現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 車のスピード違反無くなる? 欧州で速度自動抑制「ISA」義務化 日本も導入検討へ 

ここから本文です

車のスピード違反無くなる? 欧州で速度自動抑制「ISA」義務化 日本も導入検討へ 

掲載 169
車のスピード違反無くなる? 欧州で速度自動抑制「ISA」義務化 日本も導入検討へ 

■欧州でいち早く義務化される「ISA」っていったい何?

 欧州では2022年発売の新車(乗用車、商用車、バス、トラック)から、「ISA(インテリジェント・スピード・アシスタンス)」の搭載が義務化されます。

サイレンは鳴らさずにパトランプのみで走行しているパトカーに道を譲る必要はあるの?

 近年中にアメリカでの義務化の可能性もあり、また日本でも国土交通省がISA採用について2017年から検討をしているところです。

 日本人には聞きなれないISAという言葉ですが、いったい何なのでしょうか。

 ISAは、制限速度の情報を通信によってクルマが得て、先進運転支援システムと連動させるシステムです。

 具体的には、車載カメラ、また地図情報とGPSなどの衛星測位システムを組み合わせて、走行時の制限速度を認識するというものです。

 日本で最近発売されているクルマにも、高度な運転支援システムのなかでカメラが道路標識の画像を認識して、メーター内などに制限速度を表示するシステムが組み込まれたものがあります。

 この場合、単なる制限速度表示であり、自車の速度が制限速度を超えていることを示す機能ではありません。

 一方、欧州でいち早く義務化されるISAには大きくふたつの機能があります。

 ひとつは、制限速度を超えていることをドライバーに表示や音で警告すること。

 もうひとつは、クルマ側のシステムが強制的に制限速度まで速度を抑制する、スピードリミッターを作動させることです。

 こうしたスピードリミッターに似た考え方として、スバル新型「レヴォーグ」に搭載された次世代運転支援技術として「アイサイトX」があります。

 アイサイトXは、高速道路走行中の道路状況を地図情報とGPSを組み合わせた自車位置から判断し、「安全運転が可能と思われる速度」まで自動で減速します。

 この「安全運転が可能と思われる速度」について、スバルのエンジニアは「あくまでも我々のリアルワールドでの実験から割り出した速度」と説明しており、国やほかの自動車メーカーとの情報共有をしているワケではないといいます。

■日本でもISAが導入されるとスピード超過が激減する?

 ISA欧州義務化に関して、オランダに本社がある、世界各国の自動車メーカー純正ナビに地図情報を提供しているTomTom(トムトム)が市場状況を説明する資料を作成し、2020年12月10日に公開しました。

 それによると、欧州連合(EU)の執務機関である欧州委員会(EC)の調査では、欧州の交通死亡事故の30%は速度超過が原因だといいます。

 また、アメリカの運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、2018年のアメリカの交通死亡事故車の26%にあたる9378人は、速度超過が起因しているとしています。

 こうしたなか、自動車の衝突安全や予防安全についてメーカー側の意識を高め、またユーザーに対する情報公開をおこなうNCAP(ニュー・カー・アセスメント・プログラム)で、欧州NCAPにはISAが評価項目に組み込まれています。

 日本のJNCAPは、ユーロNCAPを参考に、数年遅れて同じ評価項目を採用していましたが、ISAについて近年中にJNCAPでも採用される可能性があります。

 そうなると、たとえばJNCAPで「夜間の歩行者保護」に関する項目が採用された際、自動車メーカー各社の先進的運転支援システムが一気にグレードアップしたように、ISA機能の標準装備化が一気に進むかもしれません。

 トムトムでは日本市場を含めて、高度な地図データ情報の提供として、自動運転レベル1から2まではADASマップを、また運転の主体がドライバーから自動車のシステムに移るレベル3以上では高精度なHDマップを提供しています。

 さらに、トムトム関連システムをクラウド上で集積する、プローブデータ数は6億以上で、欧州の朝晩ラッシュ時の約2割のクルマからプローブデータを収集しているといいます。

 そのうえで、車載データから取得した走行データを解析するためのさまざまなツールを、自動車メーカーや自動車部品メーカーに提供。

 日本では2020年12月4日に発売された、三菱新型「エクリプスクロスクロス(PHEV含む)」に、トムトムの地図やコネクテッドナビゲーション、リアルタイムトラフィックサービスなどの最新技術をフル装備したインフォテイメントシステムが搭載されています。

