英国で長年愛されてきた手頃なロードスター
text:John Evans(ジョン・エバンス)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)
もしマツダ・ロードスターが日本車的すぎて、初代ロータス・エリーゼの価格に納得できないのなら、MGミジェットを選んでみてはいかがだろう。
1961年から1979年まで生産された2シーターのロードスターは、英国では予算に限られたエンスージァストから長年支持されている。状態の良い、クロームメッキ・バンパーのミジェットが、英国なら7000ポンド(92万円)あれば手に入る。
最高の状態なら1万ポンド(132万円)を軽く越えるが、そんなクルマは珍しい。しかもミジェットの価格は、今後も落ちることはないだろう。
一方で維持費はケチられ、サビをごまかすように分厚く塗装されたボディも多い。殆どのクルマは、年式相応にくたびれているし、用いられている部品も不確かだ。
実際、見た目は1960年代の状態の良いミジェットだったが、年式違いのグリルとバンパーを装備している中古車もあった。怪しいクルマを見分けるためにも、下調べは重要だ。
そんなミジェットだが、初代Mk1が登場したのは1961年。948ccの小さなAシリーズと呼ばれる4気筒エンジンを搭載していた。1年後、1098ccへと排気量は拡大する。
1963年には、エンジンのメインベアリングが強化。フロントブレーキが、ドラムからディスクへとアップデートされている。
続く1964年、初めてのフェイスリフトを受け、Mk2へと進化。若干パワーアップし、半楕円形のリーフスプリングをリアに採用。乗り心地が向上し、インテリアも改良された。
メカニズムの状態よりボディのサビに注意
成長を続けるミジェットは、1966年になると65psを発生する1275ccユニットを獲得。ミニ・クーパーSに搭載されるエンジンの、デチューン版だ。ボンネットの形状が変わり、燃料タンクも大型化。このMk3が、近年では最も人気のあるミジェットとなる。
1968年には、当時のトレンドだったロスタイル・ホイールを採用。インテリアトリムも見直され、新しいテールライトを得た。ボディにも手を加えたいと考えたブリティッシュ・レイランドの開発部隊は、1972年に丸いホイールアーチをリアに与えた。
1974年、アメリカの安全基準と環境規制の変化に合わせ、ミジェットは大きなゴム製バンパーを装備。環境負荷の小さい1.5Lのトライアンフ製エンジンへ置き換わり、モーリス・マリーナのシンクロ付きMTが組み合わされた。
角張ったホイールアーチも、アメリカ政府がより安全だと判断し、復活している。
このような変遷を経たMGミジェット。ボディは腐食しやすく、何より優先したいのはコンディションだ。英国では、今でもボディパネルが新品で手に入る。しかし安くはないし、塗装も必要となる。
取材した中では、ボディの修復が必要な車両は、取り扱いをやめたと話す専門店もあった。相当な費用がかかるらしい。一方でメカニズムの不具合を抱えるクルマは、今でも仕入れているそうだ。
とにかく沢山調べて、売り手の話は鵜呑みにせず、錆びたクルマは選ばないこと。夢のミジェットライフを、夢のままで終わらせてはもったいない。
不具合を起こしやすいポイント
エンジン
Aシリーズの948ccと1098cc、1275ccのエンジンは、油圧や排気ガスの白煙に注意。1275ccエンジンは特にDIYメカニックの人気が高く、不器用に加工されていることも多い。
ヘッドガスケットからの漏れ、バルブステムシールの摩耗、タペットからの異音にも気を配りたい。後期の1.5エンジンは、クランクシャフトが弱い。
トランスミッション
1速とリバースはストレートカットで、メカノイズが大きい。ベアリングの異音と聞き分けにくく、専門家の判断を仰ぐ必要があることも。変速時には、シンクロのヘタりを確かめる。リアデフからの異音にも注意する。
ステアリングとサスペンション、ブレーキ
緩く感触の悪いステアリングやサスペンションは、本来の状態ではない。キングピンの摩耗やダンパーからの液漏れ、リーフスプリングやハンガーのサビや破損が原因。適切なグリスアップも施されているか、確かめたい。
ブレーキは、ピストンの固着やディスクの摩耗、ブレーキホースからの液漏れ、ケーブルのサビなどが一般的だ。
ボディ
磁石を用いて、もとのスチールパネルか、パテ盛りされているかを確認できる。塗装でごまかされたサビにも注意。サイドシルやAピラー、ドアやホイールアーチ付近は特に錆びやすい。
ソフトトップを閉じずに雨の中を走るとカーペットが湿り、フロアを錆びさせる。荷室のフロアにも注意したい。リアスプリングのハンガーも、よく傷むポイント。
インテリア
ビニールの破れにウッドトリムの腐食、カビの生えたカーペット、スイッチ類の破損などが確認ポイント。インテリアが多少傷んでいても、ボディの腐食と比べれば大きな問題ではない。
専門家の意見を聞いてみる
マイク・オーサー MGミジェット代表
「ミジェットは小さなクルマですが、それが楽しい理由です。ハンドリングは素晴らしく、安定してもいます。最近は、良い車両を見つけるのが難しくなってきました。少し前までは10台前後の在庫がありましたが、今は1台だけです」
「レストアが完了した、チューニングメーカーのダウントン・エンジニアリング社が手を加えた1275ccのミジェットが、在庫であります。価格は1万9450ポンド(256万円)です」
「ミジェットは、ボディの状態がすべて。機械的な修理は簡単にできますが、安価で質の悪いコピー部品には気をつけたいですね。オススメは、1960年代後半の1275ccのエンジンが載った、クロームメッキ・バンパーにワイヤーホイールのミジェットです」
知っておくべきこと
多くのクルマは製造から40年が経過し、英国では車検の対象から外れている。ただし、大幅に改造が施されている場合、車検は必要となる。基本的には安全試験だから、車検を受けたミジェットの購入を考えたい。
いくら払うべき?
500ポンド(6万円)~1999ポンド(26万円)
多くは整備が必要な不動車。中には実動のミジェットも英国では見つかる。
2000ポンド(27万円)~5499ポンド(72万円)
1967年式で状態の良い1275ccのミジェットから、1977年式で1.5Lのビッグバンパーまで、幅広い。
5500ポンド(73万円)~8999ポンド(118万円)
1980年式ビッグバンパーの1.5Lエンジンで、15万6000kmを走ったミジェットが5999ポンド(79万円)。レストアされた1973年式1275ccエンジンで、6万9000kmを走ったミジェットは、8750ポンド(115万円)。
9000ポンド(119万円)~1万2999ポンド(170万円)
英国では、レストアされたミジェットが多く見つかる。
1万3000ポンド(171万円)以上
かなり状態の良い、走行距離1400kmしか走っていない1980年式1.5L版で、1万4995ポンド(197万円)。 選出の1971年式1275ccが、1万9450ポンド(256万円)だ。走行距離は7万7200km。
英国で掘り出し物を発見
MGミジェット 948cc 登録:1961年 価格:1万1995ポンド(158万円)
生産開始から1カ月しかたっていない、1961年式の珍しいミジェット。1万2000ポンド(158万円)以下で手に入るのだから、悩む必要はない。数年前にレストアを受け、ベストの状態。フロッグアイと呼ばれるダッシュボードに、ベークライトのステアリングホイールが付いている。
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