この記事をまとめると
■ルノーが「フィランテ・レコード2025」を公開
誰がみても「ルノー5ターボ」な最新EV! 5ターボ3Eの見事なデザインをプロが分析
■EV航続距離記録に挑戦するためのルノーによる実験車だ
■2025年の前半に航続距離記録に挑戦する
レガシーのディテールを盛り込んだルノーの新たな実験車両
これまでもEVの航続距離記録に挑戦するクルマはたくさんありましたが、ルノー・フィランテ・レコード2025ほどスタイリッシュで革新的なモデルはなかったでしょう。
ベテランならばご存じのフィランテという車名は、ルノーが速度記録に挑戦してきた数々のモデルと同名。しかも、デザインのエッセンスも歴代のレガシーモデルからインスパイアされています。すなわち、ルノー・フィランテ・レコード2025は、ルノーの真剣な取り組みをカタチにしたレコードブレーカーにほかならないのです。
ルノーの電動デモカー、ルノー・フィランテ・レコード2025は、エネルギー効率を最大化し、87kWhバッテリーで電力消費と航続距離の新記録を樹立するために開発されたエクスペリメンタルモデル(実験車両)。同時に、モータースポーツと記録を量産モデルにフィードバックするために、徹底的なイノベーションをしてきたルノーの歴史、姿勢を体現しているといっていいでしょう。
あたかもボンネビルの速度記録マシンかのような戦闘的スタイルは、ルノーがこれまで作ってきた40 CV des Records(1925-1926)、Nervasport des Records(1934)、Etoile Filante(1956)にインスパイアされたシングルシーター。エアロダイナミクスと最先端技術のリアルな体現であり、より持続可能で効率的なモデルを作りたかったルノーの自信作でもあります。
デザインを担当したサンディープ・バムブラ氏によれば「戦闘機や19世紀の速度記録車にインスパイアされ、パフォーマンスと時代を超越したエレガンスの双方を表現した」とのこと。最新レコードブレーカーといっても、多くのディテールにはルノーのレジェンドマシンへの敬意が溢れんばかり。
600kgのバッテリーを搭載しても車重は1000kg以下
たとえば、ウルトラバイオレットブルーのボディカラーは40 CV、ボディから独立したタイヤ&ホイールはNervasport des Recordsなど、さすがレガシーに事欠かないルノーらしいこだわりです。無論、航空力学による裏付けも抜かりなく、戦闘機のキャノピーを思わせるキャビンや、空気の流れを途切れさせないボディワークなど、最新の理論によるスタイルが随所に見られることでしょう。
そして、航続距離記録には軽量化も欠かせない技術。これこそフィランテ・レコード2025の注目すべきテクノロジーで、カーボンによるコンストラクションはもちろん、3Dプリント用に開発された高強度アルミニウム合金「スカルマロイ」の使用、あるいはステア・バイ・ワイヤ、ブレーキ・バイ・ワイヤによる機械部品の低減など、エンジニアリングの挑戦も目をみはるような技術。
その結果、車重はバッテリーを600kg搭載した状態でも1000kg以下に抑えられたといいます。外からは見えないかもしれませんが、シートなんてフレームなしのハンモック形状らしいので、軽さへの徹底ぶりはF1以上かもしれません。
また、ルノーの挑戦について、心強い味方となったのがミシュラン製のタイヤです。20インチというほかスペックは公表されていませんが、転がり抵抗係数を従来の6.5kg/トンに対し、約4kg/トンという限界値にほど近いところまで向上させているとか。ミシュランによれば、タイヤの性能が航続距離の20%に影響を与えるとのことで、このテクノロジーはすぐにでも市販タイヤにフィードバックされるでしょう。
ルノーが本気を見せたレコードブレーカーは、パリのレトロモビルでお披露目されたあと、風洞実験で細部をブラッシュアップし、F1コンストラクターとして知られるリジェ、航空技術のトップランナーのAPロッキードらのサポートを得ながら、2025年の前半に航続距離記録に挑戦する模様。
EVに興味のある方はもちろん、F1ファンだって目が離せないこと間違いないでしょう。
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みんなのコメント
もう自動車は十分速いし壊れなくなってるから、CO2を無駄に出してやり意味を見出せない。
合成燃料や他の代替燃料を使っても、電力を使ってみても、エネルギーの浪費感は拭いきれない。
唯一社会的な意味を見出せそうなのは、こういう効率競争の類だと思うんだが、難点は地味なんだよね、興行としては。