人の立ち入りが危険なエリア、人手の作業があまりに手間のかかる事業、そういったところで活躍する無人作業ロボットカーがホンダから提案されていた。
ホンダのCES19ブースは、BtoBが基本。彼らの持つ技術をパートナーと共有し新しい製品やサービスとして高めていくというスタンスだった。とはいうものの、ホンダらしいユニークなプロダクトが数々展示されていた。
Autonomous Work Vehicle(オートノマス ワーク ビークル:AWV)と名付けられたこのクルマ──いや車輪のついたロボットというべきか──は、昨年のCESで同じくホンダが提案した「3E-D18」をベースとした自律型移動モビリティ。GPSとセンサによる自律運転とし、オンボード型のプラグイン電源を搭載。「Follow Me」「Pattern」「A to B」のモードを備える。レールアクセサリーマウントによるさまざまなアタッチメントの装着を可能とし、各種の使途を想定している。
全長1940×全幅1100×全高900mm
重量 350kg
最大積載量 454kg
最大牽引重量 590kg
3E-D18はエアレスタイヤを装着しているのが目にとまったが、AWVはホンダがアメリカで得意とするATVが履くようなハイトのある通常型タイヤだった。いかにもストロークのありそうなシャシ構造で、牽引のためのフックが備わっているのも見て取れる。展示車には山火事対応時のギヤがトレイとともに満載されていて、あえて泥だらけのまま置かれているのも迫力である。パッと見てどちらが前/後ということもないデザインも印象的だ。
3E-D18の展示以来、ホンダはAWVについてノースカロライナ州の大規模太陽光発電所における除草作業、カリフォルニア州のカリフォルニア大学デービス校における試験農場のモニタリング作業、およびコロラド州の消防隊の機材搬送や危険エリアの偵察・通信サポートの、3つの実証実験に供した。
ノースカロライナ州の178エーカーの農地に広がるソーラー事業会社にとって、植生管理は、信頼性が高く手頃な価格のエネルギー生成に対する最大の課題のひとつ。 現在は羊と人手により、植生を管理している。 実際のテストシナリオでは、ホンダはAWVに牽引式芝刈り機を装備し、ソーラーパネル周辺の雑草を効率的かつ安全に除去したという。
山火事が起きると、コロラド州の消防士たちは、チェーンソーや消火ホース、水タンクなどを含む約60ポンド(27kg強)の装備を急な地形を移動しながら運ばなければならない。当然ながら、現場に到達する前に体力を著しく消耗してしまう。そこで、ホンダはAWVにギアラックを設置して、物資、機器、水を輸送した。 「Follow Me」モードによって、車両は自律的に消防士を追跡し黙々と重量積載物を搬送したという。
カリフォルニアの農業環境科学大学と協力して、AWVは作物の収穫と散布を支援した。広大な農園で収穫し、まとまったらトラックまで運ぶ。このプロセスをAWVに任せることで、作業の効率が著しく高まった。また、アタッチメントを装着することで農薬を自動的に散布、時間の節約と作業者の健康被害を最小限に抑えられることも実証された。
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