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新型センチュリーSUV登場で、トヨタの“歴史”と“伝統”はさらに大きく変わる!──超高級車も新しい時代へ

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新型センチュリーSUV登場で、トヨタの“歴史”と“伝統”はさらに大きく変わる!──超高級車も新しい時代へ

登場が噂されているトヨタ「センチュリー」のSUVについて、今尾直樹が考えた!

和製ロールス・ロイス「カリナン」

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トヨタの最高級車、センチュリーのSUVがこの秋に登場する。という情報が最近、ネット上を賑わせている。そう聞いて「センチュリーSUV」で検索してみたら、う~む。なるほど、けっこうな数の記事と動画が出てくる。ご興味のある方は……すでにご覧になっていることでしょう。

この情報の出どころが自動車専門誌『ベストカー』(講談社)であることは間違いない。同誌は2022年12月にトヨタがセンチュリーSUV(仮称)を開発している、とスクープしている。さすがである。

それによると、海外向けのSUV「ハイランダー」がベースで、サイズは全長5200×全幅1950×全高1750mm、ホイールベース3000mm前後。もちろん、日本車最大級という。

いまになってわかるのは、先般発表になったレクサス「TX」との近似性だ。ハイランダー、より正確には「グランド・ハイランダー」をベースとする、北米で人気の3列シートのクロスオーバーSUVで、ホイールベースは2950mm。パワーユニットには、2.4リッター直4ターボのハイブリッド+後輪モーター駆動のAWDシステム「DIRECT4」を採用するTX 500hと、 新登場の3.5リッターV6のプラグ・イン・ハイブリッドのAWDがある。

噂されているセンチュリーSUVは、このレクサスTXのプラットフォームを使って、シート配列を3列から2列にあらため、リアの居住空間をたっぷりとって、センチュリーの名に恥じない、贅沢な素材を使ったゴージャスな内装に仕立て直したものになるらしい。いや、それよりもっと大きい、という説もあるようだけれど、現時点でわかっていることはひとつもない。

ちなみに、トヨタ社内では「和製ロールス・ロイス『カリナン』」と呼ばれているという。センチュリーが和製ロールス・ロイス「ファントム」だとしたら、そのSUV版がロールスのSUVであるカリナンの日本版となるのは当然かもしれない。

なお本物のファントムは全長5762mm、ホイールベースは3552mmもある。和製ロールスのセンチュリーはそれぞれ5335mmと3090mmで、和製カリナンがロールス・カリナンより、かなり小ぶりであったとしても、和製ですから、ということになる。

カリナンはファントムより短いものの、ホイールベースは3295mm、全長は5340mmもあって、もしスクープ通りだとしたら、センチュリーSUVとはホイールベースで30cm近くも違う。しかもカリナンはV12を縦置きする後輪駆動ベースの4WDで、その和製版をカムリ・ベースの横置きプラットフォームでつくり、なおかつ説得力を持たせようというのだから、トヨタはスゴイわけである。

トヨタ役員の重要な発言この『ベストカー』のスクープが火種だとすると、それに油を注ぐ発言をしたのが、トヨタの執行役員でデザイン領域長、さらにチーフブランディングオフィサーでもあるサイモン・ハンフリーズ氏だ。さる6月21日、新型アルファード/ヴェルファイアの発表会の終わりに、次のようなことを語っているのだ。以下は、少々長いけれど、YouTubeでだれでも見られる動画の字幕をそのままつなげたものです。

「本日、アルファードとヴェルファイアが切り拓いてきた価値をお話ししましたが、これらは未来にも関係する話です。なぜなら、2台の価値はトヨタというブランド全体が、目指す本質でもあるからです。

これからの時代、多様なライフスタイルに合わせた選択肢。さらにはサービスや情報で社会とつながるクルマなど、あらゆるニーズに応えなければ生き残っていけません。

トヨタは“Freedom in motion”―移動に、究極の自由をもたらすことーを目指しているのですが、今日の2台は、気に入ったタイプを自由に選べる。やりたいことを自由に楽しめる。別世界に自由に浸れる。ショーファーカーという世界でも、自分らしさを選べる自由。新型アルファードとヴェルファイアは、これらの自由を、かつてない次元にまで引き上げました。しかし、ここがゴールではありません。

先日発表されたクラウンセダンは、『カーボンニュートラルなショーファーカー』という新たな選択であり、FCEVユニットも設定。『エレガントなクラウン』は、『パワーやスペースを誇るアルファード・ヴェルファイア」との違いを楽しめ、ショーファーカーをより自由に選べるようになったのです。

