この記事をまとめると
■オーテックがセレナをスポーツテイストに味付けしたモデルを追加
日産とBEAMSが異色のコラボ! ヴィンテージデニムのようなシートがオシャレ度MAXな「ビームス エディション」を人気6車種に設定!
■走行モードや足まわりを変更しキレのいい走りを実現している
■遮音性の高いガラスを採用するなど車内空間も上質に仕立てた
オーテックがセレナを味変
日産は主力ミニバンのセレナに走りの質を向上させたAUTECH SPORTS SPECを追加した。AUTECHといえば本社を構える湘南の海をモチーフにしているため、深みのある青いカラーを基調としたブランド展開が特徴だ。
エクステリアデザインでは海をメインに表現したデザインが採用されている。たとえば、グリルに装飾されたクロームドットデザインは海面のきらめきを表現し、フロントリップスポイラーのメタル調フィニッシュパーツは波打ち際の白波をイメージしている。また、ホイールには水中に差し込む光の輝きが表現され、クルマ全体を青とクロームの組み合わせによって海のエレガントさを象徴しているのが特徴だ。
インテリアには上質な素材を取り入れ、レザーやステッチ、シートの立体的デザインは海や空をイメージさせ躍動感あるデザインに仕立てている。こういったAUTECHならではの、特別なデザインは、多種多様な特装車を長年製造し摘み重ね上げてきたクラフトマンシップを注入しているからこそ成し得ている。
では、今回追加されたセレナAUTECH SPORTS SPECの走りの特徴を紹介しよう。
まずは加速の味付けに大きくかかわるドライブモードを最適化したことに注目したい。ベースグレードと同様に、ドライブモードはエコ/ノーマル/スポーツと3種類あり、エコモードのセッティングに関して変更はない。
ノーマルモードでは、アクセルを踏み込む量(とくに初期~中間まで)に対するエンジンパワー出力がベースグレードよりも高められ、ベースグレードのスポーツモードに限りなく近いのが今回のノーマルモードだ。実際に走らせてみると、このノーマルモードがとても扱いやすい。
体感では10~40%ほどのアクセル操作に対してトルクが強く出るよう調整されており、街なかやバイパスなどでの日常使いでの少ないペダル操作でも十分に力強いスポーティな加速が可能になっている。エンジンレスポンスとトルクの立ち上がりの見事な調和は、上質で大人スポーティなバランスがとてもよかった。
スポーツモードは、ノーマルモードよりもレスポンスもパワー特性も両方高められており、私の想像するミニバンの枠を超えるアクセルレスポンスをもち合わせている。ノーマルモード同様に初期から中間までの特性がとくに変わっているのだが、ミリ単位のアクセル操作でエンジンパワーをコントロールできる仕様になっていて、いままでのミニバンにはないリニアさが与えられていた。
正直、ミニバンにここまでのスポーティな味付けがどれだけの人にハマるのかは未知数だが、視野を広げればこれくらい面白い味付けに振ったドライブモードがあるほうが、ひとりでドライブするときの気分転換になっていいのかもしれない。私の印象としては、ノーマルモードこそ長距離でもワインディングでも街なかでも万能に乗りこなせるAUTECH SPORTS SPECに相応しい優秀な味付けだと感じた。
走りだけでなく車内も空間も上質
次にシャシーのアップデートについて紹介しよう。
まず、足まわり面ではベースモデルと比べて、スプリングレートを強化しフロントで15%、リヤを20%高めている。スプリングを硬くするとロールやピッチングが抑えれるようになる半面、乗り心地も堅くなってしまうため、ショックアブソーバーの特性も見直し、乗り心地を損ねずに腰高なワンボックスカーにありがちな大きなロールをしっかり抑えているのが特徴だ。
さらに、デザイン性と走行性能を高めるためにホイールを17インチ化し、タイヤはグリップ性能、ウエット性能、転がり抵抗などのバランスが非常に高いスポーツタイヤである、ミシュラン・パイロットスポーツ5を採用したこともポイントだ。タイヤの扁平率が下がったことでタイヤ自体のたわみやヨレが少なくなるため遅れのないハンドリングを実現することが狙いとなっている。
実際に走らせたなかで印象的だったのは、ロールの少なさとステアリング操作に対する正確なハンドリング性能だ。タイトコーナーなどでの大きな荷重がかかるシーンや、高速域での素早いステアリング操作でも不安定なロール感や動きの遅れがなく、とても自然で常に安心感をもって走ることができた。
実際のところ、「パイロットスポーツ5の非常に高い性能に足まわりが負けてしまうのでは?」と正直心配していたが、そんな心配はすぐに消えてしまうハンドリング性能が実現していた。ただし、路面のつなぎ目や段差などの突き上げ感だけは若干角を感じたが、これくらいなら許容範囲の内だろう。
足まわりを強化するとより高い剛性が必要になる。そのために車体補剛を目的とした剛性アップパーツとしてフロントとリヤにそれぞれクロスバーを装備した。さらに、最終的な車体の微振動を抑制させるためにYAMAHA製パフォーマンスダンパーをリヤ側のみに搭載している。YAMAHAが用意する何十種類ものパフォーマンスダンパーを開発チームが厳選していき、最終的に導き出したのがリヤに専用チューニングした1本のパフォーマンスダンパーを搭載することだった。
これらの補強パーツによりステアリング操作に対する応答性が高められ、上質なハンドリングが生まれているのだ。
走りだけではなく、車内空間の上質さも追及しているAUTECH SPORTS SPECは、上質なインテリアデザインはAUTECHグレードそのままに、静粛性を向上させるためにフロントサイドガラスに遮音ガラス(LUXIONで導入)を、このモデルでも採用している。
走行中の振動や静粛性が向上しており、とくにガラスの遮音性が高くなっていることで車内の会話や音楽を楽しめる快適な車内空間が出来上がっていた。ガラスを軽くコンコンと叩くだけで、打音や音の収束具合がフロントとリヤで大きく違うことに誰でも気付くことができるほどに音のとおり方が変わってくる。
フロントタイヤから発生する音や、ミラーまわりから発生する風切り音が圧倒的に抑えられているのはこの遮音ガラスの恩恵だ。将来的にリヤサイドガラスにも遮音ガラスの設定が出来ればなお上質な室内空間が出来上がるので、ぜひ検討してもらいたいものだ。
セレナAUTECH SPORTS SPECは従来のエクステリアやインテリアデザインをスポーティに仕上げるだけでなく、人や荷物をたくさん載せるミニバンにも走りの上質さを求める人たちに対する日産の出したひとつの答えだろう。
その表れとして、インテリアに装着されたエンブレムには、TUNDE by NMC(NISSAN MOTORSPORTS & CUSTOMIZING)が掲げられている。NISMOとAUTECHの両ブランドをもつNMCだからこそたどり着いたコンフォート性とスポーツ性さの絶妙なバランスを提供するのがセレナAUTECH SPORTS SPECなのだ。
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