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【スバル アウトバック】1100kmロングドライブでわかった本当の実力

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【スバル アウトバック】1100kmロングドライブでわかった本当の実力

新車試乗レポート [2023.02.28 UP]


【スバル アウトバック】1100kmロングドライブでわかった本当の実力
 

SUV派も見逃せない!スバル レガシィアウトバックが今こそ買いの理由

文と写真●ユニット・コンパス

 人間もそうだけど、クルマの本質が知りたいなら、状況が悪いときの振る舞いをチェックするといい。雨や雪で視界が悪かったり、道がすべりやすかったり、知らない道を長時間運転してみたり……。

 スバルからアウトバックかフォレスターで雪国をロングドライブして、総合的な使いやすさを体験して欲しいという誘いをもらったとき、思わず嬉しくなった。クルマへの理解も深まるし、単純に冒険みたいでワクワクしたからだ。


冬季での実力を試すために北陸へ往復1000kmオーバーの旅へ

合掌造りの家屋が並ぶ白川郷(岐阜県)は、日本の原風景を残す集落として人気の観光スポット
 今回はオススメされたコースのなかで、北陸エリアの旅を選んだ。冬の日本海を見てみたいし、北陸エリアの文化は独自性が高いので大好きだし、長野県と岐阜県を結ぶ峠道は走り応え抜群だ。目的地は世界遺産の白川郷合掌造りの集落で、その後金沢市内で宿泊。翌日は、日本で唯一海岸をクルマで走れる千里浜なぎさドライブウェイを走り、その後は富山県を通って東京に戻るというルートを設定した。往復で1100kmほどの行程だ。

 クルマはアウトバックを指名させていただいた。もうこれに関しては一切の迷いなし。理由は、こうした旅行に最適なクルマだから。ステーションワゴンはSUVと比較したときに、快適性と運動性能のバランスに優れているため、長距離ドライブ向きのボディタイプだと言える。車体を正面から見たときにSUVよりも面積が少ないワゴンは、空力性能に優れ、重心も低い。だから同じ技術レベルで作られているなら静かでふらつきにくいため、ドライバーや同乗者の疲労が少なくて済む。空力は燃費にも影響するから、1度の給油でより遠くまで走れることになる。また、アウトバックは最低地上高も高いので、雪道での走破性にも期待できる。


アウトバックはスバルの最新技術を満載した上級ワゴン。荷室には雪国に備え様々なアイテムが用意されていた

下道を使ってアルプスを越えるルートを走る
 出発は土曜の朝8時。意気揚々と自宅を出発したものの、交通集中とそれにともなう追突事故の影響で、八王子を脱出するまでにかなりの時間を費やすことになった。ここでさっそく役に立ったのが現行型で標準装備になった運転支援システム「アイサイトX」だ。

 「アイサイトX」の強みである渋滞時ハンズオフアシストは、自動車専用道で車速が時速50km以下になると作動し、その際はドライバーはステアリングから手を離すことができる。もちろん前方を注視している必要があるが、足だけでなく手からも力を抜けるのは大きい。なにより、渋滞であってもイライラしないで済むのがいい。


「アイサイトX」はステアリングから手を離すことなく操作できるのも魅力
 そうこうしている間に渋滞も解消。どうせ嫌というほど運転するのだからと、中央自動車道の大半はACCを設定して淡々と距離を稼いだ。そうした少しリラックスした状況のときに、レヴォーグよりもゆとりのある車内空間、ゆったりしたかけ心地のシートは好印象。

 長野県の松本ICで高速道路降りて、あずさ街道158こと国道158号を岐阜に向かう。いよいよ冬の山道だ。といっても当然除雪されているので、路面状況はちょいウェットなくらいでまったく問題なかった。外気温も8度ほどなのでそれほど凍結の心配もない。地元ドライバーをペースカー代わりに、着々と標高を稼いでいく。乗鞍に近づくにつれ、道路脇に雪が目立つようになってくるが、スタッドレスタイヤを装着したアウトバックにはまったく物足りないくらいであった。

 おもしろいのが、周囲を走るスバル車の割合が明らかに高くなってきたこと。XVやアウトバック、フォレスターの3モデルはとくに人気のようで、北陸エリアでは数多くすれ違うことになった。

 そうこうしているうちに、峠道が下り始める。中の湯あたりのつづら折りも、クルマから伝わる圧倒的な安心感のおかげで楽しみながらクリアすることになった。車体が大きく、サスペンションもやわらかいアウトバックだが、丁寧な運転を心がけていれば、下りのワインディングもまったく苦にならない。これは嬉しい発見だった。


アウトバックの最低地上高は213mm。並のSUVよりもロードクリアランスが確保されている
 岐阜に入ると残念なことに積雪はさらに少なく、ほとんどドライ路面の道を走ることに。変わりにポツポツと雨が降ってきて、これから白川郷で撮影したいのに若干テンションが下がる。

 とはいえ、久しぶりに訪れた白川郷の街並みは、相変わらず魅力的だった。長旅で座りっぱなしだったので、撮影後に街中を散策する。ここに到着するまで6時間ほどのドライブだったが、身体はまだまだ元気。

