ライダーには厳しいがエンジンには優しい寒い季節
空気が冷えると空気は収縮し、密度が高くなります。すなわち酸素を多く含むようになり、しかも乾燥するため燃焼反応が起こりやすくなります。
【画像】やっぱ「空冷」は美しい! 空冷エンジン搭載バイク3台を写真で見る(31枚)
この特性は、エンジンにとっては優しいといえます。酸素を多く含んだ混合気がエンジン内部に入るということは、その分爆発燃焼がしやすくなります。すなわち、エンジン本来の性能が発揮できるのです。
バイクには大きく2種類のエンジン冷却方式があります。「水冷」と「空冷」です。
水冷は、エンジン内部に張りめぐらせたラインに冷却水を流すことでエンジンを冷やすシステム。空冷とは、そういうシステムは設けず、単純に空気の力でエンジンを冷やすシステムです。
両者の違いは一目瞭然で、水冷エンジン本体の表面は平坦に作られ、空冷は、冷却フィンと呼ばれる突起が設けられているため凸凹の表面となっています。
単純にスポーツ性能や環境性能を求めるのであれば、水冷に勝るものはありません。水冷エンジンが現在の大型バイクの大半を占めている理由はこれにあります。
酷暑極まる現代の夏は、もはや必須の機構です。
しかし一方、バイクには空冷エンジンも残っています。
その理由は、原付のように小さくローパワーのエンジンであれば発生する熱に耐えられるという点。そして、構造が単純になるため整備性を確保でき、バイクの重量増も抑えることができるという点があげられます。
さらに空冷エンジンは水冷にはない魅力を持っています。それが見た目の美しさと音です。
冷却フィンなどが織りなす造形美は空冷エンジンならではのポイント。そして水に包まれていない乾いた作動音・排気音が出るのも空冷エンジンの良さです。
エンジンのオーバーヒートの心配が少なくて済む冬は、そんな空冷エンジン車の魅力を最大限に引き出せる季節と言えるでしょう。
なにより足元が温まりそうという安心感もあるのではないでしょうか。
スーパーバイクらしいスポーツ性能を追求するドゥカティは、従来からのV型(L型)2気筒エンジンを守りながら、現在は水冷エンジンが軸になっています。
しかし一昔前は、ドゥカティ=空冷Vツインというのがセオリーでした。
そんな由緒正しき空冷Vツインを採用している現在唯一のモデルが「スクランブラー」シリーズです。
特に、最高出力53.6kW(73PS)/8250rpm・最大トルク65.2Nm(6.7kgm)/7000rpmを発生する803cc空冷V型2気筒エンジンを搭載した主軸に据えたシリーズは、様々なバリエーションモデルが展開されています。
このシリーズに共通するのは、まずは車体の軽さです。176kgという重量は800ccクラスではかなり軽量な部類といえ、飛ぶような加減速とひらひらと舞うようなコーナリングを体感することができます。
ドゥカティのエンジンは、バルブの開閉をスプリングではなくカムのみで行う「デスモドロミック」という機構を採用しています。
そのメカニカルな音と爆発感をダイレクトに感じ取れるのも、スクランブラーの大きな魅力となっています。
ドゥカティのVツインエンジンは前傾しているため、後部の気筒の熱がももの裏を直撃するというウイークポイントがありますが、冬であればその特性が味方になるかもしれません。
なによりスクランブラーの元気の良さが、スポーツするように身体を温めてくれるでしょう。
ライダーを温めてくれるのはエンジンの熱だけではない
空冷エンジン車の大型バイクといえばハーレーダビッドソンを忘れてはなりません。
現在のハーレーは、一部のモデルは水冷エンジンの採用が始まっているものの、トラディショナルなモデルでは空冷が主導権を握っています。
もちろんそれはメーカーもファンも認めるところであり、ハーレーの価値と言えるでしょう。
トラディショナルかつ見た目も映えて乗りやすさも兼ね備えているモデルを上げるなら「ローライダーS」は間違いない一台でしょう。
ロー&ロングスタイルの車体はアメリカンクルーザーを体現したようなもので、ゆったりとクルーズするにはぴったりではないでしょうか。
最高出力78kW(106PS)/5020RPM・最大トルク168Nm(11.0kgm)を発生するエンジンは、1923ccの空冷OHVという仕様。
アメリカンらしい伝統を守るエンジンは、空冷フィンといった造形まで作り込まれています。
なお、トランスミッションは6速MTです。高速度域でも回転数を抑えることができるため、ハーレーならではのエンジンの鼓動を感じ取れるでしょう。
2000ccクラスのエンジンが放つ熱以外にも、そのビートがライダーのハートをアツくしてくれるでしょう。
トラディショナルさでいえば、こちらも負けてはいません。
英国にルーツを持つインドのクラシカルブランドであるロイヤルエンフィールドもまた、空冷エンジンを伝統的に使用するメーカーです。
中でもユニークな一台は「スーパーメテオ650」。ロー&ロングスタイルのクルーザーです。
クラシカルなクルーザーといえば、前項であげたハーレーが第一に想像できますが、スーパーメテオ650も60年以上の歴史を受け継いできた伝統的なクルーザーなのです。
エンジンは、最高出力34.6kW(47PS)/7250RPM・最大トルク52.3Nm(5.3kgm)/5650RPMを発生する648cc空冷直列2気筒SOHCを採用しています。
スクランブラーやローライダーSとは違った形の2気筒エンジンですが、まるでキノコのようなシリンダーブロックとフィンの造形が映えるモデルです。
強馬力エンジンでは決してありませんが、逆に600ccクラスの親しみやすさや優しさ、そしてスーパーメテオのレトロさが、心にぬくもりをあたえてくれるのではないでしょうか。
※ ※ ※
エンジンを水で包み込まない空冷エンジンは、真の“素”のエンジンではないでしょうか。
むき身そのままの手触りや質感、造形がライダーを魅了し続けています。
だからこそ空冷エンジンは環境規制に厳しい現代もエンジニアの努力で生き残っているのではないでしょうか。
熱いハートを込めてこそ可能な仕事でしょう。
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みんなのコメント
逆に夏場は地獄だが...
気温が氷点下にバイクに乗るとこれ↑を感じますね。
なんか調子が良くて、妙にパワフルなんて印象を受けます。
最大の利点は、寒くてバイクが少ないことですね