現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > ガソリン車と同等のお値段で! シトロエンe-C3へ試乗 「ぴったり充分」長く使えるイイモノ感

ここから本文です

ガソリン車と同等のお値段で! シトロエンe-C3へ試乗 「ぴったり充分」長く使えるイイモノ感

掲載 5
ガソリン車と同等のお値段で! シトロエンe-C3へ試乗 「ぴったり充分」長く使えるイイモノ感

ガソリン車と大差ないお値段が現実に

シトロエンC3が、4代目へ進化した。先代までは少し影の薄い存在といえたが、初代からの22年間に560万台が提供された、同社にとって主力モデルの1つだ。

【画像】ガソリン車と同等のお値段で! シトロエンe-C3 サイズが近い電動モデルは? エンジン版C3も 全143枚

新しいC3には内燃エンジン版と電気モーター版があり、今回試乗したのは後者。e-C3を名乗り、航続距離は320km以上とされ、英国価格は2万1990ポンド(約427万円)が想定されている。ガソリン車と大差ないお値段が、ついに現実になったといえる。

この低価格化の鍵となったのが、ステランティス・グループのスマートカー・プラットフォーム。東南アジアやラテンアメリカなど、新興市場で販売されている安価なシトロエンと、同じ哲学で設計されたそうだ。

「コスト破壊のエンジニアリング」を掲げ、スケールアップも前提に、小型車を主軸に開発されている。大型モデルを前提に開発し、簡略化して小さなモデルへ展開するという、一般的なものとは逆の手法といえるだろう。

その結果、部品数は従来から3割ほど削減。製造方法や部品の調達方法も、大きく改められたという。また、前輪駆動のバッテリーEVへ最適化しつつ、内燃エンジンにも対応させている。

e-C3のサイズは、全長4015mm、全幅1755mm、全高1577mm。全高は100mmほど伸びたが、それ以外は3代目と大きく違わない。

直線基調でシンプルなデザイン

見た目はクロスオーバーだが、あくまでも雰囲気重視。最低地上高は高めで、ルーフレールや樹脂製のフェンダーモールを備えるが、走破性はハッチバック並みだと考えていい。フラットなボンネットが、アクティブな印象を強めている。

個人的には、もう少し個性を打ち出しても良かったのではと思う。新しいダブルシェブロンのロゴは目立つし、スクエアで均整は取れているが、大胆さは弱いかもしれない。

インテリアのデザインも、直線基調でシンプル。エアコン関係には独立した操作パネルがあり、10.25インチのタッチモニターは、主にカーナビやオーディオ用。アップル・カープレイとアンドロイド・オートへ、無線で対応する。

ステアリングホイールにも、実際に押せるボタンが並ぶ。ダッシュボードの奥には、メーター用モニターが装備され、基本情報を確認しやすい。一般的なヘッドアップ・ディスプレイより、スペース効率やコスト効率は良さそうだ。

運転席の視点は、通常のハッチバックより100mmほど高め。運転姿勢はクロスオーバー・ライクだ。ダッシュボード上のトレイのほか、小物入れは充実。後席側のスマートフォン置き場など、賢いデザインが散りばめられている。

車内空間にはゆとりがある。シートはアドバンスド・コンフォートと名付けられ、座り心地の良いフォーム材が仕込まれ、肩周りのサポート性が高められた新アイテム。ルノー・クリオより快適だと感じた。

テールゲートの開口部は位置が高く、荷室容量は310Lある。後席の背もたれは、60:40の分割で倒せる。

50km/hまでは活発 最大の強みは乗り心地

英国仕様のパワートレインは2種類で、今回試乗したのは、額面で44kWhの駆動用バッテリーと、112psの駆動用モーターの組み合わせ。航続距離は326kmがうたわれる。

もう一方は、33kWhの容量で199kmの航続距離になるという。ただし、発売は2025年が予定され、詳細な情報は明らかになっていない。

バッテリーはリン酸鉄リチウム(LFP)という新技術のもの。安価で長寿命という点が強みだが、エネルギー密度は高くなく、温度による性能変化が小さくない。シトロエンのCEO、ティエリー・コスカス氏は、低コスト化にとって有望な技術だと主張する。

車重は1416kgと意外なほど軽いが、112psが生む加速力は興奮を誘うものではない。それでも、50km/h程度までのダッシュ力はかなり活発。それ以上の速度になると、勢いが徐々に減じていく。

