
5)後席スライド機構
思い違いしやすい機能装備のひとつが、後席スライド機構。たしかに、後席がスライドすることで荷室の奥行を広げられ、とくに絶対的に全長&荷室奥行の短いユーティリティ系軽自動車では、後席スライド機構の装備が常識になっている。が、それをいじる機会がどれほどあるだろうか。それだけじゃない。後席膝周り空間とバーターで、荷室の奥行を広げられるとはいえ、日本の平均乗車率は1.5人。大きな荷物を積む際、軽自動車でも、それこそ後席を格納して荷室を拡大すればいいだけのこと。
さらに後席スライド機構はあったほうが絶対に便利で快適……という考えをひっくり返すようだが、後席スライド機構を持たせることで、フロアに対してレール分、7cmほどシート位置が高くなり、頭上空間が犠牲になることもある。なので、高全高のハイト系軽自動車やミニバンに採用されているケースが多いのだ。それに後席スライド機構にはデメリットもある。それは、レールを必要とするため、シートの取り付け部剛性が、レールを使わない、フロアに直接取りつけたスライド機構なしのシートに比べて劣り、重心も高くなり、荒れた路面での微振動を発生させる原因になったりするのである。
トヨタ・アルファードなどの2列目キャプテンシートは、微振動対策のため、シート背面にダンパーを仕込んでいるぐらいで、それでもひじ掛けの微振動は取り切れていなかったりする。ちなみに、ダイハツ・タフトの後席はライバルのハスラーと違い、コストダウンの理由もあってスライド機構なしだが、かけ心地は分厚いクッションに加え、微振動が抑えられているため、けっこうかけ心地がよく、前席でゴツゴツする荒れた路面でも快適だったりするのである。後席スライド機構は、車種によってあり、なしを選べるものではないが、便利さの裏側にそうしたデメリットもあることを知っておいてほしい。
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