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「フェラーリに1位を獲らせない」。可夢偉&平川が語るモンツァでの必達目標と、カギを握るタイヤ戦略

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「フェラーリに1位を獲らせない」。可夢偉&平川が語るモンツァでの必達目標と、カギを握るタイヤ戦略

 6月のWEC第4戦ル・マン24時間レースでは、フェラーリAFコルセの51号車フェラーリ499Pに100周年記念レースの勝利を奪われる形となったトヨタ。当然、残りのシーズンでは、優勝とシリーズタイトルをかけて、負けられない戦いを続けることになる。

 そんななか、7月8日にイタリア・モンツァで行われた第5戦の予選では、小林可夢偉の駆る7号車GR010ハイブリッドがポールポジションを獲得。ブレンドン・ハートレーがアタックを担当した8号車は3番手から決勝をスタートすることになった。

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 予選から一夜開けた現地時間9日午前、チーム代表も兼任する可夢偉と、8号車の平川亮が、現地からリモート形式で日本メディアの質疑に応えた。果たして決勝に向けた手応え、そしてそこで勝負を分けるポイントはどこにあるのだろうか。ふたりの言葉から、まもなくスタートする6時間レースの見どころを探ってみたい。

■ハードかミディアムか。タイヤ選択がカギに

 今週、ポールポジションを獲得した可夢偉の7号車は「走り出しから決まっていて、ほぼセットアップを変えずに予選まできている」という好調ぶりだという。可夢偉はモンツァでの戦い方について、次のように述べている。

「しっかりとル・マンのリベンジができるようにといろいろやってきました。そのなかでBoP(性能調整)も含めて、すごく僅差のレースになっていますので、本当に気が抜けない決勝になると思っています。まず一番は、失敗をせずに6時間を走るということを意識したいと思います」

 走行初日から真夏のコンディションとなっている現地・モンツァだが、この気候は当然ながら決勝での戦い方にも影響しそうだ。ドライバーランキング首位をいく平川は「タイヤチョイスがひとつのキーになるかなと思います」と語る。

 今回、ミシュランのハイパーカー用のスリックタイヤはハードとミディアムの2種類。当然トヨタはプラクティスではこのふたつを比較したタイヤテストを行い、さまざまなデータを収集。予選ではミディアムを使用したが、さらに暑いコンディションが予想される決勝では、ハードコンパウンドが基本となりそうだという。

「『どちらのタイヤのレンジにいるのか』という部分が、僕らが見極めるべきポイントになると思います」と可夢偉もタイヤチョイスの重要性を訴える。

「多分、他のチームはほとんどハードでいくのではないか、と僕らは予想しています。僕らはまずはハードでスタートして、それでどこまでペースがあるのかを確認しながら、ミディアムにシフトするかどうかを考える感じだと思います」

 可夢偉いわく、ハードであればデグラデーションはそこまで問題にならなさそうだが、ミディアムではケアが必要になるという。また、左側のタイヤへの負担が大きいモンツァということで、ミディアムを履く場合は左側タイヤはシングルスティントとなる見込みとのことだ。

 プラクティスでは主にミディアムコンパウンドで走行していたという平川も、「ミディアムでダブルスティントをやるのであれば、かなりケアをしなければいけない感じです。ただ、ミディアムでの感触も悪くはない」という。

「ハードについては僕は試していないので、微妙に不安ではあるのですが、そこはスタートして、まわりの状況も見ながら、柔軟に考えなければいけないかなと思います」

■「フェラーリが考えていること」も考える

 平川によれば、現地の観客は「95%くらいはフェラーリのウエアを着たり、キャップを被っているフェラーリファン」だという。

「セッション終了後、フェラーリのピットの裏側はすごい人だかりができていますから。イタリア人のフェラーリ愛、みたいなものを感じています。アウェイという感じはありませんが、富士ではその逆が見られればいいなぁと思います」

 フェラーリの久々のトップカテゴリー復帰、そしてル・マンで勝利を手にしての凱旋ということで、独特な雰囲気のなか行われる第5戦決勝となりそうだが、チーム代表の可夢偉はその部分でも冷静に相手を分析し、タイトル争いを意識した勝負を挑む構えだ。

「多分フェラーリとしては、地元イタリアということもあってすごく勝つ準備をして挑んでいる。いろいろなリスクも考えて、このモンツァを勝ちに来ると思います」と可夢偉。

「彼らが何を考えてくるのか……というところも考えながら、戦略を練って、自分たちが持っているベストを出してなんとしても勝ちたいと思っています。ターゲットでいうと、まずはフェラーリに1位を取らせないということが一番のゴールです。チャンピオンシップを考えると、1位の25ポイントと2位の18ポイントが、もっともギャップが大きいですから。トヨタの1台が、まずは最大ポイントを獲ることが今回の目標かなと思いますので、そういう意識で、戦略等も2台で考えて、やっていきたいと思います」

 今回のレースも、ル・マンに引き続きトヨタとフェラーリの対決となるのだろうか。キャデラック、プジョー、ポルシェらのライバル勢もそこに絡んでくるのだろうか。注目の決勝レースは、日本時間9日19時30分にスタートする予定だ。


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