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ついに王者ヤリス越えで販売首位! トヨタ ルーミーが今なおバカ売れする必然と意外な弱点

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ついに王者ヤリス越えで販売首位! トヨタ ルーミーが今なおバカ売れする必然と意外な弱点

 2022年4月の小型/普通車・車名別登録台数ランキングにて、トヨタルーミーが1万1108台を登録し、1位にたった。2022年1月から3月までの登録台数ランキングでは、同門ヤリス、カローラが1位であった(両車ともシリーズ合計台数)。

 そこで、本稿ではトヨタルーミーの販売状況から、売れている魅力、そして購入時に気をつけておきたい点を解説。

ついに王者ヤリス越えで販売首位! トヨタ ルーミーが今なおバカ売れする必然と意外な弱点

文/渡辺陽一郎、写真/TOYOTA、西尾タクト

トヨタルーミーが首位に降臨!! 絶好調な販売状況はいかに?

1万1108台を登録して4月の小型/普通車・車名別登録台数ランキングで1位になったルーミー

 2022年1月以降の国内における小型/普通車・車名別登録台数ランキングを見ると、1月はヤリス、2月はカローラ、3月はヤリス、4月はルーミーが1位であった。ちなみにカローラとヤリスの登録台数はシリーズ全体の合計だ。ヤリスであれば、コンパクトカーのヤリス、SUVのヤリスクロス、スポーツモデルのGRヤリスが含まれる。

 ただしユーザーがクルマを選ぶ場合、ヤリスと比べるライバル車はフィットやノートで、ヤリスクロスはヴェゼルやライズになる。つまりヤリスとヤリスクロスは別のクルマだ。そこで登録台数も分けて算出すると、小型/普通車の1位は、以前からルーミーであった。

 それでも4月の車名別登録台数ランキングで、名実ともにルーミーが1位になったことは注目される。ルーミーの登録台数は1万1108台だから、アルファードの6699台、ライズの6343台、ノアの5697台、ヤリスの5630台、ヤリスクロスの4080台に比べると圧倒的に多い。

 なぜルーミーは、発売から5年以上を経過した今でも、1種類のボディで1万台以上を登録できるのか。その背景には複数の理由があり、以下のとおりになる。

 ルーミーは2022年4月に1万1108台を登録して小型/普通車の販売1位になったが、国内販売の総合1位は軽自動車のN-BOXで、1万5450台を届け出した。軽自動車の2位はスペーシアで7600台、3位はタントで7270台と続く。

 軽自動車の販売トップ3とされるN-BOX、スペーシア、タントに共通するのは、全高が1700mmを超えて、スライドドアを備えるスーパーハイトワゴンになることだ。今はスーパーハイトワゴンの売れ行きが好調で、軽乗用車の販売総数の内、50%以上を占める。

 ところが小型車では、スーパーハイトワゴンの選択肢が少ない。2列シート車はルーミーとソリオ、その姉妹車に限られ、ほかは3列シートミニバンのフリードとシエンタ程度だ。

 ソリオは軽自動車を中心に扱うスズキの小型車だから、販売ランキングの上位には入らず、小型車のスーパーハイトワゴンを求めるユーザーはルーミーに集中した。

 ルーミーのデザインと機能は、N-BOXやスペーシアに近いが、そこも好調に売られる理由だ。「N-BOXやスペーシアは広くて使いやすいが、ボディサイズとエンジン排気量は、余裕のある小型車にしたい」と考える人達の間で素直なクルマ造りが人気を得た。

 後席を格納すると自転車も積める広い荷室になり、荷室の床を反転させると、汚れを落としやすいシートが貼られている。タイヤの汚れた自転車も気軽に積める。500mlの紙パックが収まるカップホルダーなど、収納設備も豊富だ。

 ルーミーはこのように実用的で、価格は標準ボディのXが155万6500円、装備を充実させたGも174万3500円に収まる。エンジンは直列3気筒1Lと小さい代わりに、スーパーハイトワゴンながら、価格はヤリス1.5Gの177万3000円、フィット1.3ホームの176万7700円よりも若干安い。3列シートミニバンとなるフリード1.5Gホンダセンシングの216万400円に比べると、ルーミーGは40万円も下まわる。

 このようにルーミーは、機能や装備が実用的で価格は割安だから、日常生活のツールとして人気を高めた。N-BOXやスペーシアが長期間にわたって高人気を保っているように、ルーミーの売れ行きも下がりにくい。

買い得な小型車のスーパーハイトワゴン「ルーミー」の魅力とは?

スライドドアの採用で乗り降りしやすく、様々なシーンに対応できるシートアレンジを備えたルーミーの室内

■スライドドアのクルマしか選ばないユーザーが急増中

 ルーミーは後席側のドアをスライド式にした。これもN-BOXやスペーシアと同様の特徴で、開閉時にドアパネルが外側へ張り出さないから、狭い駐車場での乗降性も優れている。

 そしてスライドドアは、以前のセダンと同様、クルマの定番スタイルとして定着した。特に比較的若いユーザーは「スライドドアは付いていて当たり前」と考えるようになっている。

 この背景にはミニバンの普及がある。ミニバンは初代ステップワゴンが登場した1996年頃から売れ行きを急増させ、国内販売の主力カテゴリーになった。そのために1990年以降に生まれた世代には、幼い頃から背の高いスライドドアを備えるミニバンに親しんだ人も多い。そうなると2列シート車でも、背の高いスライドドアを備えたボディを選ぶ傾向が強まる。