ストーリーは、まだまだ続きがあります。究極のショーファーカーであるセンチュリー。そのセンチュリーさえも、大胆に変えようと、すでに動いているのです。年内には、トヨタのショーファーシリーズに新たなエディションが加わることをお伝えできればと思います。我々トヨタが社会に必要とされ続けるための、新たな一歩になることは間違いないでしょう」(引用元:新型アルファード/ヴェルファイア発表会)

ハンフリーズ氏は“our mission:change the future of cars!”というところまで英語で語り、「クルマの未来を変えていこう」と日本語でいい直して、スピーチを締め括っている。

なるほどなぁ。

ご存じのように新型クラウンは、クロスオーバーSUVに変身したのみならず、スポーツ、セダン、エステートと全部で4車種のマルチ展開におよんでいる。このことは、過去にとらわれない、トヨタの戦略転換を示唆していたわけだけれど、これは始まりに過ぎなかったのだ。

いま、トヨタのホームページをのぞいてみると、これら4つのモデルは、「クラウン・ブランド・ラインナップ」というワクで括られている。トヨタはつまり、クラウンをトヨタの高級車ブランドに位置づけることで、レクサスが独占する高級車市場にふたたびび参入しようとしている。

あるいは、トヨタ・ブランド全体の価値、もっと端的に申し上げれば、トヨタ車の平均価格の押し上げを図っている。クラウン・ブランド、そして新型アルファード/ヴェルファイアは、このトヨタの高級車レーベルの中心を担うモデルなのだ。

今年に入ってレクサスは、同ブランド初のBEV専用モデル「RZ」を国内発売しただけでなく、TX、「LM」、「LBX」、さらに「GX」と4つの新型車を発表している。1年に4車種! これほど活発な新車攻勢はレクサスにとっておそらく初めてだろう。トヨタはレクサスを充実させることで、収益の拡大、企業としての成長を図っている。筆者はてっきりそう思った。

でも、そうではない。「あらゆるニーズに応えなければ生き残っていけません」というのがトヨタの戦略なのである。

トヨタの未来永劫の繁栄豊田章男氏は2021年の年末、BEV戦略の発表会でこう語っている。『トヨタイズム』(2021年12月21日号)がこのときの章男氏の発言を書き起こしているので、そのまま引用させていただきます。

「今、私たちは、多様化した世界で、何が正解か分からない時代を生きております。その中では、1つの選択肢だけですべての人を幸せにすることは難しいと思います。だからこそトヨタは、世界中のお客様に、できるだけ多くの選択肢を準備したいと思っております」

トヨタがハイブリッドもPHEVも内燃機関もFCEVも、そしてBEVも全部本気で取り組む。というのはパワートレインに限った話ではなくて、たとえばセンチュリーのような伝統と格式を重んじてきたモデルであっても、過去にとらわれることなく、聖域とすることもなく、白紙の状態で全部本気で取り組む。という意味だったのだ。

別のいい方をすると、豊田章男氏が始めた「もっといいクルマをつくろうよ」という“クルマ屋”トヨタの再生プロジェクトは、さらに進化して「クルマの未来を変える」という壮大なテーマへと進化している。

もちろん、世界最大の自動車メーカーのひとつであるトヨタにはクルマの未来を変える力がある、、と考えるのが妥当だ。問題は「クルマの未来」をどう変えるかということだけれど、それに対しては「幸せを量産する」という答がすでに提示されている。

してみると、センチュリー・ブランドとして登場するのはSUVに限らないかもしれない。大空間高級サルーンのアルファード/ヴェルファイアのセンチュリー版、ということはレクサスLMのセンチュリー版が今後出てきたとしても、驚くには当たらない。あらゆる可能性を排除しない。豊田章男率いるトヨタは、どこまで行くのだろう……。

と、書いてから思い直した。豊田章男さんの願い。それはトヨタの未来永劫の繁栄であろう。行く末もなにも、終わりはない。寿限無寿限無。根拠のない憶測はやめて、私はこの秋に登場するセンチュリーSUV(仮称)をただ楽しみに待つことにします。

果報は寝て待て。夏来りなば、秋遠からじ。

文・今尾直樹 編集・稲垣邦康(GQ)

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みんなのコメント

8件
  • 直列6気筒×2ならまだしも、SUVに格下げのうえ威厳も何もない
  • >この情報の出どころが自動車専門誌『ベストカー』(講談社)であることは間違いない。同誌は2022年12月にトヨタがセンチュリーSUV(仮称)を開発している、とスクープしている。さすがである。

    無知なのか忖度なのか知らないけど、ベストカー(笑)よりもっと前にマガジンXが記事にしてたけどね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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