ミニバンからSUVに乗り換えたいのなら
21世紀初めごろから起こったSUVブームは、相変わらず終わりがないかのように続いている。いまや、軽自動車からスーパーラグジュアリーブランドまで、SUVをラインナップしていないメーカーは皆無に近い。最後の砦かと思われていたフェラーリやロータスも、いつの間にかSUV(と謳っていないモデルもあるが)がカタログに加わっている。
パワートレインも、ガソリンやディーゼルといったICE(内燃機関)からHEV(ハイブリッド車)/PHEV(プラグインハイブリッド車)、そしてBEV(バッテリー電気自動車)のように電動車も増え、ついにはFCEV(燃料電池自動車)やそのプラグインモデルまで登場し、まさにマルチパワートレイン化している。
ボディタイプは、コンベンショナルな2ボックス的スタイルのSUVにスタイリッシュなクーペSUVが加わり、シートレイアウトも3列目を備えたモデルが増えてきた。
日本ではSUVと並んで人気の双璧をなすミニバンだが、クルマ&運転好きのユーザーには、ミニバンに抵抗感を持つ人も少なくない。そこで、とくにミドルクラスのミニバンからのステップアップには最適と注目されているのが、3列シートのSUVだ。
だが、3列目シートを備えたSUVはどうしても大きくなりがち。その多くはインポートSUVなのだが、車両価格も1000万円を超えるなど高価なものが多い。しかもガソリンエンジン車が大半で、燃費も考えるとかなり厳しい。
そこで、多いようで少ない『3列シートのディーゼルSUV』から、最適解を探してみたいとフィーチャーしたのが、今回のジープ・コマンダーとトヨタ・ランドクルーザー250だ。
どちらもトルクフルで安定感のある走り
ステランティス・グループがプロデュースする『ジープ』ブランドのコマンダーは、SUVのみを作り続けるジープのクロスオーバーSUVだ。日本仕様は2022年秋に登場した。ジープのラインナップでは、フラッグシップのグランドチェロキーとコンパスとの間に位置する。
パワーユニットにはジープとして初のディーゼルエンジンを搭載。同じステランティス・グループのフィアット由来の2Lディーゼルターボは最高出力こそ170psだが、最大トルクの350Nmを1750rpmから2500rpmで発生する。これに電子制御9速ATを組み合わせ、オンデマンドで4輪を駆動する。
低速域からトルクフルなディーゼルターボは1.9トン近くある車重を感じさせず加速力は十分で、市街地でも高速でも不満ない走りを見せる。悪路走破性も十分だ。
3列7人乗りを採用し、2列目は中央部の足下も比較的フラットで大人3人乗車も苦にならない。3列目のフットスペースは大人には少し狭いが、コンパクトミニバン並みの広さは確保されている。
もう1台のランドクルーザー250(以下、ランクル250)は、プラドの後継モデルとして2024年春に登場。フラッグシップであるランドクルーザー300と基本コンポーネンツは共有するが、より実用性を重視している。エンジンは2.8Lディーゼルターボと2.7Lのガソリンを設定。
8速ATと組み合わされたディーゼルエンジンは、いかにもといったサウンドを発し、それなりに振動やシフトショックもある。それでも1600~2800rpmで500Nmという最大トルクを発生するから、市街地でも高速道路でも2.4トン近い車両重量を感じさせない走りっぷりをみせる。もちろん、悪路での走破性や安定性は『どこへでも行き、生きて帰ってこられる』というコンセプトらしい、安心感の高いものだ。
3列目シートのフットスペースはコマンダーより少し広いが、大人が長時間座るのはツラい。また2列目中央はフロアトンネルの張り出しが大きいため、大人は座り難い。
コマンダーはランクル250よりコスパが高い?
サイズ的には、ランクル250はコマンダーよりひとまわり以上大きく、500kg以上重い。とくに2m近い車幅はカメラが備わっているとはいえ都会の街中を走るときにはかなり気を遣う。小回りも効かない。
車両価格も、コマンダーは609万円だがランクル250はディーゼル車の3列7人乗りで630万円~735万円。安全&快適装備に関しては、どちらも十分なレベルにある。
昨今の燃料代高騰を考えると、燃費も無視できない。カタログデータだが、WLTCモード燃費でコマンダーは14.4km/L、ランクル250は11.0km/L。年間1万km走行するなら、軽油代が156円/Lとすると、コマンダーが10万8333円、ランクル250が14万1818円と、その差は3万3485円となる。さらに、自動車税はコマンダーは3万600円でランクル250は5万円だから、その差は1万9400円。ランニングコストの差も、けっこう大きい。
そして250に限らずランドクルーザーでネックとなっているのは『盗難』の問題だ。今回、トヨタから借り出した広報車にも、ハンドルロックとタイヤ(ホイール)ロックが備わっており、試乗前にその使い方をレクチャーされるほど。また、盗難に伴い保険料も割高な設定となっている。さらに、納車までの期間も短くはない。
もちろん、それを補って余りある悪路走破性やトヨタ車ならではの使いやすさ、そしてなんといっても『ランドクルーザー』というブランドの持つイメージと、それを所有する満足感は強い。
それでも、コマンダーも『ジープ』というSUV専門ブランドの矜持を感じさせる。ジープ車が欲しかったけれど家族構成などの関係でミニバンしか持てなかったとか、SUVやクロカン4WDにはこだわりがあるけれど、ハードな走りをする機会はほとんどない、といったファミリー層には、コマンダーは格好のアイテムかもしれない。
ポストミニバンとして3列シートのディーゼルSUVを検討しているなら、まずは一度試乗してみることだ。カタログからは想像がつかなかった、自分に合った1台が見つかるかもしれない。
トヨタ・ランドクルーザー250とジープ・コマンダー 2台のスペック
トヨタ・ランドクルーザー250 ZX
価格:735万円
全長:4925mm
全幅:1980mm
全高:1935mm
ホイールベース:2850mm
最高速度:239km/h
0-97km/h加速:6.4秒
燃費(WLTC):11km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:2380kg
パワートレイン:2754cc直列4気筒ターボ
使用燃料:ディーゼル
最高出力:204ps/3000rpm-3400rpm
最大トルク:500Nm/1600rpm-2800rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)
ジープ・コマンダー リミテッド
価格:609万円
全長:4770mm
全幅:1860mm
全高:1730mm
ホイールベース:2780mm
燃費:14.4km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1870kg
パワートレイン:1956cc直列4気筒ターボ
使用燃料:ディーゼル
最高出力:170ps/3.750rpm
最大トルク:350Nm/1,750rpm-2,500rpm
ギアボックス:9速オートマティック(四輪駆動)
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乗り心地ではラダーフレームはモノコックに敵わないし、悪路走破性ではモノコックはラダーフレームに敵わない。