この記事をまとめると
■ショーファーカーとして見た場合、センチュリーとアルファードのどちらが優れるかを比較
新型アルファード&ヴェルファイアは「ほかのミニバン」など眼中なし! ライバルはこの先登場する「クラウンセダン」「センチュリーSUV」だった
■いずれもショーファーカーとして十分な装備と資質を有している
■居住性や先進性ではアルファードが勝るが快適性や奥ゆかしさではセンチュリーが圧倒する
伝統のセンチュリーと新世代代表のアルファード
日本を代表する高級車といえば、真っ先に浮かぶのが、皇室御用達でもあるトヨタ・センチュリー。そして近年、クラウンやレクサスLSといった高級セダンに代わって経営者、VIP、芸能人に愛用されているのがトヨタの最上級ミニバンとして君臨する超人気車種であるトヨタ・アルファードだ。
ここでは、両車のショーファードリブンカーとしての資質をさまざまな面から比較してみた。
まず、価格。センチュリーはモノグレードで2008万円! アルファードは現時点でエグゼクティブラウンジとZグレードの2グレード展開だが、エグゼクティブラウンジのハイブリッドE-Fourともなれば872万円という値付けとなっている。
センチュリーとアルファードのエグゼクティブラウンジは、いずれもショーファーカーとしての需要を狙った車種である。また、いまどきのクルマとして、両者ともにハイブリッドを用意している点(センチュリーはハイブリッドのみ)も共通する。
エクステリアは、センチュリーの場合、皇室御用達であることもあって、ひと目で特別感がある。アルファードはたとえ黒塗りでも、VIPだけでなく一般ユーザーが乗っているケースもあり、街を走る台数も多いことから、高級ミニバンとの認識はあっても特別感は薄まる。が、顔の迫力、押し出し感では分厚く巨大なフロントグリルを備えたアルファードのほうが上まわる印象を持つ人が多いはずである。
インテリア全体の雰囲気は、ショーファーカーとして後席に絞って見れば、4代目アルファードはプライベートジェット感覚、先進性、豪華さが際立つ。一方、センチュリーの後席はオリエンタルな豪華さ、仕立ての良さが持ち味となるだろう。
ショーファーカーとして重要なのは、まずは後席の乗降性だと考える。VIPが優雅な姿勢のまま、乗り降りできることが大切だ。ときには着物姿のVIPの夫人を乗せることもあるはずで、その点ではドア開口部の高さ、幅に余裕があるボックス型ミニバンならではの大開口スライドドアが優位。新型アルファードはステップ、フロアがTNGA GA-Kプラットフォームの採用でやや高まってはいるが、ショーファーカーとしてはまず付けるであろうオプションのユニバーサルステップを使えば、1段目のステップは地上220mmとなる。
また、センチュリーのリヤドアを運転手またはドアマン、スタッフが開ける動作と、パワースライドドアが自動でスルスルと開くのとどっちがエクスクルーシブかと言えば、考え方にもよるが、ヒンジ式ドアを開ける動作のほうがより手厚いVIPのもてなし感にはつながるようにも思える。
後席の居住性、寛ぎ度は、センチュリーも全長5335×全幅1930×全高1505mm、室内長2165×室内幅1605×室内高1185mm(アルファードは同4995×1850×1935mm、3003×1660×1360mm)という貫禄のボディサイズを持つだけあり、またあくまでショーファーカーとして後席重視のパッケージングだから、頭上方向はボックス型ミニバンのアルファードに敵わないとしても、足もとの広さは文句なしといっていい。
なにしろオットマンを出して、大人が足を真っすぐに伸ばせるだけのニースペースがあるのだ。リヤドアを開けるとリヤシートが自動的に後方に動き、降車性を高めてくれるドア開連動リターン作動機能があり、後席専用の取説が用意されていたりするのだから徹底している。
一方、エグゼクティブラウンジシートは70度(実際にはほぼフルフラット感覚)のリクライニングが可能で、車内で就寝……という使い勝手では上まわる。
居住性で勝るアルファードだがセンチュリーの格式も捨て難い
後席の装備類は、ともにショーファーカーとして十分な内容だ。が、いまや先進感ある装備類の充実度では、新型アルファードのエグゼクティブラウンジが、スーパーロングオーバーヘッドコンソールや理にかなった上から下に下がるパワーサイドサンシェード、左右それぞれに用意されたスマホサイズのリヤマルチオペレーションパネルなどもあって、一歩リードしている印象だ。
また、センチュリーの標準シートはウールファブリック“瑞響”。じつは本革よりウールファブリックのほうが上等という考え方もあり、かけ心地の面でもウールファブリックのほうが優位だったりする(とはいえ本革シート極美革は55万円のオプション)。
さらに、センチュリーの空調はセダンタイプとしては稀にみる4席独立温度コントロールフルオートエアコンとなる。
