■市街地で開催される「都市型」モータースポーツ
2014年に始まったフォーミュラEは、まったく新しい発想に基づいたフォーミュラカーレース・シリーズといえます。
フォーミュラカーなのでタイヤは基本的に4本がむき出しで、乗車できるのはドライバーがひとりだけ。しかもコクピットに屋根がないオープンタイプのマシンが基本となります。
ただし、F1に代表される従来のフォーミュラカーと決定的に異なっているのは、フォーミュラEのマシンには内燃機関のエンジンが搭載されておらず、バッテリーに蓄えた電力でモーターを駆動して走行する点にあります。そう、フォーミュラEは電気自動車のレース、それもフォーミュラ・タイプとしては世界初の電気自動車レースなのです。
しかもフォーミュラEは、設立当初から世界中を転戦する国際的なレースとして開催されてきたのも重要なポイントです。
また、電気自動車レースのフォーミュラEは、エンジンを積んだ既存のフォーミュラカーと違ってほとんど騒音を立てないため、市街地での開催が容易という点も従来からある自動車レースとは大きく異なっています。
ちなみに、先日閉幕したシーズン7(2020-2021年)から、フォーミュラEはF1やWRCと並ぶ世界選手権に昇格。その開催地はディルイーヤ(サウジアラビア)、ローマ(イタリア)、バレンシア(スペイン)、モンテカルロ(モナコ)、プエブラ(メキシコ)、ニューヨーク(アメリカ)、ロンドン(イギリス)、ベルリン(ドイツ)というもので、世界の名だたる大都市が数多く含まれています。
これまでレースといえば、山間部などに作られたサーキットを舞台とすることが多く、大都市に暮らす人たちがレース観戦するにはクルマを何時間も運転することが珍しくありませんでした。
ところがフォーミュラEは、ある意味で都市型モータースポーツなので、それこそ地下鉄に乗り継いで会場にやってこられるほど、アクセス性に優れています。ちなみに私は香港で開催されたレースを取材したことがありますが、そのときはホテルからサーキットまで徒歩圏内だったことを思い出します。
また、都市部で開催されるレースなのでコース幅が比較的狭く、追い越し(オーバーテイク)をしかけた際にマシン同士が接触することが少なくないのもフォーミュラEの特色といえます。
それどころか、狭いコースで無理やりオーバーテイクするために、接触をいとわない激しいレースが繰り広げられるといったほうが現実の姿に近いかもしれません。
しかも、マシンのコースアウトに備えて待避スペース(エスケープゾーン)を広くとった常設のサーキットと異なり、フォーミュラEの市街地サーキットはコースと観客席がほとんど金網1枚だけで仕切られているような近さなので、迫力も満点。私はとてもエキサイティングなモータースポーツだと感じました。
■じつは前途多難!? アウディやBMWなど有名メーカーが撤退
マシンに関する規則やその進化もフォーミュラEの見どころのひとつです。
F1と違って、フォーミュラEは参戦コストを削減するため、主催者が選んだ部品を全チームが使わなければいけないワンメイク制が幅広く採用されています。
現在ではその対象が徐々に狭まってきていますが、それでもマシンのモノコック(車両の基本骨格)や外観は全車共通。電気自動車の心臓といっても過言ではないバッテリーも全車が同じメーカー、同じ仕様のものを使うことが義務づけられています。
ちなみに、2014年に始まった当初は、ひとつのバッテリーで1レースを走りきることができず、途中で充電済みのバッテリーを積んだマシンにドライバーが乗り換えるという、他のレースでは見られない光景が繰り広げられたこともありますが、2018-2019年のシーズン5から導入された第2世代のマシンは、ひとつのバッテリーで1レースを走り切れるまで性能が向上しました。
タイヤは全車がミシュランを履いています。ただし、コンディションにかかわらず、1種類のタイヤしか用意されていないというのも興味深い点です。
いっぽうでモーター、インバーター、ギアボックス、リアサスペンションなどは2015-2016年のシーズン2から各チームが独自に開発していいことになっています。
※ ※ ※
フォーミュラEには数多くの自動車メーカーが参戦しているのも特徴のひとつで、2017年-2018年のシーズン4にはジャガー、ルノー(シーズン5から日産にバトンタッチ)、BMW、アウディ、DS、マヒンドラ(インド)など合計9つのメーカーが参戦。
2019-2020年のシーズン6はここにメルセデス・ベンツとポルシェが加わる活況を呈しましたが、シーズン7を最後にアウディとBMWが撤退。メルセデス・ベンツもこれに続くと見られています。
その理由については明らかになっていませんが、各メーカーが投じるコストに対して、ブランド知名度の向上に代表されるシリーズ参戦のメリットが小さいことが原因だと推測されます。
また、「フォーミュラEはエンジン音がしないのでつまらない」という声もよく耳にしますが、それは既存のレースに慣れ親しんだファンの意見であって、電気自動車に憧れを抱く、従来のレースファンとは異なる新しい層には、むしろこれが新鮮に映る可能性もあるでしょう。
いずれにしても、参戦コストを低く抑えながら、エンターテイメント性の高いイベントを実現することが、今後のフォーミュラEにもっとも必要なことだと私は考えています。
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