国土交通省では、国内乗用車メーカー8社に対して、自動車が冠水した道路を走行した場合に生じ得る不具合等について調査を行い、その結果を踏まえ、「自動車が冠水した道路を走行する場合に発生する不具合」を公表した。
今年の台風19号等による大雨においては、自動車が水没する等により、運転者や同乗者が亡くなる事故が相次いだ。自動車は、エンジンやモーターで駆動し、電気装置により制御されているため、水深が車両の床面を超えて車内へ浸水すると、様々な不具合が発生するおそれがあり、最悪の場合、エンジンやモーターが停止して移動できなくなる。また、水深がドアの下端にかかると、車外の水圧により内側からドアを開けることが困難となり、ドア高さの半分を超えると、内側からほぼ開けられなくなる。
自動車が冠水した道路を走行する際に生じる不具合
1. 水深が床面を超えると、車内に浸水して電気装置が故障するおそれや、マフラーから浸水してエンジンルームが損傷するおそれがある。その結果、自動スライドドアやパワーウインドウが動作しなくなる、エンジンやモーターが停止し再始動できなくなる、などの不具合が生じるおそれがある。
【注意!】 水深が床面以下であっても、走行速度が大きくなると、車両が巻き上げた水や生じた波により、吸気口からエンジンに浸水し、最悪の場合、エンジンが停止して動作しなくなるおそれがある。また、電気自動車やハイブリッド車では、駆動用バッテリーに浸水すると、車両が停止するおそれがある。
【注意!】 水流がある場合、車両が流されるおそれがあり、大変危険。
2.タイヤが完全に水没すると、車体が浮いて移動が困難になるおそれがある。
3.水深がドアの下端にかかると、車外の水圧により内側からドアを開けることが困難となり、ドア高さの半分を超えると、内側からほぼ開けられなくなりる。なお、内外の水の高さが同じになるまで浸水すると、内側からドアが開くようになる。閉じ込められた際、自動車のガラスは、脱出用ハンマーで割ることができる。ただし、フロントガラス及び一部のドアガラス(要確認)は、合わせガラスのため割ることはできない。脱出用ハンマーは、新車購入時にオプション購入するか、自動車の販売店・用品店で購入可能。
浸水、水没にあってしまったら
冠水した道路では、路面が見えづらくなる。水深や道路の端がわからない場所(アンダーパスなど)には進入しないようにしたい。万が一、車両が水中に落ちてしまった場合には——
まず落ちついて、シートベルトを外し、窓を開け、脱出します。シートベルトが外れない場合はシートベルトカッターなどで切断します。窓が開かない場合は、水面より上にあるドアガラスまたはリヤガラスを緊急脱出ハンマーなどで割って脱出します。万一に備えて緊急脱出ハンマー、シートベルトカッターなどを運転者の手が確実に届く場所に用意しておきましょう。ガラスが割れない場合は車内外の水圧差がなくなるまで浸水するのを待ち、ドアを開け、脱出します。
出典(一社)日本自動車工業会「安全すてきなカーライフ PASSPORT 2019-2020」 P28
水が引いた後も、エンジンをかけてはいけない。また、発火するおそれがあるので、バッテリーの端子(マイナス側)を外す(ただし、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車及びハイブリッド自動車は、高電圧のバッテリーを搭載していますので、自分で対処せず、自動車整備工場等に相談)。
一度浸水した車両は、運転可能であっても、電気装置等が損傷を受けているおそれがあるため、自動車整備工場等で点検整備を受けるようにする。
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