ちなみに後席のマッサージ機能は、センチュリーは後席左側席が“上座”というセンチュリーの伝統から、後席左側のみ。アルファードは、エグゼクティブラウンジシート左右両席に装備されている。ただし、マッサージ機能そのものはさすがにセンチュリーのほうが優れている印象である。
センチュリーもアルファードもショーファーカーとして使われる場合、後席左側席が上座となって使われるはずだが、センチュリーはスイッチひとつでフロントシートがスルスルと前方スライドしながらヘッドレストが畳まれ、フットレスト機能付きのオットマンが出現するなど、ショーファーカー、後席上座としての配慮にこと欠かない。アルファードのエグゼクティブラウンジなら同様の機能を備えてはいるが、動作のきめ細かさではセンチュリーだろう。
後席の乗り心地はどうか。この点に関しては、純然たるショーファーのセンチュリーが上を行く。当然、低重心で足まわりを固める必要はなく、ショーファーカーとしての優雅で快適無比な乗り心地に徹しており、タイヤ&ホイールは225/55R18+ノイズリダクションアルミホイールの組み合わせとなる。
ちなみに真の高級シート地であるウールファブリックのシートは、自動車用シートとは一線を画す超高級ソファそのもののかけ心地であり、それが振動やショックのない乗り心地にもひと役買っている。本革シートに比べ、背中、お尻が滑りにくいのも、着座姿勢の安定感、心地よさに直結するようだ。
一方、225/65R17サイズのタイヤを履くアルファードのエグゼクティブラウンジの乗り心地は、良路ではすこぶる快適でフラットだが、鋭利な段差の乗り越えの場面では、多少の突き上げを感じることになり、荒れた路面を含む乗り心地の良さではセンチュリーに一歩譲る……ということになるだろう。
また、先代本革シートのウィークポイントだった、ブレーキング時にお尻が前に滑ってしまう点は、新型ではシート前端を上げる(角度を付ける)ことでほぼ改善されているものの、センチュリーのウールファブリックシートの素晴らしいかけ心地、身体の収まりの良さには一歩譲るという印象だ。
ショーファーカーの後席では車内の静かさも求められるが、センチュリーと先代アルファードの比較ではセンチュリーが圧倒。しかし、新型アルファードは車内の静粛性にも徹底的にこだわった結果、センチュリーに迫る車内の静かさを、静粛性に不利なボックス型ボディで実現している。
ただし、両車ともにハイブリッドだが、エンジンが始動したときのエンジンノイズの車内への侵入度合いでは、センチュリーが優れている。それもそのはず、遮音、吸音性能のコストのかけ方に加え、そもそもセダンタイプのほうがエンジンルームとキャビンを仕切る部分の高さが低く、有利とされているからだ。
ノイズ発生源のエンジンが、アルファードは2.5リッター直4、センチュリーは5リッターV8であることもあるだろう。
最後に、センチュリーのオーナーならまず気にしないであろう維持費だが、新車時の自動車税は5リッターのセンチュリーだと8万7000円。重量税は2030年燃費基準85%を達成しているため減税50%で3万7500円が約1万8800円に。環境性能割支払い税額は1%で約16万4200円となる。
一方、2.5リッターエンジンを積むアルファードのHVは、新車時の自動車税が4万3500円。重量税はエコカー減税対象グレード車になるため3万7500円が優遇され0円に。環境性能割支払い税額は非課税で0円。センチュリーは車両本体価格でアルファードの最上級・最高価格グレードの倍以上だが、支払う税金もそれなりになるというわけだ。
結論としては、アルファードのほうがよりリーズナブルに、後席の乗降性や先進感、キャプテンシートによるパーソナルな居住性、先進運転支援機能=トヨタセーフティセンスの先進度などを含めたショーファーカーとしての資質では、いまや逆転していると言っていいかも知れない。ただし、優雅さでいえば、センチュリーの3ボックスタイプのボディ形状がもたらす奥ゆかしさで優位に立つことはもちろんだ。
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みんなのコメント
塗装ひとつとっても全くレベルが違います。
センチュリーはショーファーを目的に作った国産唯一の車でアルファードはあくまでも高級ミニバンの域を脱していません。
二代を乗り比べれば違いは明らかでしょう。
そもそも比べることすらナンセンスだと思います。
後部に荷室スペースのあるFR車が最適
移動空間としての居住性はワンボックスだろうけど
貴賓者の安全性の面からセンチュリーがアルファードに代わることは無いでしょう
無いだろうけど側面や候補から衝突された場合には
センチュリーの方が安全性が高いです
比較するまでも無いかと思います