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稀代の名車か? 進化はどこまで続く? エスティマが長年愛される理由

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稀代の名車か? 進化はどこまで続く? エスティマが長年愛される理由

 日本の自動車界が本格的に熟成させたのがミニバンだろう。アルファードなどのハイクラスから、セレナやステップワゴンのようなミドルクラスまでさまざまなミニバンが揃う。

 そんななか傑作とも呼べるミニバンがエスティマではないだろうか? 今日でもその人気は一定のものがある。

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 「天才タマゴ」のフレーズで登場した初代はまだしも、2006年登場の現行型もまだまだ人気がある。エスティマの魅力とはいったいなんなのだろうか?

文:片岡英明/写真:ベストカー編集部

■月販1万台?? 初代エスティマから神話が始まった

 1980年代まで、日本では昭和の時代まで、多人数乗車のマルチパーパスカーと言えば商用車から発展したワンボックスカーだった。

 食パンのようなフォルムなので荷物をたくさん積めるスペース効率の高さと使い勝手のよさが受け、人気者になっている。

初代エスティマは流麗なフォルムでそれまでの「バン」からの脱却を図った

 トヨタもライトエースをボトムに、タウンエース、マスターエース、ハイエースとエースシリーズを送り込んだ。

 アウトドアブームが後押ししたこともあり、販売は堅調に伸びていく。


 が、トヨタは次のステップへの飛躍を考えていた。その答えは、年号が平成に変わった1989年の東京モーターショーで出される。

 安全基準の厳しいアメリカで販売するために開発した快適なミニバン、「プレビア」を参考出品したのだ。

 度肝を抜いたのはエクステリアデザインである。カリフォルニアにあるトヨタのデザインスタジオ、CALTYの手になる流麗なワンモーションフォルムを採用していた。

 ボディは3ナンバーのビッグサイズで、全幅もワイドだ。空気抵抗係数も、当時としては優秀なCd=0.35を達成している。


 エンジンはフロントのシート下ではなくアンダーフロア・ミッドシップだ。フロア下に2.4Lの直列4気筒ハイメカツインカムを、75度傾けて搭載した。そのためハンドリングがよく、キャビンも広く取れる。

 また、横と前後に行き来できるウォークスルーも実現していた。サスペンションは、ストラットとダブルウイッシュボーンの4輪独立懸架だ。このプレビアは、1990年5月に「エスティマ」の名で発売に移されている。


 初代エスティマは、価格が200万円後半だったため、月販2000台の予定だった。が、発売されると引っ張りダコの人気モデルになっている。

小エスティマのルシーダ/エスティマも人気を誇り、エスティマとの合計で月販1万台を超えた

 余勢をかって1992年1月には「小エスティマ」のルシーダとエミーナを投入。エスティマと合わせると月販1万台を超えるミニバンのベストセラーカーにのしあがった。

 モデル末期まで勢いは止まらず、10年の長きにわたって第一線で活躍している。


 2000年1月にはルシーダとエミーナを統合した2代目のエスティマが登場した。

 初代エスティマは助手席側にしかスライドドアがなかったが、2代目は両側にスライドドアを配し、利便性を大きく向上させている。

 また、駆動方式をFFベースとし、2.4Lの直列4気筒に加え、3LのV型6気筒エンジンも送り込んだ。

 途中でハイブリッド車も設定している。この2代目はデビューから3年を超えても乗用車の販売ランキングトップ10にとどまり、月販販売台数も5000台レベルを超えるなど、初代を凌ぐヒット作となった。

■現行型がデビュー13年目でも人気のワケ

 これに続く3代目のエスティマがベールを脱ぐのは2006年1月だ。

 デザインはキープコンセプトだが、メッキギラギラの強面(こわおもて)で、背も高いフルサイズミニバンを嫌うユーザーや都市に似合う洗練されたデザインを好む人たちには愛された。

2016年に大きなマイナーチェンジを実施したエスティマ。安全性能、そしてハンドリングなども向上した

 また、パーソナルユースに似合うスタイルはワゴン派やセダン派などからも支持されている。

 先進性が感じられるインテリアやVIP感覚の上質なキャビンに惚れ込む人も多い。


 4気筒エンジンは2.4Lのままだが、V6エンジンは3.5Lとなり、ダイナミックな動力性能を手に入れた。

 また、ハイブリッド車は2.4Lエンジンにモーターを組み合わせたTHS IIとなり、これに電気式4WDのE-Fourを組み合わせている。

 基本的なメカニズムは後に登場するアルファードと兄弟車のヴェルファイアと変わらない。

 だが、他のLクラスミニバンより背が低く、車両重量も軽いから走りの実力は高く、快適性も高かった。

 ガソリン車、ハイブリッド車ともに人気だったが、リーマンショック以降はハイブリッド車が販売を伸ばしている。

 3代目はデビューから5年後でも月販1500台ペースをキープした化け物ミニバンだ。この時期にはモデルチェンジが噂されたが、安定して売れていたから、そのまま販売を続けている。

 そして誕生から丸10年を超えた2016年6月に気合いの入ったマイナーチェンジを断行した。

 先進感のある美しいシルエットは色あせていなかったが、フロントマスクを中心にフェイスリフトを行い、顔を大きく変えている。

 また、ミニバンとして初めてツートーンのボディカラーを設定し、ファッション性を高めた。

 インテリアには新デザインのメーターや大型のセンターコンソールを採用し、グレードごとに豊富にシートカラーを設定している。

 インパネなどの上質感、見栄えはよくなり、ライバルと比べても見劣りしないようになっている。古参モデルだが、基本デザインがいいこともあり、商品性は大きく向上した。


内装も現代風にアップデートしており、ライバル勢との差も少なくなってきた

 走りの実力もアップしている。きめ細かい改良によって軽やかな加速と優れたドライバビリティを身につけ、新世代UVガラスを採用したから静粛性も高い。

 ハイブリッド車は最新の2.5Lエンジン搭載車と比べると見劣りする。だが、実用燃費がいいなど、トータル性能は高い。また、2.4Lのガソリンエンジン搭載車も不満のない実力だ。


 ハンドリング性能と安全性の実力は大幅に引き上げられている。改良されたサスペンションとパフォーマンスダンパーの効果は絶大だ。

 基本設計は古いが、ボディ剛性は高められ、操舵フィールとタイヤの接地感は見違えるほどよくなった。

 乗り心地もしなやかさを増している。それだけではない。弱点だった先進安全装備も充実した。

 衝突回避支援ブレーキと車線逸脱警報に代表されるトヨタセーフティセンスCが搭載されたのだ。さすがに最新の安全装備ではないから万全ではない。だが、最低限の安全性は確保した。


 ワンモーションのキュートなフォルムに加え、最新モデルは安全装備と快適装備が充実している。

 不満だった走りの実力も高められた。満足度の高いミニバンへと成長したからデビューから13年になる今でもふた桁に迫る販売台数を記録しているのだろう。

[usedcar-search carname="エスティマ" limit="2"]

 エスティマ恐るべし、である。さすがにこの先は販売が頭打ちになるだろう。だが、使い勝手がよく、洒落っ気のあるミニバンはエスティマだけしか存在しない。

 だから広さや押しの強さに目を向けない人は、今もエスティマに興味を持つのだろう。稀代の名ミニバンだ。

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