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こんなボルボは今までなかった EX30 ツインモーターへ試乗 容姿と走りは優秀でも・・惜しい不備

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こんなボルボは今までなかった EX30 ツインモーターへ試乗 容姿と走りは優秀でも・・惜しい不備

敏捷性や一体感を味わえるバッテリーEV

新しいボルボEX30は、運転が楽しい。ツインモーター版は驚くほどパワフルだから、0-100km/h加速をたった3.6秒でこなしてしまう。シングルモーターの後輪駆動版は軽量で、もっと楽しい。

【画像】容姿と走りは優秀でも・・惜しい不備 ボルボEX30 競合クラスのBEV XC40も 全144枚

コンパクト・クロスオーバーというくくりを抜きにして、EX30に並ぶ敏捷性や一体感を味わえるバッテリーEVは、極めて限られる。ところが、強くオススメできるかと聞かれると、言葉に詰まってしまう・・。

まずは、EX30の概要を確認していこう。プラットフォームは、ボルボを傘下に収めるジーリー・ホールディングスのSEA。スマート#1も基礎骨格にするもので、設計の洗練度は高い。

駆動用バッテリーはフロア下に並べられ、サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式で、リアがマルチリンク式。ボルボによれば、同社の歴代で最小サイズのSUVだといい、全長は4233mm、全幅が1836mm、全高が1549mmとなる。

フォルクスワーゲンTロックとほぼ同じ大きさだが、EV専用プラットフォームのお陰で車内は広々。1ランク上のゆとりがある。

駆動用バッテリーは、後輪駆動のシングルモーターで49kWh。エクステンデッドレンジと四輪駆動のツインモーター・パフォーマンスでは、64kWhへ増える。今回、主に試乗したのは、その後者だ。

価格は、英国で3万3795ポンド(約611万円)から。ツインモーター・パフォーマンスは4万4495ポンド(約805万円)へ上昇する。追って、約3万ポンド(約543万円)の廉価グレードも加わるという。

ヘッドライトもタッチモニターでオン

見た目は魅力的だと思う。ボルボらしいクリーンなスタイリングで、全高は低め。オフローダー感を強調した、クロスカントリー仕様も2024年にお目見えするという。

インテリアも従来どおり。軽快で清々しい雰囲気は、いかにもスカンジナビアン・デザインだ。エアコンの送風口1つとっても、こだわりを感じる。素材の質感は好ましく、組み立て品質も高く見える。小物入れが各所に設けられ、乗員空間も広い。

ただし、完璧なデザインだとはいいにくい。殆どの車載機能が、大きなタッチモニターへ集約されているためだ。

実際に押せるハードボタンは、フロント側のパワーウインドウと、装備が義務付けられるハザードランプのみといえる。ドアロックも独立しているものの、タッチセンサー式。リアのパワーウインドウは、切り替えて操作可能だが。

ステアリングコラムからはレバーが伸びていて、左側がウインカーとワイパー。右側はシフトセレクター。ステアリングホイールには、オーディオの音量とクルーズコントロールを操作できる、タッチセンサーが配される。

それ以外は、タッチモニターを触れることになる。オートワイパーの速度やグローブボックスの開閉、ドアミラーの角度、エアコンとシートヒーターの温度、オーディオの音源選択、運転支援システムの変更、回生ブレーキの強さなど、ほぼすべて。

流石に、ヘッドライトの点灯までモニターを介することには、疑問を抱かざるを得ない。しかも、ホーム画面からメニューを2回辿る必要がある。

オフにしたくなる運転支援システム

停まっている状態で、メニュー構造は覚えられる。しかし、走行中の操作は難しい。リアシートへ同乗していたカメラマンも、その煩雑さに驚いていた。

多くのメーカーは、タッチモニターへ機能を集約することに対し、考えを改め始めている。フォルクスワーゲンは、ID.3やID.4のシステムに対する批判が多いことを認めた。ルノーは、エアコンにハードボタンを残すことを当然の決定だと表明した。

安全性や責任性を売りにする、ボルボが取るべきソリューションなのだろうか。シートベルトを真っ先に導入し、最高速度を180km/hへ制限し、ディーゼルエンジンからも早々に手を引いた。それでも、こんなインテリアを与えるとは・・。

EX30の後に、ジェネシスG70を試乗したのだが、駐車場で徐行しつつ、ミラーとエアコン、シートヒーター、オートワイパーなどを直感的に操作できた。画面へ気を取られ、危ない思いをすることなく。

もっとも、3時間ほど試乗し、インターフェイスへある程度の魅力も感じたことは事実。若いジャーナリストなら、筆者ほどの嫌悪感は示さないかもしれない。

もう1つの疑問が、欧州の安全規制、GSR2に対応した運転支援システム。ボルボの技術者は、その機能が目指すところを高く評価しつつ、実環境で充分機能するかはわからないとしている。実際のところ、誤作動が少なくない。

少なくとも、ジェネシスより機能は優れている。だが、渋滞中に周囲の様子をうかがうだけで、奇妙な警告音で注意を促される。思わず、筆者は機能をオフにしたくなった。

活発なドライブトレインを楽しめる

この2点を除けば、EX30は優秀だと思うだけに、非常に残念。ボルボで安全部門を率いるトーマス・ブロバーグ氏は、ユーザーインターフェイスは謙虚であるべきだと話すし、数10年に渡って評価できるデザインが生み出されて来たのだけれど。

さて、試乗車は20インチ・ホイールを履いていたが、乗り心地は悪くない。ツギハギの多い市街地では多少硬さが目立つものの、全般的にしなやか。後輪駆動版に19インチ・ホイールの組み合せでは、衝撃の吸収性が向上し一層良好だった。

ツインモーターが生む動力性能は、興奮を誘う勢い。姿勢制御は落ち着いており、パワーデリバリーも自然で、しっかり熟成された印象がある。

フロントの駆動用モーターは156psを発揮するが、基本的にはリアアクスルが主体。システム総合で428psを発揮する、活発な四輪駆動のドライブトレインを楽しめる。

車重の軽い後輪駆動版は、もっと面白い。コーナーでの調整しろは広く、身のこなしは機敏。最高出力は271psへ低くなるが、それでも0-100km/h加速を5.1秒でこなす。コンパクト・クロスオーバーとしては、望外に速い部類だろう。

かくして、ボルボEX30の評価は悩ましい。ドライビング体験の印象は過去にないほど好ましい。ボディやインテリアのデザインは美しい。ところが、人間工学的な部分が大きく足を引っ張っている。

こんなボルボは今までなかった、と聞けば、大抵は褒め言葉になる。だが、ユーザーインターフェイスに関しては、逆の意味で用いることになってしまう。

ボルボEX30 ツインモーター・パフォーマンス(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万4495ポンド(約805万円)
全長:4233mm
全幅:1836mm
全高:1549mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:3.6秒
航続距離:445km
電費:6.9km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1943kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー: 64.0kWh
急速充電能力:−kW
最高出力:428ps
最大トルク:55.2kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

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みんなのコメント

1件
  • まこと
    >もう1つの疑問が、欧州の安全規制、GSR2に対応した運転支援システム。ボルボの技術者は、その機能が目指すところを高く評価しつつ、実環境で充分機能するかはわからないとしている。実際のところ、誤作動が少なくない。

    こわすぎんだけど、なんだよこれ。。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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