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新型ノア/ヴォクシー初めての公道試乗で実感した「デキるミニバン」に育てる秘訣

掲載 更新 23
新型ノア/ヴォクシー初めての公道試乗で実感した「デキるミニバン」に育てる秘訣

話題沸騰の新型トヨタ ノア/ヴォクシーに、初試乗。プラットフォーム、パワートレーン、ドライビングサポートから機能装備に至るまで、あらゆる設えが新世代へとステップアップした4代目は、ただの「使えるミニバン」を超えた「デキるミニバン」へと成長していた。

はじめに ─── 日常ユースでのグレードアップ感をチェック
「隔世の感を禁じ得ない」などと言ったら、ちょっと大げさだろうか。「家族や仲間が笑顔になる時間を演出」するというそのコンセプトを鑑みるなら、朝ドラヒロインふうに時代劇調で「おぬし、デキるな」と表現するくらいが、ちょうどいい塩梅かもしれない。

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大げさであれほどよい塩梅であれ間違いなく言えるのは、新型ノア/ヴォクシーは大変良質なファミリーミニバンに成長していた、ということ。その素性の良さは、車スペースから走り出した瞬間からじんわりと伝わってくる。

今回の試乗は都内のホテルを起点としたものだった。そのため、周辺の一般道を中心に短時間での試乗体験となっている。主にチェックできたポイントは以下の3つ。

1. 新プラットフォームの採用で安心感や快適性はどこまでグレードアップしているか
2. 新世代ハイブリッドシステムとガソリンエンジン、それぞれの個性
3. 使い勝手や安全性を中心とした、新しい機能の使い勝手

おおむね、日常的な使用で気になる新型ノア/ヴォクシーの「デキるやつ」ぶりを確かめることができたと思う。

新骨格の恩恵は絶大。走り出した瞬間に優しさと安心感が伝わる。
走り出してからの第一印象を端的に言えば、なんだかとってもしっかりしている。

駐車スペースからゆるゆるとスタートし、狭いスペースに並んでいるほかの駐車車両にぶつからないようにゆるゆるとハンドルを切る、そろそろと加減速を調整する。そんな微妙に神経を使う時にも、操作感のすべてがとても自然で素直な感触だ。

試乗会場を出て一般道へ出ると、しっかり感がさらにわかりやすく感じられるようになった。タウンスピードで流していても挙動はしっかりしているのに穏やかで、終始リラックスした気分で運転に集中することができる。

誉めるべきはやはり、TNGAプラットフォーム(GA-C/日本の道路・交通環境に最適化されたナロー仕様)とミニバンスタイルの相性の良さ、なのだろう。

フロア剛性だけでなくボディ全体の捻じれ剛性もバランスよく高めることで、四角い箱があらゆるシーンで「四角さ」を保ち続けてくれる。縦G、横Gの影響でヨレたりブレたりすることで感じられる、ミニバンにありがちな心もとなさが明らかに弱い。

一部の試乗車は今回、ノア/ヴォクシーとしては史上初めて標準装備された17インチタイヤを履いていたが、ボディのしっかり感と大径タイヤのマッチングも秀逸だ。さすがにアンジュレーションがキツめの路面ではじゃっかん神経質な音振を伝えてくるけれど、慣れてしまえばあまり気にはならないレベルだった。

類まれな静粛性や先進の安全運転支援システムなども含めて、まずは健康的な骨格が大切。新型ノア/ヴォクシーの「デキる」個性の数々は、そこから育てられたものなのだ。

最先端のハイブリッドと洗練されたガソリンエンジンを、乗り比べてみた
パワートレーンに目を向けるなら、話題の中心はやはり最新世代のトヨタ シリーズパラレルハイブリッドシステムになる。現行プリウスがいわゆる第4世代、アクアはちょっと進化した第4.5世代で、新型ノア/ヴォクシーは第5世代システムの先駆けとなった。

代替わりを謳うだけあってさまざまな大幅改良が施されているけれど、とくにコンポーネンツの集約や改良された構造などによる小型軽量化と高効率化には、目をみはるものがある。

わかりやすいところではモーターのポテンシャルが高まり、役割分担の幅が広がったことによる恩恵が大きい。スタート時、EVレンジでの力強い加速感はたいしたものだ。しかもアクセルワークの匙加減さえ心がけておけば、メーター目視20km/h過ぎまでデフォルト状態でモーター走行を維持できる。

もうひとつ、新世代のハイブリッドシステムがとても静かだ。もともとモーター駆動は静かなものだけれど、エンジンとはまた違う部分で、実は電気モーターはかなり饒舌だったりする。それはおおむね電気ノイズによるもので「なんとなく聞こえるキーンという音」で体感される。

新型ノア/ヴォクシーのハイブリッドシステムはそのノイズの周波数を高めに持っていくことで、人間の耳には聴こえないものに変え、耳障りなノイズを実質的に消し去ることに成功した。

ガソリンエンジンがスタートする時の音や振動も、うまく丸められている感じがある。これまでのハイブリッドではエンジン始動時に急に回転数が高まってしまいがちだったが、新世代ユニットはそうした「無駄」もしっかり解消されているようだ。

