日産が、数字の上でもピンチを迎えているのは明らかだ。
日産は、2019年度第1四半期決算で、第1四半期の売上高は前年同期比で12.7%減となる2兆3724億円、営業利益は同98.5%減の16億円、当期純利益は同94.5%減の64億円と発表した。
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また、第四半期累計3か月のグローバル販売台数は同6.0%減の123万1000台となった。営業利益、当期純利益の数字は、日産の第1四半期として過去最低の水準という状況だ。
原因追求と対策立案は、我々メディアが出る幕ではないものの、2018年の年間販売台数で国内販売2位(※軽除く)の日産は、この惨状をどう見ているのか。「国内2位」の自覚やプライドはあるのだろうか。
元日産エンジニアである筆者が、現役日産社員2名へインタビューを行った。インタビューから、今後の発展を見据える。
文:吉川賢一/写真:日産
現役の社員はどう感じているのだろうか?
壇上にて話す西川 廣人代表執行役社長兼最高経営責任者
1人目:部品設計の開発エンジニアであるA氏
Q.「最近の日産は元気がない、と言われているのですが、実際に社内はどういった雰囲気ですか?」
A. 元気がないことは無いと思う。特に担当層は目の前のプロジェクトに邁進しているのは、今も昔もそうかなと。
Q.「実は日産は、2018年国内登録車販売は第2位なのですが、実感ありますか?」
A. 順位はあまり意識してないかもね。そこは世界販売の順位も同じで、ルノーと合わせて1位を取るとか、トヨタを抜くとか抜かないとか、そういうのにはあまり意識がない。黙々と目の前の担当しているクルマを良くしようと考えている、エンジニア志向の人が多いかな。
Q.「今、日産で起きていることで不安を感じている方はいませんか?」
A. いろんな報道をみて、「将来うちの会社大丈夫かな?」という危機感に対しては、少しずつ思うところがあるかもね。
2人目:営業担当であるB氏
Q.「いま社内はどういった雰囲気ですか?」
A. やる気や愛想は、人によって違うと思うのでわからないですが、
最近は、「狙ったセグメントで1位になって存在感を出す、ブランド力をあげる」という戦略なので、その意味でノートやセレナの好調をポジティブに受け止めている人が多いのではと思います。
総合台数でトヨタに勝つよりは、ノートやセレナなどの強みの車種では勝ちたいという感じですかね。
2019年6月販売台数(普通乗用車)1位になったノートe-POWER
Q.「2018年国内登録車販売は第2位なのですが、実感ありますか?」
A. 順位に敏感に反応する方は少ないように思います。昔は明確に「2位を狙う」としていましたが、今は車種や、EV、ADなど、狙った分野で勝つという考えにしています。
ここ最近は、日産車が1位になるニュースや新車登場もあり、雰囲気はいいと思います。以前は日本市場向けの活気がなく、社内の雰囲気も暗かったです。
Q.「今、日産で起きていることで不安を感じている方はいませんか?」
A. 先日の決算内容に対しては、直接関係していなかった部署や役職によっては「なんでこんな結果なのか」と漠然と分からない方が多いと思いますが、今を冷静に受け止めて、やるべきタスクに落とし、現状打破と継続的成長を目指します。
日本国内市場に対しては、社内向けにも「日本(市場)を大事にしてやっていく」というメッセージが伝えられており、おおむね前向きに受け止められていると思います。継続的な成長の軌道に戻しますので、ここからの日産の変化を見ていてください。
まとめ
現役日産社員2名共に、今の状況を冷静に受け止めつつも自身がやるべきタスクをしっかりとこなす覚悟をしている。それは、筆者が日産にいたころと、良い意味で何も変わっていなかった。
企業としての長い歴史の中で、嵐に巻き込まれることは多々あるだろう。倒産危機を乗り越えてきた日産だ。日産には、度々起きる騒動や不運に、耐えられるだけの体力と知力、底力があると信じたい。
そして、今回の一連の騒動を乗り越えた先で、日産から新たに登場するクルマがどれだけ魅力的なクルマか、自動車ジャーナリストとして、冷静な目で判断していきたい。
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