■VIPは乗っていなくても「VIPカー」と呼ばれた高級サルーン
1988年に日産が一般オーナー向けの最上級モデル「シーマ」を発売した後、バブル景気の追い風もあり国産高級セダンの販売増につながりました。トヨタも1989年に8代目「クラウン」のマイナーチェンジで4リッターV型8気筒エンジンを搭載して「シーマ」人気に対抗し、さらに「セルシオ」を発売して日本のパーソナル高級サルーン市場を拡大しました。
トヨタ クラウン史上最大の失敗作? 4代目クラウンは本当に駄作だったのか
そんな高級サルーンをベースに改造する「VIPカー」ブームが起こります。VIPは「Very Important Person」ですから、いわゆる要人が乗る車を目指した改造車=VIPカーだったのですが、見た目が派手な改造を施したクルマが多く現れ、その後の暴走族系スタイルとして定着しました。
いまとなっては、そのような改造車は見かけなくなり、単に高級サルーンをVIPカーと認識している人も多いようです。しかし、後継車種は日本のパーソナル高級サルーンとして現在も人気があります。
そこで、現在販売されている国産高級サルーン5台をピックアップして紹介します。
●トヨタ「クラウン」
初代トヨタ「クラウン」(トヨペット「クラウン」)は1955年に発売されました。当初は1.5リッターエンジンを搭載して、徐々に排気量を拡大していき、1962年発売の2代目からは後の「クラウン」の主力となる直列6気筒エンジン搭載車も追加されました。代が変わるたびに出力の増大と豪華装備や先進装備が充実していき、日本を代表する高級サルーンとしての地位を確立しました。
2018年デビューの15代目は、車載通信機DCMを全車に標準搭載するなどのハイテク装備が充実しているのはもちろんですが、トヨタ自身が「TOYOTA史上、最高に楽しいクルマ」とアピールするほど、走りも進化しました。
前後輪ともにマルチリンク式となったサスペンションや高剛性化したシャシなどから、運転の楽しさを重視した進化の方向性を明確にしています。
システム最高出力359馬力の3.5リッターV型6気筒エンジン+ハイブリッドシステムと、226馬力の2.5リッター直列4気筒エンジン+ハイブリッド、245馬力の2リッター直列4気筒ターボエンジンがラインナップされ、さまざまなニーズに対応しています。
またデザインも滑らかなルーフからテールエンドへの美しいラインなど、とても魅力的なクルマになっています。
価格は、ベーシックな「2.0 B」で460万6200円(消費税込、以下同様)、最上級の「3.5 G-Executive」が718万7400円。もっともスポーティーと言われる「2.0 RS Advance」は559万4400円となっています。
●日産「フーガ」
初代日産「フーガ」は、長く続いた日産の高級サルーンで、かつVIPカーとしても人気のあった「セドリック」と「グロリア」の後継車として2004年にデビュー。
2010年から2012年まで「シーマ」が不在だった期間は、日産の最上位車種として君臨していました。しっかりした足回りのセッティング、滑らかなボディラインと上質なインテリアは、それまでの日産車とは一線を画すもので「日産ではなくインフィニティ」とまで言われたほどです。
2009年に発売された現行モデルの2代目「フーガ」は、333馬力を発揮する3.7リッターV型6気筒エンジンと、225馬力の2.5リッターV型6気筒エンジン、306馬力の3.5リッターV型6気筒エンジンと68馬力のモーターでシステム最高出力364馬力と大パワーなハイブリッドもラインナップ。
これらのエンジンには、ロックアップ領域を大幅に拡大したマニュアルモード付フルレンジ電子制御7速オートマチックトランスミッションが組み合わされています。
もちろん先進安全装備である「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」も装備しています。
「フーガ」の価格は、ベーシックな2.5リッターの「250GT(2WD)」は480万600円、3.5リッター+ハイブリッドシステムの「HYBRID VIP」は696万4509円。専用の20インチ大径ホイールとスポーツチューンドサスペンション、4輪アルミキャリパー対向ピストンブレーキが与えられたスポーティグレード「370GT Type S」は571万2120円です。
■トヨタのみならず日本を代表するVIPカー「センチュリー」
●ホンダ「レジェンド」
ホンダ「レジェンド」は、ホンダ初のV型6気筒エンジンを搭載して北米市場向けブランド「アキュラ」の高級セダンとして1985年に登場しました。国内では好評だった「アコード」から他社の上級セダンへの乗り換えを阻止する目的もあったと言われています。
初代は日本車初の運転席用SRSエアバッグ装備するなどエポックメイキングなクルマでしたが、若者たちからは4ドアは「大きいアコード」、2ドアは「大きいプレリュード」と揶揄され、VIPカーとしての人気はいまひとつでした。
