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ドイツ在住の筆者が感じた、BMWに買収されたALPINAについて思うこと

掲載 25
ドイツ在住の筆者が感じた、BMWに買収されたALPINAについて思うこと

運営元:外車王SOKEN
著者 :高岡 ケン

ドイツ本国でVWが開始したサブスクに見る「クルマの使い方の未来像」とは?

去る2022年3月、ドイツの三大自動車メーカーで知られるBMWがチューニングメーカーのALPINAを買収した。



これには「ALPINAのロゴが変わるのか?」という話題をはじめ、ドイツ国内でも大きな反響を呼んだ。



■BMW ALPINAとは?

ALPINAとは、BMWをベースに、エンジンの馬力アップや足回りのカスタムなどを手掛け、パフォーマンスの向上を目的としたチューニングメーカーである。



いわばメルセデス・ベンツでいうところのAMGだ。



しかし、そもそもALPINAとはどのようなクルマか?なぜBMWのチューニングを行っているのか?そしてなぜBMWで販売されているのか?



まだまだ世に知られていない謎だらけのALPINAについて、ドイツ現地から解説していく。



■BMW ALPINAの歴史について

BMW ALPINAとは1965年に設立されたドイツの自動車メーカーである。



設立当初からBMWのチューニングとモータースポーツに積極的に取り組んでおり、1983年にはBMWをベースとした自動車メーカーとして登録された。



BMWをベースとしたハイパフォーマンスモデルは富裕層向けに販売され、その高級感漂うインテリアと洗練された作りで徐々に注目を集めていった。



2003年には売上高6,000万ユーロ(約90億円)を達成し、年間販売台数は約1,000台へと成長を遂げた。



その後も順調に売り上げを伸ばし、2020年には従業員300名以上、年間販売台数は2,000台、売上高は1億ユーロ(約150億円)超えとなる巨大企業となった。



主なマーケットは、アメリカ、中国、日本となっており、ドイツ市場では年間600台、アメリカと日本ではそれぞれ年間400台のALPINAが販売されている。



2022年にはBMWがALPINAの商標権を獲得し、BMWグループとして新たなスタートを切ったことは記憶に新しい。



■BMW MシリーズとBMW ALPINAの違いについて

ここで疑問視されることがある。



それは「BMWにはMシリーズがあるじゃないか」ということだ。



たしかにその通りだ。BMWには多くの自動車メーカーと同様に社内チューナーとしてBMW Mが存在する。



しかし、この2つのモデルには決定的に異なる部分がある。



それは「スポーツ走行を重視した走りか、快適性を重視した走りか」という点だ。



Mシリーズといえば、元々モータースポーツなどを手掛けていたBMWの子会社である。



すなわちレーシングカーの遺伝子を継承し、モータースポーツのような「走り」に特化したモデルとなっている。



通常のBMWの走りでは飽き足らず、より刺激的かつダイナミックな走りをしたい人にはうってつけのモデルだ。



対してALPINAは、サーキット志向ではなく、一般道路や高速道路での優れたパフォーマンスに重点が置かれている。



そのため、エンジンのパワーアップだけに留まらず、大幅にサイズアップされたタイヤで走行中の振動を和らげたり、座る人がソフトにフィットするように造られたシート……などなど。



どちらかというと、走行中の快適性を求めたチューニングが随所に施されている。



同じBMWというメーカーのバッチを背負いながら、得意とするフィールドが異なるのだ。陸の王者と称されるポルシェ911ターボ、そしてサーキットでこそ本領を発揮するポルシェ911GT3のように。



さらに、外観には特に大きな違いがある。



BMW Mは大きなエアロや大迫力のリアスポイラー、インチアップされた厳ついホイールが特徴的だ。



対してALPINAは、一見するとALPINAとすぐに判断するのはオーナーかよほどのクルマ好きでなければ難しい。さらには「ALPINA仕様」と呼ばれるエンブレムチューンのクルマも存在するから話がややこしくなる。



それはさておき、さりげなくもBMWのそれとはまったく異なる存在感を誇示していることも事実だ。それに気づくかどうかは人それぞれ。あえて気づきにくい仕立てであることを好むオーナーも少なからずいるに違いない。



事実「AlPINAの顧客は、優雅さ、洗練さ、豪華さの全てを求めている。BMWに関連したブランドだが、ALPINAの顧客にとってBMWとALPINAはまったく別物だ」と、BMWのマネージングディレクターは結論付けている。



実際にアメリカにおけるBMW Mの購入者の平均収入が22万ユーロ(3,400万円)であるのに対し、ALPINAの購入者の平均収入は44万ユーロ(6,500万円)に達することがBMWの経営戦略チームの調査で示されている。この数字だけで判断するならば、ALPINAを好むユーザーのほうが所得が高いことが分かる。



■最速のリムジンと呼ばれるALPINA B7

現在、ALPINAが販売を行っているモデルは全10種類となっており、3シリーズをベースとB3から8シリーズをベースとした大型のB8、またXシリーズをベースとしたSUVモデルなど、幅広いラインナップを展開している。



なかでも、最高峰のALPINAとして絶大な人気を誇っているのが7シリーズをベースにチューニングされた「B7」だ。



4.4リッターV8ビターボエンジンが搭載されており、最高出力はなんと608馬力。



0から100km/hまでわずか3.6秒で加速し、最高速度330km/hにも達する。



この驚異的なスペックゆえに、現在では世界最速のリムジンと1つとなっている。



印象的なBMWダブルキドニーグリルとフロントフェンダーにレタリングされたALPINAのロゴが、エレガンスでダイナミックな存在感を印象付ける。



インテリアには、最高級のLAVALINAレザーが使用されており、ALPINAデザインによるLEDフルカラーのデジタルディスプレイがモダンなデザインと圧倒的な高級感を演出する。



新車販売価格は15万ユーロ(2395万円)~。



このクルマのステアリングを握ることが許されるのは、選ばれしごく一部の幸運なユーザーのみだ。



BMWグループの一員となり、新たなスタートを切ったALPINAだが、今後どのように進化していくのか。



プラグインハイブリッドや電気自動車も開発されていくのか。



今後のALPINAにも注目していきたい。



 [撮影・ライター/高岡ケン]

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みんなのコメント

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  • メルセデスAMGと比較するのはMでしょ。アルピナはAMGみたいなえげつばさはないよ。
  • > いわばメルセデス・ベンツでいうところのAMGだ。
    そうなんですかね?笑

    > ALPINAは、サーキット志向ではなく
    元々は、サーキットというか、レース屋だったと思いますが、そのあたりの背景と今のラグジュアリー路線に行った経緯とか書いて欲しい。

    > 大幅にサイズアップされたタイヤで走行中の振動を和らげたり
    大幅にはアップ?
    B3なら、ボディは3シリ、幅はそこまで?
    Mじゃないんだから笑
    インチアップとしても、偏平が低く(F32 B4なら、245/30R20, 265/30R20)、タイヤだけなら、和らぐものではなく、逆に悪くなると思いますが…笑
    乗り心地が良くなるのは、サスペンションあたりの味付けと思いますが…F型ならショックはBMW、スプリングを専用のアイバッハ製です。で、いろんなモデルの部品を使ってます。B4とかF20の部品使ってたりしてますし。

    アルピナのこと書くなら、ちゃんと書いて欲しいです。

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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