※ ※ ※

 近年、自動車の動力性能や走行性能が上がり、制限速度を大きく上回って走るクルマが目立ちます。一般的には、実勢速度と称して交通の流れに乗って走ることが当たり前になっているのが実情です。

 実際に、東京の首都高速が空いている状況で制限速度60kmで走行してみると、実勢速度は時速80km以上に感じます。

 また、東京湾アクアラインなどでは、制限速度80kmに対して、追い越し車線の実勢速度が極めて高いという印象を持っている人も多いでしょう。

 こうしたなかで、日本でISA採用が増えることによって、重大事故が減少することが期待されます。

 ただ、速度抑制が強まれば、高性能なクルマを楽しむ機会は減り、そうしたクルマを楽しむのはサーキットなどの安全性を十分に担保したクローズドエリアだけになってしまう可能性があります。

 近年、欧米で進む、ハイパフォーマンスカーメーカーが手掛けている、自社ブランドのユーザー専用のプライベートサーキットは、これからの世の中の流れを考えたうえでの新たな戦略なのかもしれません。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

トヨタWRC、大荒れのデイ2を好位置で乗り切る。ラトバラ代表は「明日もトリッキーになる」と警戒/ラリージャパン
トヨタWRC、大荒れのデイ2を好位置で乗り切る。ラトバラ代表は「明日もトリッキーになる」と警戒/ラリージャパン
AUTOSPORT web
ARTグランプリ、ホンダのフランス法人とパートナーシップを締結。CR-VとZR-Vが提供される
ARTグランプリ、ホンダのフランス法人とパートナーシップを締結。CR-VとZR-Vが提供される
AUTOSPORT web
優れた燃費が自慢[アコード]!! [レクサスES]と比較した明確な違い
優れた燃費が自慢[アコード]!! [レクサスES]と比較した明確な違い
ベストカーWeb
レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
AUTOSPORT web
タイトルに王手のフェルスタッペンが苦戦、ミディアムで17番手「タイヤが機能せず氷の上を走っているよう」/F1第22戦
タイトルに王手のフェルスタッペンが苦戦、ミディアムで17番手「タイヤが機能せず氷の上を走っているよう」/F1第22戦
AUTOSPORT web
見かけ倒しでもいいじゃん! ルックスと性能が釣り合わないスポーツモデル5選
見かけ倒しでもいいじゃん! ルックスと性能が釣り合わないスポーツモデル5選
ベストカーWeb
2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦
2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦
AUTOSPORT web
【角田裕毅F1第22戦展望】昨年の反省をもとにセットアップを2種類用意。FP2で「だいたいの方向性は見つかった」
【角田裕毅F1第22戦展望】昨年の反省をもとにセットアップを2種類用意。FP2で「だいたいの方向性は見つかった」
AUTOSPORT web
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
ベストカーWeb
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
AUTOSPORT web
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
ベストカーWeb
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
Auto Messe Web
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
AUTOSPORT web
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
AUTOSPORT web
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
AUTOSPORT web
燃費と運転体験の両立 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTEへ試乗 電気で最長130km走れるHV!
燃費と運転体験の両立 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTEへ試乗 電気で最長130km走れるHV!
AUTOCAR JAPAN
北米の自動車博物館ハシゴ旅! 往年のF1GPカー「ペンスキーPC-1」に出会えて大感激!!…が、展示車両数の多さにすべてを見ることができずに大後悔…
北米の自動車博物館ハシゴ旅! 往年のF1GPカー「ペンスキーPC-1」に出会えて大感激!!…が、展示車両数の多さにすべてを見ることができずに大後悔…
Auto Messe Web
角田裕毅 初日10番手「一日のなかで状況を好転させ、方向性を見出した。Q3進出のため調整を続ける」/F1第22戦
角田裕毅 初日10番手「一日のなかで状況を好転させ、方向性を見出した。Q3進出のため調整を続ける」/F1第22戦
AUTOSPORT web

みんなのコメント

169件
  • 運転がつまらなくなる。
    自動車離れが加速する。
  • 運転スキルがなかなか上がらない人にはもってこいのいいシステムですね。自動運転へのステップの中では大事な要素ですね。
    ただ、コレが義務化されたらスポーツカーは売れなくなりジャンルとして無くなりますね。もちろんパワー自慢のスポーツセダンも同様ですし、EVのモーターもそこそこの加速の良いパワーまでで十分となります。
    運転してもつまらなくなりますね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村