■後に続くモデルに影響を与えた先駆者とは?
国産車は110年以上もの歴史があります。毎年さまざまなクルマが誕生しており、これまでには数えきれないほどのモデルが世に送り出されています。
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そのなかには先駆者的なモデルも多く存在。5ドアハッチバックに焦点を当て、後に続く原動力となったモデルを紹介します。
●トヨタ「プリウス」
1997年に世界初の量産ハイブリッド車として誕生したトヨタ「プリウス」。
初代モデルの前期型では後席背もたれの裏側にたくさんの駆動用電池を搭載していましたが、2000年のマイナーチェンジで駆動用電池が小型化し、トランク床部に収納されました。
そして2003年にフルモデルチェンジされた2代目プリウスは、小型化された駆動用電池を活かした5ドアハッチバックとなりました。
同時にエンジンをパワーアップし、ハイブリッドシステムを構成する部品も小型化されて、ようやく1.5リッターのガソリンエンジン車と同等の走行性能を手に入れたのです。
少し速く走るとすぐに「出力制限警告灯」が点灯した初代プリウスと比較すると、2代目プリウスは普通に走行できるようになりました。
さらにプリウスに追い風が吹きます。
2005年頃、アメリカの製油所を台風が襲った時期にガソリン価格が高騰。クルマに関心が薄い一般の人にも「エコカー」としてプリウスが注目されるようになりました。
販売は急激に伸び、トヨタ車の販売台数に占めるプリウスの割合が急増したのです。
3代目プリウスの発売開始後1か月間の受注台数は、1万台の月販目標に対して約18万台を受注し、納車は最大で約7か月待ち。
2010年には約31万5000台を販売したという、いまも破られていない記録を打ち立てました。
現在では各社から多種多様なハイブリッド車が登場。ハイブリッド車が広く普及したのは、プリウスの存在があったからというわけです。
■コンパクトでもプレミアム感がウリのモデルとは
●日産「ティーダ」
日産「ティーダ」は、「サニー」の後継車として2004年に発売。丁寧に作りこまれた内装や後席の広い足元スペースを特徴とし、大型セダンからの乗り換え需要も狙ったモデルでした。
とくに前席の内装にはクラスを超えた品質の内装材を使用し、中年以上の人が乗っても見栄えがする上質なクルマに仕上がっていました。
やや遅れて4ドアセダンの「ティーダラティオ」が設定されましたが、5ドアハッチバックのティーダの人気が続き、それまで4ドアセダンが独占していた高級車層や営業車の分野にも選択されるようになったのです。
ティーダは、ミニバンから乗り換えた層でも違和感なく着座できるようなクルマをコンセプトとしていたので、ボディ後部が荷物室とテールゲートでも違和感を覚えづらかったのでしょう。
その後、ティーダは「ノート」と事実上統合してフルモデルチェンジされます。
後を引き継いだノートは、2代目で日産初の「e-POWER」が設定されるなど、メーカーが力を入れていたことがうかがえるモデルに成長。
そして2020年12月にノートはe-POWER専用モデルとしてフルモデルチェンジし、さらに上級車として「オーラ」が設定されるなど、プレミアムコンパクトカーとして躍進しています。
●マツダ「ファミリア S-ワゴン」
1998年にフルモデルチェンジされたマツダ「ファミリア」には、荷室長が短いショートワゴンタイプの「ファミリア S-ワゴン」が設定されました。
ショートワゴンは従来なら5ドアハッチバックと分類されていたようなボディ形状ですが、当時のワゴンブームに乗ろうとしたのかもしれません。
当時の自動車メディアは、「単なる5ドアハッチバックをワゴンとは詐欺」などとショートワゴンを貶めていたようです。
しかし、比較的安価で若々しいボディスタイルとワゴンブームの影響を受けて、S-ワゴンは大人気を得ました。
なかでも1.5リッターエンジンには可変バルブタイミング装着モデルが設定され、同一クラスでもパワフルな130馬力を発揮。
しかもトップモデルでも166万円と手ごろな価格で、2リッター級のワゴンに乗っていた層や、セダンモデルを選んでいた層を積極的に取り込みました。
モデル展開も絶妙で、1.5リッター可変バルブタイミングなしモデルなら139万円から選択可能。4WDモデルもあり、さらには限定車として、170馬力を発揮する2リッターエンジン搭載の「スポルト20」も設定されました。
ファミリアの場合、S-ワゴンの命名がマーケティング上で良かったことはもちろんですが、クルマ自体の魅力も高かったのです。
のちにマツダからハッチバックの「アクセラスポーツ」がデビューし、現在は「マツダ3ファストバック」へと進化。
ファミリア S-ワゴンは、Cセグメントバッチバックの原点となったモデルだといえそうです。
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