バブル期ならではの実車、バブル期ならではのキット
フェラーリなどに匹敵、むしろ凌駕するスーパースポーツとして、国産車では初めてと言ってよいほどのインパクトを持って今から30年以上前に登場した、ホンダの初代NSX。世界初のオールアルミ製ボディにVTECエンジンを搭載したミッドシップスポーツである同車には、今も熱狂的なファンが多い。
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NSXのプラモデルとしてはタミヤ製1/24スケールがよく知られているところだが、さらにフジミ製の同スケールのものも存在する。フジミ製のNSXは固定式ヘッドライトを具えた後期型で、初期型を再現したタミヤ製キットとはうまい具合に棲み分けがなされているが、もうひとつ、初期型のNSXを再現したキットがあった。メーカーがなくなってしまったため再販もされていない名作――ロッソの1/12スケールがそれである。
ここでお目にかけている作品は、このロッソ製1/12スケールのNSXをほぼそのままに仕上げたものだ。自動車模型専門誌「モデルカーズ」の290号(2020年)におけるNSX特集のために制作された作品だが、ここでは以下、作者・坂中氏による解説(同誌に掲載されたもの)をお読みいただこう。
「実車NSXがデビューした(正式に発売となった)のは1990年。まさにバブル景気絶頂期であり、NSXのデビューもその恩恵による部分が大きいが、ちょうどその頃、模型メーカーからは、今となっては考えられない程の魅力的なアイテムが色々と発売されていた。
好景気を反映した大スケール・キットの発売ラッシュ
中でもラージスケール=1/12スケールのカーモデル攻勢には顕著なものがあり、フジミからR32スカイライン、タミヤからはF1マシーンのフェラーリ641/2やマクラーレンMP4/6、ハセガワからFD3SアンフィニRX-7、Z32フェアレディZがリリースされ、購入が追い付かず(当然ながらお値段もラージであった)嬉しい悲鳴をあげたものである。ちなみに、これらのキットの持つ特徴を集約しさらに高次元へと昇華させたような、マルチマテリアル1/12キットであるタミヤ製ケーターハム・スーパーセブンの登場は、もう少し後の1994年のことであった。
話を本題に戻すと、そんな状況の中、1991年11月に、新進気鋭のメーカーROSSO(ロッソ)から1/12スケールのNSXは発売された。前述の傑作1/12キットの中でも見劣りしない高度な内容だったのは、その開発スタッフがそれ以前に、某メーカーにて超リアルなカーモデルや大スケールキットを手掛けていたからだと、聞いた覚えがある。その後、ロッソからは更に大きな1/8スケール・キット(フェラーリ643)が発売され、そこに費やされた過大な投資が悲しい結末を生むことになるが、これについては別の機会に譲ろう。(中編に続く)」
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