 しかも1990年頃に生まれた人達は、今は30代の前半だから子育て世代だ。ルーミーは後席を後端までスライドさせると足元空間が大幅に広がり、子供を後席のチャイルドシートに座らせる作業もしやすい。

 また後席を前側にスライドさせると、車内後端の荷室が広がり、親子3~4名で乗車してベビーカーや子供用の小さな自転車も積める。幼い頃に親しんだ思い出と、実用性の両面で、ルーミーは比較的若いユーザーが選びやすいクルマになった。

■高齢のドライバーも運転がしやすく乗り降りもしやすい

 若年層とは対称的に高齢者から見ても、ルーミーは魅力的だ。全長が3700mm(標準ボディ)に収まる5ナンバーサイズのボディは、最小回転半径も4.6mだから、混雑した街中でも運転しやすい。水平基調のボディは視界が優れ、車両の周囲に潜む障害物も発見しやすい。

 着座位置も適度だから、乗降時に腰の上下移動量が少なく、ピラー(柱)の角度を立ててドアの開口部が広いから、頭を下げたり腰を落として乗り降りする必要もない。さまざまな世代のユーザーが使いやすく共感を得ている。

■トヨタの店舗数は日産やホンダの2倍以上でシェアも50%

 ルーミーが高い人気を得ている背景には、販売体制も影響を与えた。まずトヨタの国内販売網は2020年5月に変更を受け、全店で全車を購入可能になった。これに伴って、ルーミーの姉妹車になるタンクが2020年9月のマイナーチェンジで廃止され、需要がルーミーに集中したから登録台数も一層増えた。

 そしてトヨタは店舗数も多い。全国に約4600店舗を展開しており、日産の約2100店舗、ホンダの約2200店舗と比べると販売網は2倍以上だ。

 しかも2022年1~4月には、国内で新車として売られるクルマの38%を軽自動車が占めた。日産でも国内における軽自動車比率は37%と高く、ホンダはN-BOXの好調によって軽自動車が56%を占める。

 その結果、国内で売られる小型/普通車については、50%がレクサスを含むトヨタ車だ。つまり日産やホンダが軽自動車に力を入れて、小型/普通車の販売力が下がったことも、ルーミーの売れ行きには追い風となった。

■ルーミーはほかの車種に比べて納期が短い

 ルーミーの好調には、昨今の納期遅延も影響を与えている。販売店は以下のように説明する。「ヤリスとヤリスクロスの納期は、今では約6カ月に遅延して、登録台数も下がった。その点でルーミーの納期は、2~3カ月に収まるので、ほかの車種に比べると短い部類に入る」。

 ルーミーは納期が短く効率良く納車できるから、登録台数の下落も少ない。2022年4月のルーミーの登録台数は、2021年4月と比べて9%のマイナスに留まった。そのいっぽうでヤリスシリーズは、前年の4月に比べて売れ行きを50%落とした。この影響で、ヤリスシリーズは、車名別小型/普通車販売ランキングの1位をルーミーに明け渡すことになった。

 しかし今後の動向は分からない。販売店では「2022年5月の時点で、ルーミーは受注が停止した。一部改良を受けるためで、受注の再開は、7月中旬から8月になる」という。販売店によると「ルーミーは人気車だから、在庫を一応は持っている」というが、時間が経過すれば底を突く。そうなるとルーミーの登録台数も下がる。

ノイズが気になるところ? ルーミーを選ぶときの要注意点

 ルーミーは前述のとおり荷室や収納設備の使い勝手が優れているが、1Lのノーマルエンジンは動力性能が低く、ターボは頻繁に使う2500回転付近のノイズが気になる。

 操舵感は曖昧で、危険を避けるときなどは、あおられる挙動が生じて走行安定性も下がりやすい。乗り心地も粗い。後席は座面の柔軟性が乏しく、床と座面の間隔も乏しいから、足を前側へ投げ出す着座姿勢になりやすい。

 こうなった理由は、ルーミーが短期間で開発されたからだ。2014年には軽自動車の販売台数が急増して、国内販売の41%に達した。小型車から軽自動車に乗り替えるユーザーも増えた。

 このダウンサイジングを食い止めるため、軽自動車で売れ筋になるスーパーハイトワゴンに対抗できる小型車が求められ、ルーミーとその姉妹車が企画された。悠長にしていたら、軽自動車の販売と小型車ユーザーの流出が加速するため、ルーミーは約2年間で開発されて2016年に登場した。

 このような事情があるから、ルーミーを購入するときは、入念に試乗したい。ライバル車のソリオも運転すると、ルーミーの実力が正確に分かると思う。

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みんなのコメント

89件
  • 俺は、ガチャガチャエンジン積んだこの車よりも、販売期間の長い、4気筒のエンジンのソリオを選びます。
    販売店の購買力は凄くても、中身で勝負だと思いますよ。
  • 確かに広いけど、それだけ。
    こんなカスしか作れなくて恥ずかしくないのかなぁ。
    短期間で開発したとはいえ、改善されていくはずが見た目は変わっても走りはゴミだしシートもクズ。おまけにハンドリングも操舵が曖昧。
    でも、これで儲かるんだから技術を向上させる必要はないと判断しちゃうんだろうな。
    買う方も買う方もだけど。自分の車なんだから、もう少し真剣に車選びはした方がいいですよ。トヨタマークだからって安心しちゃダメです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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