5ドアを自作した日本自動車大学校
ちょうど1年前の東京オートサロン。われわれはこんな記事を配信した「スズキに届け! 5ドアのジムニー完成 思わず二度見に『ニヤリ』 東京オートサロン2022」。そして1年後の昨日、スズキがインドで5ドアのジムニーを発表した。
せっかくだから……と考え、1年前に自前で作った日本自動車大学校で制作を担当したカスタマイズ科の講師、有田勇也さんを訪ねた。
お会いして一言目「出ましたね(笑)」(有田勇也さん)
「日本での正式販売はまだとはいえ、もう少し早く出してくれたら切ったり貼ったりしなくて済んだのに……」と自虐気味に語ってくれる。
1年前、日本自動車大学校で発動したプロジェクトのきっかけはとても小さなものだった。
「1つの班が、オートサロンにどんな作品を出すべきか……悩んでいたんですよね」(有田勇也さん)
「ちょうどわたしがジムニーを買った時でした。よかったら題材に使ってみる? と声を掛けたところから5ドア化プロジェクトが始まったのです」
有田さんにはこんな目論見もあったという。
「わたしは以前からピックアップするのが好きでした。新車で題材になったジムニーを買う前に、もう1台ジムニーをピックアップ化したことがあったのです」
「しかしホイールベースが短いジムニーの車高を上げると、ちょっとラジコンというかミニカーというか、不安定な見栄えになってしまうんですね。だからホイールベースが伸びれば、よりドシッと構えた安定感ある見栄えになるぞと。あ、もちろん学生の勉強にもなるぞと(笑)」
プロジェクト完成後から1年、スズキが正式に発表した5ドアのジムニーに何を思うのだろうか?
5ドアのジムニーに何を思う?
「まずはじめに気にしたのはホイールベースでした」(有田勇也さん)
「1年前にわたしたちが割り出したホイールベースと大きく変わらなかったのは、ちょっと嬉しかったですね。わたしたちの考えるバランスが、少しでも正当化されたような気持ちになります」
いっぽうで悔しいと感じたポイントもあったという。
「それは追加した後部ドアの切り欠きの設け方です」
日本自動車大学校の学生たちは、ボディの美しさを尊重し、ドア後部下端をフェンダーアーチモールに沿うように切った。一方、スズキはフェンダーに切り欠きを入れて乗り降りの良さを重視した。
「実は完成後、あれ……これどうやって乗り降りする? と思ってたんですよ。そこはもう、鈴木さん、さすがです……としか言いようがないです」
禁断の質問をしてみた。
ーーもし5ドアのスズキ・ジムニーが日本で発売されたら、買いますか?
「自分たちの手で作ったので、酸いも甘いも体験させて頂きました。だからこそ、完成度の高い正規品に興味もあります。でもやっぱり昼夜を分かたず制作した学生たちとの思い出は、他の何にも代えがたいですね」
有田さんと学生の作品、5ドア・ジムニーは、1年前の出展後、車検をパスし今も千葉県内を元気に走り回っている。
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