ポルシェ911のような存在に
2026年に登場予定の次世代アルピーヌ「A110」は、電気駆動系を採用するにもかかわらず、内燃機関搭載のライバル車よりも軽量になる。
【画像】フランス生まれの軽量EVスポーツカーに期待!【アルピーヌA110 E-terniteコンセプトを写真で見る】 全12枚
ルノー・グループのCEOであるルカ・デ・メオ氏はAUTOCARの取材に対し、次期A110とその派生モデルのために専用の電動スポーツカープラットフォームに「多額の投資」を行うのは「合理的な判断ではない」としたが、スポーツカーブランドを成功させる方法については「ポルシェを参考にした」と語っている。
「ポルシェは911という独自のプラットフォームを持ち、タイカンやカイエンには他(フォルクスワーゲン・グループ)のプラットフォームを使用している。そうすることで、ブランドの真髄を保つことができる」(同氏)
そのため、アルピーヌのスポーツカー用プラットフォームは、コスト負担が大きくてもブランドに必要不可欠という認識だ。今後発売予定のSUV「A390」など、実用性重視の主力モデルにも良いイメージを与えることになる。
「次期A110は、性能面で妥協することなく、同等の内燃機関搭載車よりも軽量になる」とデ・メオ氏は力を込める。
また、専用プラットフォームの開発と生産は、純粋な販売面での投資収益率を考えると、客観的に「完全に愚かな決定」であるとした。ロータスとのプラットフォーム共同開発の計画は頓挫したが、アルピーヌはスポーツカーを非常に重視し、独自に開発を続けている。
アルピーヌは、現行のA110をEVに改造したコンセプトカー「A110 E-ternite」で1400kg以下の車重を実現し、ポルシェ718ボクスターをわずかに下回った。
A110 EVのデザインは、現行車からわずかに進化するだけだと、デ・メオ氏は示唆した。「A110らしく見える必要がある。ポルシェは四角い911は作らない」
さらに、「6~7台」のモデルがアルピーヌのラインナップを構成することになり、その中には「エモーショナルなピュアスポーツカー」も含まれるという。1年半前、アルピーヌは2030年までに7車種を発売すると発表したが、その第一弾が新型アルピーヌA290である。
EVも手がけるスポーツ専門ブランドへ
計画ではスーパーカーも加える予定だ。アルピーヌのCEOであるフィリップ・クリフ氏は、スーパーカーはラインナップ展開の最終段階で発表され、「夢のガレージ」のフラッグシップとなることを示唆した。
閉鎖されるF1エンジン工場から発展した新しい研究開発センターで、スーパーカーの開発を進めているが、発売は「まだ先」だとクリーフ氏は言う。スーパーカーの発売は、まず「ブランドの確立」、次に「技術ショーケース」、そして「ビジネス」の3段階のプロセスを経て実現するとのことだ。
この目標に向けて、アルピーヌは2022年にスーパーカーコンセプト「アルペングロー」を披露し、今年初めには水素燃焼エンジンを搭載した「アルペングローHy4」を発表した。量産モデルの仮称は「フューチャー・アルピーヌ・スーパーカー」である。
クリーフ氏は、純粋なEVメーカーを名乗るよりも、「EVも手がけるフランスのスポーツ専門ブランド」としてアルピーヌを位置づけたいと述べた。
また、製品責任者のソヴァニー・アン氏は、アルピーヌは「手頃さを維持」し、「量産メーカーや高級車メーカーを目指すのではなく、参入する意義のある特定の分野やセグメントをターゲットにしたい」と語った。
ディーラー網については、フランス国外への進出を目指し、年内に世界全体で約140店舗に拡大する予定だ。また、バルセロナに新たな旗艦施設を設立し、eスポーツやシミュレーターレースのエリア、バーやレストランも併設した。ロンドンやパリにも同様の施設を導入する。
クリーフ氏は、欧州の安全規制GSR2の少量生産メーカーへの免除が終了する2026年に、現行のA110の生産が終了することを認めた。今後6か月間の生産分は完売しており、27万6000ポンド(約5300万円)のA110 R Ultimeは、パリ・モーターショーで発表されてから2か月で生産予定台数110台のうち95%が売れた。
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