回生ブレーキのタッチも自然でわかりやすい。減速という面については、下り坂などでドライバーのブレーキ操作を微妙にアシストする新機能が盛り込まれている。ドライバーがブレーキを踏む頻度が少なめになる、つまり加速だけでなく減速時にもスムーズな動きをサポートしてくれるわけだ。

一方のガソリンユニットも、素直さという点ではハイブリッドシステムにけっしてひけを取ってはいない。思い切りパワフルでこそないけれど、吹きあがりに澱みが少なく、思い通りに加速感をコントロールすることが可能だ。回転が上がっていった時の伸びもよさそうなので、高速道路でのパフォーマンスにも期待したいところだ。

街乗りレベルなら、ハイブリッドもガソリンも走行時の静粛性が高いことが実感できるが、そのポイントは遮音・吸音処理におけるさまざまな創意工夫だという。たとえばエンジンルームからの音の侵入を抑制するために、隔壁に開けられた「穴」を最小限としている、とのこと。

価格転嫁が非常に難しい「目に見えない努力」だが、新型ノア/ヴォクシーの価値ある進化を支える重要なアドバンテージであることは、間違いない。

気になる新機能の「ありがたみ」を試してみる
デキるミニバンに不可欠なのはやはり、ライバルを凌ぐ便利さや実用性の高さ、といったファクターだろう。限られた試乗時間で「走り」以外にも、とても気になる部分を、いくつかチェックしてみた。

2列目ストレート超ロングスライド機構&3列目シート
ハンズフリーデュアルパワースライドドア&安心降車アシスト
フリーストップバックドア&パワーバックドア
フロントクロストラフィックアラート
各種アラートは、メーター内とともにセンターダッシュ部の8インチモニターでも表示されてわかりやすかった。これがヘッドアップディスプレイを装着していると、アニメーションによってさらにわかりやすく、瞬間的に認知できるようになるようだ。

警告ブザーは、危険度が高まるにつれてさらなる注意喚起が必要になると鳴り響く。四六時中うるさく警告されているとイライラ度が募りやすいが、このくらい適度な鳴り方なら大歓迎だろう。

ちなみに発進遅れの告知も、「ちょうどいいおせっかい」がありがたい。ソフトな警告ブザーと優しい女性の声で注意を喚起してくれる。この機能は感知面でも進化していて、従来の青信号だけでなく、赤信号に直進のみ青矢印の表示が出ても対応する。さらにウインカーを出していると、右左折の青矢印に反応してスタートを促してくれるというのだから、まさに至れり尽くせりなのだ。

まとめ ───「アソビ」は減った。けれど「遊び心」は豊かになった
今回はもっぱら、ドライバー目線でのインプレッションとなったが、ファミリーミニバンとしてはかつてないほど、頼もしさを増した走り味がとても魅力的に思えた。これまで「ミニバンだから」とあきらめていたあいまい感は薄れ、筋が一本通った乗り味は安心感に満ちている。

あえてハイブリッドとガソリンどちらを選ぶか、と問われれば、主に市街地メインで走るという前提でハイブリッドを文句なくおススメする。とくに燃費向上につながる穏やかなアクセルワークを使いこなすことができるドライバーなら、力強さを増したEVレンジの経済性、実用性を楽しみながら使いこなすことができるだろう。

新たな機能が加わった各種ADASなど、試してみたい「新機軸」はまだまだある。コネクテッドナビに対応したディスプレイオーディオのエンターテインメント性も、気になる進化だ。走りの「アソビ」はずいぶん引き締められているけれど、ファミリーカーとしての「遊び心」はしっかりグレードアップしているハズだ。

新型ノア/ヴォクシーの「デキるミニバン」としての魅力は、どうやらまだまだ奥が深そうだ。(写真:伊藤嘉啓)

トヨタ 新型ヴォクシー ハイブリッド S-Z 2WD 主要諸元
●全長×全幅×全高:4695×1730×1895mm●ホイールベース:2850mm●車両重量:1670kg●エンジン:直4 DOHC+モーター●総排気量:1797cc●最高出力:72kW(98ps)/5200rpm●最大トルク:142Nm(14.5gm)/3600rpm●フロントモーター最高出力:70kW(95ps)●フロントモーター最大トルク:185Nm(18.9kgm)●トランスミッション:電気式無段変速機●駆動方式:横置きFF●燃料・タンク容量:レギュラー・52L●WLTCモード燃費:23.0km/L●タイヤサイズ:205/55R17●車両価格(税込):367万円

トヨタ 新型ヴォクシー ガソリン S-G 2WD 主要諸元
●全長×全幅×全高:4695×1730×1895mm●ホイールベース:2850mm●車両重量:1640kg●エンジン:直4 DOHC●総排気量:1986cc●最高出力:125kW(170ps)/6600rpm●最大トルク:202Nm(20.6gm)/4900rpm●トランスミッション:電気式無段変速機●駆動方式:横置きFF●燃料・タンク容量:レギュラー・52L●WLTCモード燃費:15.0km/L●タイヤサイズ:205/60R16●車両価格(税込):328万8000円

[ アルバム : 新型ノア/ヴォクシー 初試乗 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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