0-100km/h加速は10.4秒とのことだが、その殆どは50km/h以上で使われている様子。高速道路での追い越しは、追い越し車線の後方車両と充分な距離があることを確認して、計画的に済ませたい。リラックスしてクルージングするのが良い。

e-C3で最大の強みといえるのが、快適な乗り心地。サスペンションも、アドバンスド・コンフォートと名付けられている。油圧バンプストッパーを採用し、比較的滑らかなオーストリアのアスファルトを、スムーズに処理していた。

リアアクスルが少し暴れる場面もあったが、キャビンはそんな動きから隔離されている。平穏な車内が乱れることはなかった。

安っぽさは皆無 長く使えるイイモノ感

グリップ力が高く、コーナーでは安定性にも感心する。優しい加速力や乗り心地と同じく、意欲的に一体感をもって駆け抜けるタイプではない。それでも、ターゲット層が運転体験へ強く不満を抱くことはないだろう。

ステアリングフィールは希薄。直進安定性は、もう少し高くても良い。乗り心地以外では、ジープ・アベンジャーのバランスが光る。

英国のトリムグレードは、プラスとマックスの2段階。グレードを問わず、タッチモニターやしなやかなサスペンションなどは共通して装備され、マックスを選ぶ必要性は低いかもしれない。

現実的な航続距離は、郊外の一般道中心で250kmから270km程度と考えられる。日常的にストレスを感じる短さとはいえないが、より長い方が費用対効果では望ましい。エアコンは高効率なヒートポンプ式ではなく、冬場は少なからず短くなると予想される。

ガソリン車と変わらないお値段で、目立った妥協のない仕上がりといえる、e-C3。
シトロエンらしく、「ぴったり充分」といった哲学が漂う。安っぽさは皆無で、長く使えるイイモノ感が好ましい。

必要とされる機能を備え、極めて快適で運転しやすい。普段使いのBセグメント・クラスに、幅広い人が納得できるモデルが誕生したことを、大いに喜びたい。

◯:快適な乗り心地 充実した装備 素晴らしい価格価値
△:感触が薄いステアリング バッテリーEVへの乗り換えを後押しするには不充分な航続距離

シトロエンe-C3(欧州仕様)のスペック

英国価格:2万1990ポンド(約427万円/予想)
全長:4015mm
全幅:1755mm
全高:1577mm
最高速度:135km/h
0-100km/h加速:10.4秒
航続距離:326km
電費:5.7km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1416kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:43.7kWh(実容量)
急速充電能力:100kW
最高出力:112ps
最大トルク:12.2kg-m
ギアボックス:1速リダクション(前輪駆動)

