コンパクトSUVの新型モデルが続々と発売されている一方で、これまでSUVのマーケットを牽引してきたミドルクラスのカテゴリーも進化し続けている。中でも昨年後半に発売された2台は欧州車にもひけを取らないクオリティーの高さで話題を集めている。その真相を確かめてみた。
国内の市場だけでなく、輸出でも人気の高いのがミドルクラスSUV。全長4.7m前後、全幅1.85m前後、全高1.7m前後というサイズは、ぎりぎり立体駐車場にも収まるので、都市部でも扱いやすい。定員も、5人乗車どころか、7人乗り3列シートに対応したモデルもある。
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このクラスに、昨年後半加わったのがマツダ『CX-60』と日産『エクストレイル』だ。ただ、この2台は同じミドルサイズでも、目指している方向が全く異なっている。
『CX-60』は、マツダが2012年からスタートしたデザイン改革の集大成ともいえるモデルだ。同社は〝魂動〟デザインというコンセプトでクルマのデザインを統一した。最初の『CX-5』がヒットし、『CX-3』『CX-8』『CX-30』と続けて新型車を投入。それぞれがヒット商品となり、マツダは新たな挑戦を決断する。それが新エンジンの開発で、直列6気筒ディーゼルに加え、ハイブリッド化も実現した。この冒険とも言える挑戦は大成功。予約開始と同時に、2か月半で月販2000台目標を大きく上回る約9000台の受注を獲得した。しかも購入層は20代から60代までほぼ同じ割合だったという。人気グレードはディーゼルハイブリッドの4WDで、今回試乗したクルマだ。
一方、日産『エクストレイル』は2000年に初代がデビュー。デザインは都会的だが高い4WD性能で、雪の多いエリアなどで人気の高いミドルクラスSUVだった。現行モデルは4代目となるが、これまでと違いワイルドというより上質感を強調したモデルへと生まれ変わった。
特筆すべきは、日産が得意とする電動化技術と『GT-R』以来、培ってきた4WD技術を融合させた高い走破性能だ。日産のエンジン+モーターのハイブリッドは、エンジンを発電に使用し、走行はモーターを使用するという方式だが、新型『エクストレイル』はエンジンに世界初の可変圧縮比を採用した。これにより燃焼効率が飛躍的に向上。4WD車は前後軸に1基ずつのモーターを備えているが、このモーターの4輪制御にも日産独自の技術が生かされており、悪路や雪道で安定した走りを楽しませてくれる。
輸入車勢も強い、激戦のミドルクラスに投入された2台のニューモデル。それなりの価格帯ではあるが、どちらも販売は好調だ。
力強さとエレガンスを両立させたSUV
マツダ『CX-60』
Specification
■全長×全幅×全高:4740×1890×1685mm
■ホイールベース:2870mm
■車両重量:1940kg
■排気量:3283cc
■エンジン形式:直列6気筒ディーゼル+交流同期モーター
■最高出力:254PS/3750rpm+163PS
■最大トルク:550Nm/1500~2400rpm+153Nm
■変速機:8速AT
■燃費:21.0km/L(WLTCモード)
■車両本体価格:547万2500円
※「XD-HYBRID Premium Modern」
大きめのグリルと左右に伸びるヘッドライトはシグネチャーウイングと称されている。中央にマツダのエムブレムを配したフェイスは『CX-5』から踏襲されているが、デザインは微妙に異なる。
ロングノーズのスタイリング。フェンダーには「INLINE6」(直列6気筒)の文字が入ったサイドエムブレムが備えられている。サイドプロポーションのバランスの良さはピカイチ。
細い横長のテールランプはフロントのライトと同じデザインコンセプト。高い位置にレイアウトされ、視認性を向上させている。テールランプは点滅パターンを新たに採用した。
電気の力を存分に生かした新世代SUV
日産『エクストレイル』
Specification
■全長×全幅×全高:4660×1840×1720mm
■ホイールベース:2705mm
■車両重量:1880kg
■排気量:1497cc
■エンジン形式:直列3気筒DOHCガソリン+交流同期モーター
■最高出力:144PS/4400~5500rpm+204PS+136PS
■最大トルク:250Nm/2400~4000rpm+330Nm+195Nm
■変速機:電気式無段
■燃費:18.4km/L(WLTCモード)
■車両本体価格:449万9000円
※「G e-4ORCE 4WD」
新しい『エクストレイル』の顔はヘッドランプがユニーク。ボンネットの下にポジションランプとターンランプを配し、メインランプを下段に置いた2階建て。グリルのメッキ類は控えめ。
サイドビューの特徴はウインドウの面積が広いこと。これが見切りのよさに結びついている。ホイールベースは『CX-60』より165mmも短いが『エクストレイル』には3列シート仕様もある。
