ツーリスト・トロフィーにちなんだモデル名
アウディは、アイリッシュ海に浮かぶマン島恒例のバイクレース、マン・ツーリスト・トロフィーにちなんでこの名を与えた。コンパクトなクーペ、TTは初代の誕生から25年を迎えた。
【画像】失うのが心底惜しい アウディTT RS アイコニック 競合クラスのスポーツモデルと比較 全140枚
タイヤが4本の自動車だから、世界有数のバイクレースへ出場した過去はない。だが現在のアウディのもとになった1社、NSUは、合併前にレーシングバイクを製造していた。250ccのマシンが、1954年に1位から4位までを独占する勝利を収めている。
アウディは、自社の誇るべき歴史をオマージュしたのだ。2+2のクーペで。正確には、ツーリスト・トロフィーと直接的な関係はないかもしれない。それでも、モデルの終了が決まった今、英国人として小さな島へ自ずと足が向かっても不思議ではないだろう。
ただし、今回目指したのはグレートブリテン島の南に浮かぶワイト島。風光明媚なこの島では、自転車のロードレースが計画されているという。
筆者は、マン島でツーリスト・トロフィーを観戦したことがある。今まで目にしたなかで、最もエキサイティングなモータースポーツ・イベントの1つに数えていい。
スタートラインからほど近いダグラスの町に、ブレイヒルと呼ばれる区間がある。住宅地へ面した道路には、信号機や街路灯が立ち並んでいる。48km/hの速度制限がある、狭い一般道だ。
そこを、オートバイに跨ったライダーが290km/h前後で疾走する。観客との距離は3m程しかない。見る方も命がけ。街路灯には、気休め程度の緩衝材しか巻かれていない。
100台限定のアイコニック・エディション
この公道レースは、1907年から変わらないスタイルで開催されているが、当初は現在ほどバイクが速くなかった。こんなイベントが、新たに承認されることは恐らくないだろう。実際、ライダーの死亡率は高い。
ワイト島で計画されているロードレースは、もっと穏やか。島の海岸線を含めた約19.6kmのコースが設定されている。時速50km/h程度で走ると、約25分で1周できる。
ちなみに、約60.6kmの市街地コースを走るツーリスト・トロフィーの平均速度は、約209km/h。その速度でワイト島のコースを走ったら、5分38秒で周回できる。
今回、小さな島へ持ち込んだアウディTTは高性能なRS。アイコニック・エディションという、モデルの最後を飾る世界限定100台の特別仕様だ。英国には11台が割り当てられているが、既に完売したという。
1998年にTTが発売された当初、コンセプトカーがそのまま量産されたかのように見えた。現行型は3代目となるが、当時ほどのインパクトはないかもしれない。
5気筒ターボのTT RSでも、最大のライバル、ポルシェ718ケイマンの動的能力にまでは迫れていない。だが、筆者にとってはさほど大きな事実ではない。むしろ、11種類のSUVを擁するアウディが、1台もスポーツカーを作らなくなるという事実が悲しい。
TT RSのステアリングホイールを握れば、運転が楽しいと心から思える。アイコニック・エディションが8万7650ポンド(約1411万円)もするとはいえ。
個性的なビートを打つ5気筒エンジン
ドライビングポジションは低く、不自然なオフセットもない。シートは身体にフィットし、子供なら座れるであろう小さなリアシートと、大きなリアハッチが付いた荷室を備える。実用性も犠牲になっていない。
スクエアなフロントガラス越しの視界は良好で、インテリアデザインは美しい。インフォテインメント・システム用にロータリーダイヤルが備わり、エアコンの操作パネルには実際に押せるハードボタンが並ぶ。送風口のデザインも美しい。
エンジンは見事だ。筆者は5気筒ユニットのファンだといっていい。機械的には、さほどメリットはないだろう。V6ほど小さくないし、直6ほど滑らかでもない。でも、個性的なビートを打つサウンドが心を奪う。
トランスミッションは、キレの良い7速デュアルクラッチ・オートマティック。クワトロと呼ばれる四輪駆動で、400psの最高出力を確実に受け止める。素晴らしい組み合わせだと思う。
日常的にスポーティな走りを求めるドライバーにとって、TTは魅力的な選択肢だ。TT RSの場合、乗り心地は少々硬すぎるといえるが、ボディロールは最小限で、ステアリングは正確で機敏。重ね重ね、失うことが惜しい。
予定されるバッテリーEVのTTに期待
今日は海風が強い。海岸線に立ち並ぶ街路樹がしなっている。ロードレースの想定コースに沿って内陸部へ進むと、道幅が狭くなりカーブが多くなった。人家の間を縫うような区間も多い。このコース設定に、実施上の課題があるようだ。
当初、2021年に初開催の予定だったロードレースは、諸事情で延期。2022年も、書類に不備があったという理由で地方議会が延期を決めた。2023年も難しいだろう。主催者側に確認したが、開催に向けて活動中、というコメントに留まった。
ワイト島の住民の意見も別れているらしい。ルート沿いのガソリンスタンドのスタッフは、開催に賛成している。だが、ある村の住人が強く反対しているらしい。数100万ポンド(数10億円)という、経済効果が見込めても。
ワイト島の東では、サンダウン・スプリントと呼ばれるモータースポーツ・イベントが開かれている。海岸線に沿った公道を区切った短いルートで、多くのマシンがスピードトライアルに挑むという。筆者は観戦したことはないが、かなり面白そうだ。
ワイト島で、自転車のロードレースが数年以内に開かれる確率は高くないだろう。だが、アウディがバッテリーEVのTTを発売する可能性は高いようだ。
真新しいスポーツカーで、再びこの島を訪れたいと思う。歴史ある離島のモータースポーツ・イベントへ、エキサイティングなアウディで駆けつけるなんて、素敵でしかない。
アウディTT RS アイコニック・エディション(欧州仕様)のスペック
英国価格:8万7650ポンド(約1411万円)
全長:4180mm
全幅:1830mm
全高:1380mm
最高速度:280km/h
0-100km/h加速:3.7秒
燃費:11.0km/L
CO2排出量:207g/km
車両重量:1450kg
パワートレイン:直列5気筒2480ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:400ps/5850-7000rpm
最大トルク:48.8kg-m/2250-5850rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
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買わない奴ほど絶版すると聞くとこういう事を言い出すよね。