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三菱アイ・ミーブは時代を先取りしたEVシティコミューターだった【10年ひと昔の新車】

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三菱アイ・ミーブは時代を先取りしたEVシティコミューターだった【10年ひと昔の新車】

2009年、電気自動車が世界中から大きな注目を集める中、軽自動車規格のEV「三菱アイ・ミーブ(i-MiEV)」が登場した。航続可能距離の短さが電気自動車の課題と言われる中、効率の良いシティコミューターとしての提案だった。ここでは発表後まもなく行われた国内試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年10月号より)

時代が変わりつつあると実感させられる
ついにこんな時代がやってきたか、と思う。三菱自動車が軽自動車規格の電気自動車アイ・ミーブ(i-MiEV)を発表、市場に投入したのだ。

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現時点ではまだ、自治体や法人ユーザー向けを中心にメンテナンスリースを基本とした販売に過ぎない。だが今回の販売をふまえて、来年(2010年)4月からは一般販売を開始する予定で、すでに予約受付も始まっている。いよいよ本格的な電気自動車の時代がやってこようとしているのだ。

アイ・ミーブのシステムをおさらいしておくと、三菱自動車/三菱商事/GSユアサの共同開発によるリチウムイオン電池88個をボディ床下に搭載して、そこから取り出した電力を使ってリアのラゲッジルーム下に置かれた専用開発の小型軽量モーターで後輪を駆動するというもの。トランスミッションは変速機を必要としないモーターの特性を生かしてギア固定で、急速充電のほか家庭用のAC100V/AC200Vでも充電可能な小型軽量車載充電器を搭載している。

徹底的に電気エネルギーの効率を追求したものとなっているが、これはもともと電気自動車への転用を想定して、ロングホイールベース、リアミッドシップレイアウト、二重床構造として開発が進められた三菱アイをベースとしたことにより実現されたもの。軽自動車規格のコンパクトなボディでありながら、大容量のバッテリーをボディ床下に、パワーユニットをすぐその後ろに置き、ほぼ直接後軸を駆動することで、無駄がなく、また日常の使用にまったく問題のない居住スペースを作り上げているのが大きなポイントだ。

シティコミューターとして使いやすい特性を持つ
その走りはスムーズのひとこと。電気モーターゆえに低回転から大きなトルクを発生するので、発進時からレスポンスがよく、1100kgという車重をまるで感じさせることなくスーッと出る。軽自動車の規格にあわせて最高出力は64psとしているが、トルクフルというか、ガソリン車とは加速感が異なり、まったく別の乗り物という感じ。アクセルペダルを踏み込むと、ヒューンというモーター音とともに、やや大きめと感じるロードノイズを残しながら、あっと言う間に80km/hに達してしまったのには驚いた。

街中での走行、ストップ&ゴーは得意中の得意。車重にあわせてブレーキを強化しているほか、タイヤの空気圧を変更するなど足まわりも入念にセッティングし直されている。ブレーキ回生機能も付いているので、燃費も悪くなさそうだ。ストップ&ゴーを繰り返しながら、街中を1時間半ほど走り回ったが、バッテリー残量は80%ほどを指していた。ちなみに、ガソリン車の燃費が1kmあたり10円程度であるのに対し、電気自動車は1~2円という試算もあるというからこれも魅力だ。

ただし、問題がないわけではない。特別に最高速を試す機会があったが、80km/hあたりから加速が鈍る。それでもアクセルを踏み続けるとメーター読み139km/hに達したが(「軽自動車の規格にあわせて130km/hでリミッターが入る」そうだ)、フル加速を続けていると、見る見るうちにバッテリー残量が減っていく。この状態では航続距離160kmはとても無理、80kmがいいところかもしれない。

高速域での加速にはさすがに不満を感じたし、乗り心地という点でも高速走行に適するとは言い難い。シティコミューターとしてはいいが、これ1台で済ませるというのは難しそうだ。

また、リチウムイオン電池は追加充電が可能なのでそう問題にならないかもしれないが、充電に必要な時間がまだまだかかるのは気になるところ。急速充電施設の整備はまだ進んでいないし、いざという時に、すぐに動力源を補充できない不安は残る。やはり、バッテリーの性能向上が今後の大きな鍵となりそうだ。

インフラの整備など課題は多い。それでも新たな歴史が幕を開けた
もうひとつ、大きな問題が車両価格。国や地方自治体から補助金があるとはいえ、軽自動車が約460万円では手が出しにくい。さらに長距離高速走行用にもう1台が必要となれば、相当の余裕のあるユーザーでなければ購入しにくいだろう。

とはいえ、はじめの一歩とはそういうもの。かつて登場したばかりの携帯電話はショルダーフォンと呼ばれるほど大きく、そして高価なものだった。普及が進めば、価格の問題も解決されていくだろう。

たしかにインフラ整備も含めて、電気自動車にはまだまだ課題は多い。「電気自動車はCO2を排出しなくても、電気を作る時点でCO2を排出している」という指摘もある。ただ否定ばかりしていてはなにも始まらない。次世代電気自動車の歴史はまだ始まったばかり。「時代に先駆けて電気自動車に乗りたい」、そんな新し物好きの心を揺さぶる魅力はある。(文:Motor Magazine編集部 松本雅弘/写真:安西英樹)

三菱 アイ・ミーブ i-MiEV 主要諸元 
●全長×全幅×全高:3395×1475×1610mm
●ホイールベース:2550mm
●車両重量:1100kg
●モーター:永久磁石式同期型
●バッテリー:リチウムイオン
●バッテリー容量:16kWh
●最高出力:47kW(64ps)/3000-6000rpm
●最大トルク:180Nm/0-2000rpm
●トランスミッション:固定ギア
●駆動方式:RWD
●10・15モード1充電走行距離:160km
●タイヤサイズ:前145/65R15、後175/55R15
●車両価格:459万9000円(2009年当時)

[ アルバム : 三菱 アイ・ミーブ はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

2件
  • 三菱や日産は電動車の先駆けなんだけど日本はトヨタ一辺倒で技術が生かされる事が少ないのは残念
  • 役場の入り口にあったなあ。個人で買うには金額的に難しかったね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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