高い位置に配されたテールランプのインナーレンズは無垢。日本の伝統的な切り子パターンをモチーフにした、キラキラと輝く加工が施されている。水平基調を主張したデザインだ。
高級セダンやスポーツカーのような走りを実現したSUV マツダ『CX-60』
エンジンルーム
直列6気筒ディーゼルエンジンと48Vモーターが収まるフロント部。4WD方式は基本的に後輪駆動ベース。4400回転まで使える。
運転席と各種装備
幅広いセンターコンソールはFRらしい強力な変速機とその先の縦置きエンジンをイメージ。内装は4種類の異なる仕様を用意。
シートスペース
あくまで人間中心のコックピット、シート形状が基本。2列目は着座位置が高く、視界は良好。
ラゲージスペース
開口部はやや高めに見えるが『エクストレイル』とほぼ同じ。後席背もたれは4/2/4の分割可倒式だが床面はやや斜め。
【 ココがポイント!】新開発のシフトレバーなど内装の設計も大幅改良
センターコンソールにあるのは新開発の8速ATシフトレバー。シフトパターンはPがRの右にあるので少し慣れが必要。Miドライブモードの操作などもすべてコンソールに集約。
【 ココがポイント!】マツダ初のPHVも選べるSKYACTIVEラインアップ
SKYACTIVEは新世代技術の総称でエンジン、ミッション、ボディー、シャーシに用いられている。eは電気自動車、Dはディーゼルエンジンを表わす。『CX-60』はPHVも選べる。
完成度の高さとコスパが魅力! 日産『エクストレイル』
エンジンルーム
横置きされたエンジンは1.5Lのガソリン仕様だがモーターに電気を供給するのが主目的。エンジンが始動すると音と振動を感じる。
運転席と各種装備
センターコンソールは中空構造設計。下にはティッシュボックスやブランケット、ポーチなどを収納できる。運転席からの視界は良い。
シートスペース
シートの素材は黒のファブリック、新開発素材のテーラーフィット、タン色ナッパレザー(試乗車)、防水シートの4種類から選べる。
ラゲージスペース
後席の背もたれは4/2/4の分割可倒式でリクライニング可能。『エクストレイル』は1車種だけ、3列シートを備えた7人乗りも用意。
【 ココがポイント!】5種類の走行モードを選べる高い技術力
センターコンソールには、日産の高い技術力を象徴するドライブモードセレクトがある。オフロード/スノー/オート/エコ/スポーツの5つのモードから選択して走行することが可能。
【 ココがポイント!】前後の揺れを抑制し上質な乗り心地を実現
eは電気、4ORCE(フォース)は新しい4WDをイメージさせる造語。前後2つのモーターと左右のブレーキを統合制御しハンドリングと雪道での走破性を向上させる技術。
いずれも完成度の高さは抜群!コスパなら『エクストレイル』
マツダ『CX-60』
[運転性能]基本的に後輪駆動をベースにした4WDはハンドリングもFR的な動きで楽しい。実走燃費は16~19km/L。18点
[居住性]前席は低めの着座位置でスポーティー。後席は高めの着座位置にガラスハーフなのでやや頭上の圧迫感あり。19点
[装備の充実度]安心・安全の先進技術導入に関してマツダは熱心。今回からドライバー異常時対応システムを投入した。19点
[デザイン]ロングノーズのスポーティーな外観は『CX-60』の最大の魅力。インテリアの色使いもセンスがよく、お洒落だ。19点
[爽快感]車重は重めだがスタートからモーターアシストも効き途中から加速は伸びる。0→100km/h加速も7秒台前半。19点
[評価点数]94点
日産『エクストレイル』
[運転性能]モーターパワーの立ち上がりの軽快さはあるが、エンジン始動時の音と振動は大きめ。実走燃費は15~21km/L。19点
[居住性]後席はリクライニング、温度計付きシートヒーター、見晴らしのよさなどで快適。前席も視界が広く運転しやすい。19点
[装備の充実度]プロパイロットにナビリンク機能を追加。車庫入れもサポートは万全。外板色のバリエーションも多い。19点
[デザイン]美しさとかスポーティーさというより、多彩な先進技術を表現したようなフロントマスクに個性を感じる。19点
[爽快感]『CX-60』より大人1人分軽い車重、先進の走行制御技術、e-Powerは走行条件が悪くなるほどワクワクさせる。19点
[評価点数]95点
取材・文/石川真禧照 撮影/望月浩彦
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2023年1月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。
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みんなのコメント
欧州車といえどピンからキリまであるが、
このタイトルでは全ての欧州車が上質なのか?
嫁車は欧州車だが、特別上質では無いぞ。
知らない人が、外車=高級 と同じに見える。
クルマのライターさんなんだから分かるだろ?