ひとりの学生が電気自動車のカスタマイズに果敢に挑んだ!
東京オートサロンといえば、各自動車メーカーやチューニングショップが手塩にかけて作り上げたカスタムカーが所狭しと並び、その華やかさに圧倒されるものだが、未来の自動車産業の一端を担う学生たちの出展も魅力的だ。
とにかくこの形に惚れたんです! 日本中から124台もの日産アリアが集結した「日産アリア全国オーナーズミーティング2024」に潜入した
今回注目したのは、関東工業自動車大学校のブースに飾られた日産アリア。ベースのアリアは、SUVタイプの電気自動車(EV)ではあるが、泥臭さとは無縁な洗練された印象のイマドキのSUV。しかし、展示されたアリアはその真逆をいくもの。
制作者は車体整備課3年の大野祥聖さん。通常、こうした自動車大学校の出展車両は、クラスや数名単位でコンセプトから予算管理、設計、製造までを行うものなのだが、このアリアはなんと大野さんがほぼひとりで製作したというのです。
もともと日産リーフのレーシングカー(LEAF NISMO RC_02)を見て、EVでもここまでカスタマイズできるものなのかと衝撃を受けた大野さんは、いつか自分でもEVのカスタムカーを作ってみたいという願望を抱いていたそう。
そこに関東工業自動車大学校へ、日産自動車からアリアの開発用テスト車両を寄贈する話が舞い込む。ボディのスタイリングとしてはクロカンタイプが好きだという大野さんにしてみれば、EVかつSUVというまたとない好材料が目の前に転がり込んできたわけで、この好機を逃すわけにはいきません。
学校を介して日産側へカスタムするためにボディの切断を含むカスタマイズを施してもよいか確認をしたところ、これを日産側が快諾。ここに電気自動車のアリアをカスタマイズする計画がスタートしたわけです。
泥臭さを感じられるクロカンタイプのアリアを作ろうと構想したはいいものの、アリアに適したオーバーフェンダーは無いし、専用のロールバーだって存在しない。となれば「無いものは作ってしまえ」の精神で、鉄パイプ1本でどこまでハードコアなクロカン風アリアが作れるのかチャレンジしたくなってしまった大野さん。若さと勢いって大事です。
スタイリッシュなアリアは複雑な面構成を持っており、キャラクターラインも尊重しながらそのボディに沿うようにパイプを曲げていくのは、なかなか難儀したそうです。しかも、ひとりで作業しているものだから、カーブに沿ってパイプの曲げ加工を行っていても、若干のズレを修正しようにも付けたり外したりも含めて全部己に頼るのみ。俯瞰してチェックしようにも、他に作業スタッフがいないのだからさあ大変。
とはいえ、大野さん自身が加工にあたって行き詰ってしまう場面や、そもそもの作業方法で苦戦する場面では、学校から紹介してもらったショップ「カスタムハウス」にアドバイスをもらいに行くなど、先人の知恵を借りたそう。
車高は今後の配線関係の作業にゆとりを持たせるため、メンバーを下ろして角度をつけたうえでスプリングで100mmのアップを敢行。さらに、タイヤ外径を変更し50mmリフトさせたことで、合計約150mmのリフトアップを施しています。
車高を上げパイプフェンダーを組んだこのアリアに見合うホイールとして、納期も考えながらワークのマイスターL1を選んだものの、果たしてイン側のクリアランスは確保できているのかなど、学生にはハードルの高い未知の領域に挑んでおり、その調整はオートサロン前日までかかったそうです。
失敗したら大惨事! 床下バッテリーのすぐ脇を溶接する限界作業
そして「未知の領域」といえば、このサイドステップ部分。強度を考えてフレームに直接締結しているのですが、アリアはEVなだけに床下は一面バッテリーで覆われています。つまり、締結ポイントのすぐ脇にバッテリーが存在し、溶接作業中の火花でバッテリーを壊してしまう危険性をはらんでの作業となります。
しかし、この領域の作業は誰もやったことがないらしく、やってみるまでどうなるかわからないイチかバチかの作業になったといいます。結果からすれば、なんとかバッテリーを損傷せずに製作できたわけなんですが、失敗を恐れぬチャレンジ精神でなかなか危ない橋を渡っています。
今回展示されたこのアリア、リヤまわりにロールケージが組まれ、フロア下も入念に手が加えられていますし、フロントもグリルガードが張り巡らされていますが、なんだか中途半端な気がしないでもありません。
それもそのはず。大野さんによれば、今回の展示はまだ初期状態なのだといいます。大野さんは卒業まであと2年程度在学期間を残しており、これを第一形態として、以後卒業までに完成させていくのだそうです。いやはや気の遠くなるような計画ですが、若いうちの苦労は何とやらで、通常の授業もありながら個人活動でここまで作る行動力、若さって素晴らしいです。
それに、溶接や曲げ技術を鍛錬していきながら、まだまだカスタマイズの情報が少ないEV車両に果敢に挑んでいく姿勢、若くとも頼もしい限りです。2026年の東京オートサロンにどのような形で戻ってくるのか、いまから楽しみで仕方がありません。
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みんなのコメント
逆にリフトアップが多いトライトンをローダウンの仕様も格好良いですね