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若者ドライバーでも慢心してはダメ!! 高齢者以外でも多発している踏み間違い事故回避術

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若者ドライバーでも慢心してはダメ!! 高齢者以外でも多発している踏み間違い事故回避術

 人命にかかわる惨事が起こるたび、ニュースなどで注目を集めるのがアクセルとブレーキの踏み間違いによる事故。踏み間違いが起こってしまう原因や、事故を未然に防ぐための方法とは?

文/井澤利昭、写真/トヨタ、写真AC

若者ドライバーでも慢心してはダメ!! 高齢者以外でも多発している踏み間違い事故回避術

■焦りからくるパニックは禁物!? ブレーキとアクセルの踏み間違いが起こる原因

AT車の普及とともに社会問題ともなっている、アクセルとブレーキの踏み間違いが原因による事故。周辺の人や建物などを巻き込む大惨事につながることもあり、ドライバーであれば誰もがその加害者になりうる

 ブレーキを踏んだつもりが間違ってアクセルを踏んでしまい、それが原因でクルマが暴走してしまう、いわゆる“踏み間違い”による事故。

 過去には人命にかかわる痛ましい結果を引き起こしてしまった事例もあり、クルマを運転する人であれば誰もが加害者になりうる社会問題ともなっている。

 では、アクセルとブレーキの踏み間違えによる事故はなぜ起きてしまうのであろうか。その大きな要因としてまず考えられるのがAT車の普及だ。

 現在、日本国内を走るクルマの90%以上がAT車といわれており、アクセルとブレーキという2つのペダルを右足のみで操作するという構造上、どうしても踏み間違いが起こりやすい。

 いっぽう、一部のスポーツモデルや商用車などを除き、国内ではほとんど見られなくなったMT車の場合、左足によるクラッチ操作が加わるため、万が一踏み間違いをした場合でも、クラッチによる駆動伝達のカットやエンストにより、大きな事故にはつながりにくくなっている。

 さらに踏み間違いが大きな事故へと発展するもうひとつの要因として考えられるのが、ドライバーの“気の焦り”といった精神的な側面だろう。

 仮にAT車でアクセルとブレーキを踏み間違えてしまった場合でもすぐさまアクセルから足を離し、ブレーキを踏むなど適切な操作ができれば問題はないが、意図しないクルマの動きにドライバーが焦ってパニックに陥ってしまうと、正しい判断や操作ができなくなってしまう。

 事故を起こした当事者の証言でもよく聞くように、気が動転している状態では、本人はブレーキを踏んでいるつもりでアクセルを踏み続けてしまうということも多い。

 その結果クルマが暴走してしまい、周囲の人やクルマを巻き込むことで、踏み間違いが大きな事故へとつながってしまうワケだ。

■日常的なちょっとした油断にも潜んでいる「踏み間違い」の危険

ドライバーの足元に敷くフロアマットがズレていたり、サイズが合わないものを無理やり取り付けていると、何かの拍子に滑ってしまったり、マットがペダルに引っ掛かり、クルマが暴走する原因になることも

 また、日頃何気なくやってしまっている行動が踏み間違い事故へとつながってしまうこともある。

 例えば、近所のコンビニなどへのちょっとした買い物にクルマで出かける際、サンダル履きのままクルマを運転したりはしていないだろうか?

 運転に適していない靴を履いた状態でのペダル操作は、踏み込む際に脱げてしまったり、雨などで濡れたことで足が滑るなど、ちょっとした拍子にアクセルとブレーキを踏み間違えてしまう可能性がある。

 踏み間違いとはやや異なるが、厚底の靴が引っ掛かってアクセルが戻らなくなり、クルマが暴走したという事故が話題になったことを覚えている人も多いのではないだろうか。

 同じように、足元に敷くフロアマットがきちんと固定されておらず、それがズレたことにより踏み間違いや、マットがペダルに引っ掛かり、アクセルが戻らなくなるといった事例も過去には起こっている。

 また、すでに違反となっている運転中のスマホ操作など、他のことに気をとられたせいで踏み間違いを起こしてしまうパターンも多い。

 公益財団法人交通事故総合分析センターによる統計によると、踏み間違いが原因とされる死傷事故は、2018~2020年の3年間の累計で1万件近くも発生している。

 世間的には「高齢者が起こすもの」と思われがちな踏み間違いが原因による事故だが、同統計の年齢別による事故件数のデータによれば、24歳以下の若年層のほうが75歳以上の高齢者よりも多い。

 つまり、若いドライバーだからといって踏み間違いを起こさないというわけではないということだ。

 踏み間違いによる事故は年齢に関係なく誰もが起こす可能性があり、運転中のちょっとした気の緩みや油断が、そのきっかけになりうるということだ。

■事故の多くは「あの場所」で起こっている! 踏み間違いが発生しやすいシチュエーション

精算機がある駐車場の出口付近は事故が起こりやすい危険なポイント。無理やり腕を伸ばした状態で料金を支払おうとすると、ブレーキペダルから足が離れ、クルマが意図せず動き出すことがある

 では、踏み間違いによる事故はどのような場所やシチュエーションで起こりやすいのだろうか。

 当たり前ではあるが、踏み間違いによる事故はアクセルとブレーキの操作を交互に切り替える必要がある場面で起こるため、同じ方向に向かってスムーズに流れている道路上などでは発生する可能性は比較的低い。

 もちろん、道路上であっても停止や発進が必要となる信号待ちや右左折時などは踏み間違いによる事故が発生するケースがあるが、より事故の頻度が高いとされているのが、サービスエリアやコンビニなどの駐車場だ。