 東京の街中で乗ったときは姿勢変化の大きさやおっとりした味付けが気になったが、ロングドライブ、とくに冬季に積雪地域を走るなら、この味付けは大正解だ。


白川郷周辺はすでに雪が少なく、雪上ドライブとはいかなかった

横殴りの風雨でも安心して走れるアウトバックの高い走行安定性
 日が変わって日曜日の朝。残念ながら昨日からの雨は段々と雨脚を強めている。撮影には不向きだが、クルマの性質を体験するためにはかえってよかったのかもしれない。雨によって路面の状況はさらに悪化しているからだ。

 まず向かったのは、なぎさドライブウェイ。海岸の砂浜を通行できる日本唯一の道路で、北陸を代表するドライブスポットだ。横殴りの雨のなか撮影を済ませ、砂浜をしばしクルージング。アウトバックには4WD機構をシチュエーションに合わせて制御する「X-MODE」が搭載されているので、ちょっと道を外れてみたい誘惑にかられたが、それはノーマナーなので我慢した。当然、何事もなく走り切ることとなった。それにしても日本海は美しい。暴風雨の海岸を訪れる酔狂な観光客はほとんどなく、貸し切り状態で白波の立つ海原を堪能した。


千里浜なぎさドライブウェイは砂浜を安全に走行できる全長約8kmの道
 ここからは能登半島を少しかすめながら、富山へと向かう。雨はいよいよ激しさを増し、ときには視界が100m以下という状況に。周囲のクルマもペースを落として走っている。吹き付ける強い風とわだちに溜まった雨はクルマの安定性を失わせようとするが、常識的な速度で走っているかぎり不安を感じることはまったくなかった。

 スバルは、冬季のリアルな状況での「雪国総合性能」を体験してほしいとのことだったが、走り慣れていない旅先で不安定な天候と路面状況を体験した今回の取材旅行も、十分クルマの真価を理解する手助けとなった。タイヤの微小なスリップや横滑りは雪上だけで起きる現象ではないからだ。雪を求めて山に入りたい気持ちもあったが、時間を考えるとそれも難しい。富山県内で昼食を済まし、素直に東京へ戻ることにした。


1100km、15時間を走ってわかったこと

天候や道路のコンディションが悪くなればなるほど、アウトバックに対する信頼が高くなる
 一泊二日、1100km、約15時間のドライブを通じてわかったことは、いろいろある。

 まず、アウトバックの基本性能の高さ。高いボディ剛性からくる正確な操縦性能、ボディバランスがいいと表現できるフットワークのよさ、乗り心地のよさがとくに印象的だった。

 つづいては4WDシステムによる抜群の安定性。とにかく、適切なスピードで走っている限り、どのような天候や路面でもクルマが不安定になることはなかった。

 抜群の視界と適度に高いアイポイントもロングドライブ向きだった。前方だけでなく側方・斜め後方の視界もよく、クルマがどこまであるのかもわかりやすかった。

 雪国を走るとテールゲートが汚れて触るのを躊躇するが、エンブレムに手をかざすと動作する「ハンズフリーオープンパワーリヤゲート」のおかげで手が汚れないで済んだのも嬉しい。

 なにより関心したのが、「アイサイトX」による運転支援のありがたさ。加速、減速の塩梅や車間距離の間合い、そして操舵制御がドライバーとして信用できる領域で完成されていた。割り込まれるときの対処など、完璧とは言えない部分もあるが、ベテランドライバーほどシステムの完成度に唸るはずだ。だから、目の前に渋滞が迫ってきても、「アイサイトXがあるから別にいいや」と思えることで、土日の高速道路を使うわずらわしさがかなり払拭された。

 あまり誉めてばかりでも説得力がないので、気になったところも記しておこう。

 まず、燃費性能がもの足りない。今回の総合燃費は、ドライブコンピューターのデータで11.4km/Lであった。ほとんどのルートが高速道路を使ったので、もう少し伸びてほしい。燃費のいい領域を外すと途端に燃費が大きく悪化する印象だ。あと、エアコン操作のユーザーインターフェースにも違和感があった。具体的には、シートヒーターの操作がワンアクションでできなかったり、設定温度と温度調整スイッチに距離があったりするところが気になった。インフォテインメントシステムの画面設計も煩雑で、もっとこの大画面を活かしてほしい。細かい話だが、USBもType-AだけでなくType-Cもほしいし、置くだけ充電も選べたら嬉しい。今後の改良に期待したい。


まとめ
 当初の目論見からすると、雪上での走行があまり体験できなかったが、雪国での総合的な実力の高さは、疲労の少なさとしてひしひしと実感できた。冬の北陸を1100kmも、それも最低限の休憩で走破してなお、身体と心に余裕があったのだ。なにより積雪地域に入るととたんに増えてくるスバル車たちが雪国総合性能を証明しているようなものだろう。積雪地域で暮らす人々が実際に選んでいるのだから間違いない。

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