現行モデルは2014年にモデルチェンジされた5代目になります。314馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒エンジンと、7速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)に47馬力のモーターを内蔵して前輪を駆動し、左右のリアアクスルにはそれぞれ37馬力のモーターを搭載することで、システム最高出力は382馬力と強力です。このハイブリッドシステムは「NSX」と同様なもので、前後逆に搭載したカタチとなります。
2018年のマイナーチェンジでは、4輪の駆動力制御やボディの熟成を行ない、高速道路走行時にドライバーの疲労軽減を実現する「トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)」を「Honda SENSING」に追加しました。
「レジェンド」の価格は「Hybrid EX」の1グレードのみで707万4000円になります。先進技術が惜しみなく搭載された高級サルーンとしては、決して高い金額ではないと思います。
●レクサス「LS」
レクサス「LS」は、トヨタが北米市場向けに立ち上げた高級車ブランド「LEXUS」の最上級車として1989年にデビューしました。日本国内では3代目モデルまではトヨタ「セルシオ」として販売され、現行モデルは2017年に発売された5代目で、国内の「LS」としては2代目となります。
一般的な4ドアセダンとは異なりクーペのようなシルエットを持つ6ライトキャビンや、一目でレクサスとわかる顔立ちなども高級感を漂わせています。
また、現行モデルではドアガラスと窓枠との段差をなくした「フラッシュサーフェイスウインドウ」を採用し、フロントドアガラスからリヤクォーターガラスが連続する一つの面のように見え、フラッグシップにふさわしい洗練されたデザインとなっています。
インテリアも上質で、デザインやレイアウトはもちろん、細かいピッチで手間と時間をかけて縫製された、きめ細かい肌触りのシートなどは高級車そのものです。
「LS500」は、422馬力を絞り出す3.5リッターV型6気筒ツインターボエンジンに電子制御10速オートマチックを組み合わせています。
ハイブリッド車の「LS500h」は、システム最高出力359馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒エンジン+マルチステージハイブリッドシステムを搭載し、どちらも高級サルーンに相応しいパワフルさを実現しています。
価格は、ベーシックな「LS500(2WD)」は981万4000円、「LS500h」のトップグレードであるAWDの「EXECUTIVE」 で1680万5000円になります。
●トヨタ「センチュリー」
トヨタ「センチュリー」は1967年に誕生した、日本国内で最高のプレステージサルーンです。伝統的な日本の美をクルマで表現するもので、3リッターエンジンから始まった初代はその後に3.4リッター、4リッターへと排気量拡大を行い30年間に渡り販売されました。
1997年発売の2代目は、ルックスこそは初代「センチュリー」に似たものでしたが、国産乗用車としては初となる5リッターV12気筒エンジンを搭載し、静粛で滑らかであることが高く評価を受けました。
2代目発売から20年という時を経た2018年に、センチュリーは3代目へ進化。381馬力を発揮する5リッターV型8気筒エンジンと224馬力のモーターのハイブリッドシステムで、本物のVIPカーに相応しくシステム最高出力431馬力を誇ります。
ヨーロッパの伝統あるプレステージサルーンのようなフロントマスクや、2代目に比べて全長が+65mm、全幅は+40mm、全高で+30mmも拡大されたボディになっても、「センチュリー」のデザインアイデンティティは継承されています。
2019年の箱根駅伝では、新型「センチュリー」をベースにしてエアロキットでドレスアップ、足回りの変更やパワートレインなどに手が加えられた、豊田章男社長専用車である「センチュリーGRMN」が話題になりました。
現時点では「センチュリーGRMN」の販売は予定していないとのことですが、高級スポーティーサルーンのような風格は、まさに現代のVIPカーそのものです。
価格は1960万円と先代から700万円ほど値上げしていますが、「匠」と呼ばれる熟練の専任作業者たちが感覚を研ぎ澄ませた手作業で組み立て、最終検査までを行っていることを考えると、海外の高級サルーンに比べると割安に感じてしまいます。
2019年10月22日に開催される、新天皇即位のパレード「祝賀御列の儀」で使用されるクルマにも選ばれるなど、日本を代表するクルマであることは間違いありません。
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