 例えば、狭い場所にバックで駐車をする場合、アクセルとブレーキを何度も踏みかえるのに加えて、ハンドル操作や周辺を通る人やクルマの確認など、同時にいくつもの操作をこなさなければならない。

 この時、後続のクルマなどからのプレッシャーを感じて焦るあまり踏み間違いをしてしまったり、後方確認のために無理な体勢をとったことでアクセルをうっかり踏み込んでしまったりすることがある。

 また、コンビニの店舗前などに前向きに駐車する際、停車するためにブレーキのつもりがアクセルを踏んでしまい、パニックからさらに加速して店舗に突っ込んでしまうケースも。

 駐車場出口では、料金を支払うために駐車券やお金を精算機に入れようと体を伸ばした際にブレーキを踏んだ足が滑り、アクセルを踏んでしまう踏み間違い事故も多発している。

 このように、駐車場内ではちょっとしたミスや焦りが重なることで踏み間違い事故が起こりやすい。スピードが遅いからと油断は禁物! 誰もが事故を起こしてしまう可能性があるのだ。

■決して焦らずペダル操作はゆっくりと! 踏み間違い事故を防止するための運転術

何かの拍子にクルマが動いてしまわないよう、停車する際はパーキングブレーキをかけるとともに、シフトレバーのポジションを「P」の位置にするように習慣づけておこう

 踏み間違いによる事故を防ぐ手段はいくつかあるが、やはり重要なのが安全を意識した慎重な運転を心がけるというのが基本だろう。

 発進するまでは必ずブレーキを踏んだままにすることや、焦りの原因にもなる急なペダル操作は控えるクセをつけることが大切だ。

 さらに駐車場出口での支払い時などで停車する際は、フットブレーキだけではなくパーキングも併用しよう。シフトレバーのポジションを目視できちんと確認することなどを習慣づけておけば、意図せずクルマが動くのを防ぐことができる。

 またクルマに乗る際には、滑ったり脱げたりする可能性のあるサンダルなどは控え、運転に適した靴を履くことも重要。ペダル操作の邪魔にならないよう、フロアマットがしっかりと固定されているかも定期的に確認したい。

 事故が起こりやすい狭い駐車場内などでは、アクセルを不用意に踏み込むことをできるだけ避け、クリープ現象とブレーキ操作をうまく使ってスピードを調整するのも、踏み間違いを回避するには有効な手段だ。

■100%信頼できる!? クルマの安全支援システムも踏み間違いには有効だが……

今乗っているクルマに後付けできるトヨタの「踏み間違い加速抑制システムII」。進行方向に障害物がある状態でアクセルを強く踏んだ場合に急加速を抑制し、ブザーやランプ、ディスプレイ表示でドライバーに危険を知らせる

 アクセルとブレーキの踏み間違いは、ドライバーがいくら注意していても起こる可能性がある。そこで近年注目を集めているのが、新型車を中心に普及が進んでいるクルマの安全支援システムだ。

 そのなかでも、センサーやカメラによって周囲の障害物などを検知し、それらにぶつける可能性がある場合はアクセルを強く踏んでも加速を抑制する機能や、バック時にアクセルを強く踏んでも急加速しないようスピードを抑える機能、駐車場内など低速で走っているときにアクセルを強く踏んでも、急加速を回避する機能などが、踏み間違いに対応できる主なものだ。

 各自動車メーカーから提供されるこれらの機能は、一部車種では標準で装備されているほか、現行モデルであれば多くの車種でオプションとして新車購入時に追加することができる。

 また、現在乗っているクルマに後付けで追加ができるシステムも用意されており、自動車メーカー純正のものはもちろん、大手カー用品店などでも同様のシステムを提供しているところがある。

 後付けができるシステムに関しては国土交通省が性能の認定も行っており、取り付けの際にはその製品が認定をクリアしているかをあらかじめ確認もしておけば、より安心できるだろう。

 とはいえ、こういった踏み間違い事故防止システムが全てにおいて万能というわけではない。小さな子どもの急な飛び出しや、スピードが出過ぎている場合などはシステムが正常に働かないこともあるからだ。

 事故防止システムはあくまで補助的なものであり、たとえうっかりによる踏み間違いであっても、事故を起こしてしまえばその責任はすべてドライバーが背負うことになる。

 余裕を持った操作や周辺状況の充分な確認など、まずはドライバー自身が安全運転に努めることが踏み間違いを含む事故防止につながるということは、常に心しておかなければならない。

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みんなのコメント

32件
  • nim********
    『若者はもし踏み間違えてもすぐに気が付いてリカバリーが出来る。』
    『高齢者だけが非常に踏み間違いを多発してる』
    これ両方ともマスコミがイメージを作り出した嘘だよ!!

    うちの家に真横の駐車場からUターンするように突っ込んできた若者は、
    アクセルを離すことも、ハンドルを切ったまま戻すこともなかった。
    Uターンしてる間にリカバリーする時間は僅かだがあったはずだ。

    高齢者 対 若者 どちらの踏み間違いが多いか?
    若者が多発してます、他の方も書いてるので、そちらも参照しましょう。

    マスコミの言ったこと、ニュースで聞かされることが100%真実とは限らない!
  • axiaixa
    毎日乗ってるプロ、タクシーの運転手さんも踏み間違いは「有る」って言ってました。
    ただ、そのまま突進みたいなのは少ない。
    因みに年齢は余り関係ないそうです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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