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「嬉しい悲鳴」は予測能力の甘さ! 「納期遅延車」多発でも自動車メーカーが「対策」が打てないワケ

掲載 更新 45
「嬉しい悲鳴」は予測能力の甘さ! 「納期遅延車」多発でも自動車メーカーが「対策」が打てないワケ

 この記事をまとめると

■いまさまざまなクルマで納期遅延が深刻

納車まで2年かかったモデルも! 人気ゆえか別の理由か「納期が長くて話題になったクルマ」5台のその後

■需要に対しての見込みが甘く生産計画が少ない車種もある

■1度増産すると今度は減らせなくなるために生産調整が難しい

 コロナ禍も影響して納期が長引いている

 最近はクルマの納期が長い。トヨタの販売店に現状を尋ねると以下のように返答された。「以前は特別な車種を除くと、契約から納車までの期間は1カ月半以内だった。それが今は、2021年10月初旬に契約を頂いて、納車されるのは2022年1月以降だ。コロナ禍の影響で東南アジアを中心に部品の供給が滞り、半導体に加えてワイヤーハーネスなども不足している。その結果、納期が大幅に遅れている」。

 今はコロナ禍からの復興もあり、さまざまな部品のニーズが高まって自動車産業も影響を受けた。2021年9月における国内の新車登録台数は、小型/普通車が前年の9月に比べて30%減り、軽自動車は36%のマイナスだった。

 納期の遅延にはコロナ禍の影響も大きいが、それだけではない。たとえばジムニーは、2018年7月の発売直後から納期が1年以上で、販売店では「2021年10月の時点でも、納期は縮まらず約1年を要する」という。

 ヴェゼルも同様で、販売店では「納期は長く、PLaYは1年以上を見て欲しい。ほかのグレードも4か月を要する」という。最長はランドクルーザーで「契約は可能だが、納期は完全に未定。短くても2年だ。生産の日程が分かった時点で、改めてお客様に正確な納期をお伝えする」とのことだ。

 ジムニー、ヴェゼル、ランドクルーザーの納期遅延にもコロナ禍は影響しているが、それだけではない。生産規模が根本的に追い付かないことが原因だ。

 増産すると需要が落ち着いても簡単に減らせない

 需要の増加に応じて増産できないのか。ジムニーは増産を行った。2018年7月の発売時点におけるジムニーの国内販売目標は1年間に1万5000台/1カ月当たり1250台で、同年8~12月の1カ月平均届け出台数は1876台だった。それが2019年の1か月平均は2523台、2020年は3171台、2021年1~8月は3195台まで増えている。ジムニーの届け出台数は、発売直後の1876台に比べると、コロナ禍の影響を受けながらも2021年には1.7倍に達した。

 ヴェゼルは2021年4月に発売され、1カ月の販売計画は5000台だ。発売以降の登録台数は、2021年5月は4060台、6月は5692台、7月は7573台、8月は4404台であった。1カ月に5000台の販売計画は、売れ行きを下げて生産を終えるまでの平均値だから、発売直後には8000台前後を登録しないと目標を達成できない。コロナ禍の影響を差し引く必要はあるが、ヴェゼルは需要に対して生産規模が小さい。

 もともとヴェゼルは狭山工場で生産していたが、同工場の閉鎖が決まり、鈴鹿製作所に移管した。しかし鈴鹿では、N-BOXを始めとする軽自動車のNシリーズとフィットなどを生産しており、過密な状態にある。販売店からは「ヴェゼルの納期が伸びた背景には、鈴鹿製作所の体制も影響している」という意見も聞かれる。

 ランドクルーザーは、生産総数の50%以上が中東地域で販売され、ロシアとオーストラリアも加えると90%に達する。日本への割り当てが極端に限られて納期も遅れている。

 このように納期が遅延する理由はさまざまだが、ユーザーには迷惑だ。今は新車需要の80%が乗り替えに基づくから、納期が長いと、新車の納車前に今まで使っていた下取りに出すクルマの車検期間が満了する。納車を待つために、新たに車検を取ったりせねばならない。

 なぜ増産して納期を短縮できないのか。商品企画担当者に尋ねると、以下のように返答した。「増産をするには、生産設備を増やしたり、部品の供給量を上乗せする必要が生じる。そうなると一度増産したら、その後も同じ生産台数を保つ必要が生じる。減少すれば生産体制が過剰になるからだ。従って思い切った増産には踏み切れない」。

 事情はわかるが、納期遅延の背景には、もうひとつ別の理由もある。それは発売前に国内需要を見極める能力が下がったことだ。納期を遅延させる車種の担当者に尋ねると「ここまで人気が高まるとは予想できなかった」「嬉しい悲鳴」などというが、それは需要予測を間違えたことを意味する。海外市場への関心が高まった結果、国内はおそろかにされ、生産体制も整わずに納期を遅らせている。これが納期遅延の本当の理由だ。

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みんなのコメント

45件
  • 増産するって事は人を多く雇わないといけなくなる。
    落ち着いたからって簡単に解雇出来ない。
    製造ラインを増強しても落ち着いてしまっては無駄になる。
    簡単な話だと思うけどね。
    予測能力の甘さっていう曖昧なもので仕事してる人今だにいたんだ…。
    予測能力はあくまで予測でしかない。
    ただのギャンブル。
    天気予報はどんどん精度上がってるはずなのにかなりの確率で予報通りにならないのが自然の怖い所。
    人も同じ、みんながみんな同じものを欲しているとは限らない。
    皆んなが欲しいと思ってもらえる車にどれだけ近づけられるかが難しい。
    皆んなが欲しいと思える車を作れたんだからそれだけで十分すぎると思うよ。
    何も車に限った話じゃないけど。
  • 予測能力の甘さってあるが
    CARTOPの予想CGも対策が必要・・・・
    見事にハズレばっかりじゃんwwww
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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