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

ホンダが2026年新世代F1パワーユニットの発表会を1月に東京で開催へ。ワークスパートナーのアストンとの新時代が始動
ホンダが2026年新世代F1パワーユニットの発表会を1月に東京で開催へ。ワークスパートナーのアストンとの新時代が始動
AUTOSPORT web
“幻の長大夜行バス”がまさかの復活!? 新たな北陸~四国線「愛媛・高知も行きます!」 JRに代わって一大路線網が誕生!?
“幻の長大夜行バス”がまさかの復活!? 新たな北陸~四国線「愛媛・高知も行きます!」 JRに代わって一大路線網が誕生!?
乗りものニュース
埼玉の「お金取る橋」無料化に反響多数!? 「得した気分」「朗報ですね」 自転車も「20円かかる」が国道4号~国道17号“直結”! 浦和IC~浦和駅間の「新見沼大橋有料道路」11月に無料開放
埼玉の「お金取る橋」無料化に反響多数!? 「得した気分」「朗報ですね」 自転車も「20円かかる」が国道4号~国道17号“直結”! 浦和IC~浦和駅間の「新見沼大橋有料道路」11月に無料開放
くるまのニュース
TOYOTA GAZOO Racing、『GR GT』や『GRヤリス』特別仕様車を出展へ…東京オートサロン2026
TOYOTA GAZOO Racing、『GR GT』や『GRヤリス』特別仕様車を出展へ…東京オートサロン2026
レスポンス
日本車を襲う「三重苦」の衝撃――トランプ政権「USMCA離脱示唆」で米国生産どうなる? 国内空洞化の行方とは【みずほリポート解説】
日本車を襲う「三重苦」の衝撃――トランプ政権「USMCA離脱示唆」で米国生産どうなる? 国内空洞化の行方とは【みずほリポート解説】
Merkmal
トム ブラウンがホリデーシーズンに向けたポップアップを開催!──「ヘクター」10周年記念に注目
トム ブラウンがホリデーシーズンに向けたポップアップを開催!──「ヘクター」10周年記念に注目
GQ JAPAN
【レストア&カスタマイズも強化】日産とNMCが『ニスモ・ブランド』への新たな取り組みを発表
【レストア&カスタマイズも強化】日産とNMCが『ニスモ・ブランド』への新たな取り組みを発表
AUTOCAR JAPAN
250ロードスポーツ人気の立役車!! カワサキ「Ninja 250」2026年モデル新色も大人気!?
250ロードスポーツ人気の立役車!! カワサキ「Ninja 250」2026年モデル新色も大人気!?
バイクのニュース
お金の面でメリットが大きい軽自動車だけに「BEV軽」の普及は大丈夫? 下取り価格の安さという決定的なハードル
お金の面でメリットが大きい軽自動車だけに「BEV軽」の普及は大丈夫? 下取り価格の安さという決定的なハードル
WEB CARTOP
斬新「ハイエース“トラック”」が超凄い! 2m超え「めちゃ広い荷台」採用で“車検OK”! 角目2灯「旧車デザイン」で“トラック化”したTSD「ハイトラッキン」TAS披露カスタムカーとは
斬新「ハイエース“トラック”」が超凄い! 2m超え「めちゃ広い荷台」採用で“車検OK”! 角目2灯「旧車デザイン」で“トラック化”したTSD「ハイトラッキン」TAS披露カスタムカーとは
くるまのニュース
「成田空港誘導路の下にあるトンネル」に”超異様な光景”が広がる…→実は社会課題解決の始まり!? なにが行われたのか
「成田空港誘導路の下にあるトンネル」に”超異様な光景”が広がる…→実は社会課題解決の始まり!? なにが行われたのか
乗りものニュース
軽快にワインディングを楽しめるよね! スポーツ走行だって得意な“小型二輪” 国内メーカーのニーハン「ネイキッド」3選
軽快にワインディングを楽しめるよね! スポーツ走行だって得意な“小型二輪” 国内メーカーのニーハン「ネイキッド」3選
VAGUE
欧州最小クラスのEV登場 スマート新型『#2』プロトタイプ公開 『フォーツー』後継、2026年発売へ
欧州最小クラスのEV登場 スマート新型『#2』プロトタイプ公開 『フォーツー』後継、2026年発売へ
AUTOCAR JAPAN
日産がNISMO事業拡大、ロードカー倍増で2028年に15万台へ…レストアも強化
日産がNISMO事業拡大、ロードカー倍増で2028年に15万台へ…レストアも強化
レスポンス
スズキ、熊本県合志市と災害時応援協定…電動車や軽商用車を無償提供
スズキ、熊本県合志市と災害時応援協定…電動車や軽商用車を無償提供
レスポンス
道の駅が“怒り”の「電気ぜんぶ消します!」対策を実施! 休憩所の「走り屋集会所」「無料ホテル代わり」化で“迷惑極まりない行為”も多発 施設側が苦慮する「現状」とは
道の駅が“怒り”の「電気ぜんぶ消します!」対策を実施! 休憩所の「走り屋集会所」「無料ホテル代わり」化で“迷惑極まりない行為”も多発 施設側が苦慮する「現状」とは
くるまのニュース
レッドブルを離れたマルコが元代表ホーナーらを激しく批判。これまでの発言の一部や、チーム離脱時のコメントは捏造だと主張
レッドブルを離れたマルコが元代表ホーナーらを激しく批判。これまでの発言の一部や、チーム離脱時のコメントは捏造だと主張
AUTOSPORT web
アントネッリの成熟ぶりに感銘を受けるメルセデスF1代表「私が19歳の頃は少し愚かだった」
アントネッリの成熟ぶりに感銘を受けるメルセデスF1代表「私が19歳の頃は少し愚かだった」
AUTOSPORT web

みんなのコメント

5件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

339 . 0万円 364 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

23 . 0万円 275 . 0万円

中古車を検索
シトロエン C3の買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

339 . 0万円 364 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

23 . 0万円 275 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村